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【体調管理にひと役】馬の毛刈り

みなさんは、馬の毛を刈っているところを見たことがありますか?「馬に毛刈りが必要」ということ自体を意外に思う方もいるかもしれませんね。しかし、毛刈りは見た目を整えるだけでなく体調管理をする上でも大切なお手入れです。そこで今回は、毛刈りの目的や、実際行う場合の手順・注意点などを解説します!

毛刈りの目的

【体調管理にひと役】馬の毛刈り

目的を知ってから行うことで、より効果的にお手入れをできるようになります。これは、どのお手入れにもいえることですね。しかし、馬の毛は人間とは違い放っておいても際限なく伸びてしまうということはありません。では、なぜ毛刈りを行うのでしょうか?

身体を冷やさないため

毛刈りを行うのは夏場ではなく冬です。気温が下がると馬は冬毛に生え変わり全体が少しモコモコした印象になります。このモコモコを短く刈るのが「毛刈り」です。

「え…毛を刈ったら逆に寒いのでは?」と心配になるかもしれませんが、毛を短く刈ることで運動後の汗が早く乾きます。すると、結果的に身体が冷えにくく体調管理もしやすいというわけです。

そのため、北海道など運動をしても馬があまり汗をかかないほど寒い地域では、冬場になっても毛刈りを行わないことも多いようです。

また、日本では馬といえばほとんどが乗用馬や競走馬ですが、農耕馬やペットとして飼っているポニー種など冬場の運動量が少ない馬もいます。このような場合には汗で身体が冷える心配も少ないため、毛刈りの必要性はないと言われています。

お手入れ時間を短縮するため

ブラッシングなどのお手入れを好む馬はいますが、寒い冬は運動後のお手入れは手早く終えて馬着を着せてあげたいところですね。

毛刈りをすると、馬の毛が乾きやすくなるだけでなく、毛のあいだの汚れもブラシで取りやすくなります。そのため、毛刈りはお手入れの時間短縮にもつながる良い方法といえるでしょう。

毛刈りの手順

【体調管理にひと役】馬の毛刈り

では、実際に毛刈りをする場合にはどのように作業をすればよいのでしょうか?しっかりと準備をしてから始めることで、スムーズに毛刈りがすすめられるので、事前にチェックしておきましょう。

①馬をきれいに洗う

馬の毛に付いた汗やフケ・汚れをしっかりと落とすことで、毛が刈りやすい状態になります。そのため、毛刈りをする前にはシャンプーをして、よく乾かしておきましょう。

ただし、それでも毛刈りの途中で刃が目詰まりしがち。刃に油をかけて毛刈りを継続する場合もありますが、替えの刃も準備しておくと安心です。

②バリカンに慣れてもらう

みなさんも普段から感じていると思いますが、馬は警戒心が強い動物です。そのため、バリカンのスイッチをオンにしていきなり刈り始めるのはNG

「急に何するの!?」と毛刈りに対して恐怖感や嫌悪感を持ってしまえば、毛刈り自体が進めにくいだけでなく、馬が暴れてけがをする可能性もあります。

事前にバリカンを見せたり、振動していない状態で撫でるように身体に当ててみたり、スイッチを入れて音を聞かせることが大切。馬が「これはなんだろう」と確認する時間をしっかりと取ってくださいね。ちなみに、バリカンはなるべく音の小さなものがよく、コードレスだと便利です。

③いよいよ毛刈り!

馬がバリカンに慣れてきたら、いよいよ実際の毛刈りです。毛の方向に逆らうように、なるべく均一に刈っていきましょう。

なお、毛刈りの目的は主に腹部の毛を短くすることなので、四肢や背中は刈らずに残すことが多いです。毛を刈る前に、どこまで刈ってどこを残すのかしっかり決めておくことで綺麗な仕上がりになるでしょう

注意点

【体調管理にひと役】馬の毛刈り

健康管理がしやすくなる半面、馬にとっては緊張を伴う「毛刈り」。最後に、毛刈りの最中や毛刈り後の注意点を3つ紹介します。

馬を安心させることが優先

毛刈りにあたっては、なるべく馬が緊張しないようバリカンに慣らすほか、必要に応じて耳栓などをすることもあります。

しかし、それでも馬が強い恐怖感を示したり暴れる場合には、無理に毛刈りを続行せずに一旦作業を中断して落ち着かせることを優先しましょう。

毛刈り後は馬着で保温

汗が乾きやすくなるとはいえ、やはり毛刈りは寒い時期に急に薄着にされるようなもの。毛刈りをした後は、馬の身体が冷えないように馬着を着せましょう。運動時には、必要に応じてエクササイズラグを着せるのもおすすめです。

数日は馬が違和感を感じることも

たとえば、ショートヘアだった人がバリカンで髪を短く剃ったら、帽子をかぶったときの感覚も変わりますよね。それと同じく、毛刈り後の馬は腹帯の感覚に違和感をおぼえる場合があります。

神経質な馬は、腹帯を締めるタイミングや運動中に、腹部を気にする様子を見せたり不穏になる場合もあります。

多くの馬は数日で違和感に慣れますが、慣れるまでは普段なら苛立ったり驚いたりしないようなことにも大きく反応する可能性があるので注意が必要です。

まとめ

今回は、寒い時期に馬が健康に過ごすための「毛刈り」について紹介しました。寒い時期に毛を刈るのは少し意外かもしれませんが、人間を乗せて寒い時期にも運動してくれる馬にとっては大切なお手入れの一つです。毛刈りへの反応は馬によって異なるため、どんなときも「馬の様子を見ながら」を大切にしたいですね!

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