口元から読み取る馬の気持ち
あなたが馬の気持ちを読み取ろうと思ったときに、主にどこを見て読み取りますか?
恐らく一番最初に見るところは、目ではないでしょうか。
確かに「目は口ほどにものをいう」と、ことわざにもあるくらいなので、目を合わせることで馬の気持ちを理解することができますよね。
しかし、実は馬の口元からも馬の気持ちを読み取ることができるのです。
今回は、「口元から読み取る馬の気持ち」についてまとめました。
チューイング
食べ物が口に入っているわけではないのに、馬が口をもぐもぐと動かしたり、舌をペロペロ出したりするしぐさを見たことはありませんか?あるいは、ハミをかちゃかちゃと音を鳴らして遊んでいるようなしぐさをしているのを見たことはないでしょうか。
馬が口を動かすこのしぐさは、「チューイング(チューイングサイン)」と言います。
チューイングは、仔馬が母馬のお乳を探して飲むときのしぐさの名残ではないか、と言われています。
どんな時にするの
では、チューイングをするのはどのような時でしょうか?
チューイングは、馬が安心している時に見られるしぐさなのです。
馬が何かに驚いた後、優しく声をかけてあげると馬が少し落ち着き、そのあとに「ブルルー」と息を吐くのを見たことはあるでしょうか。そして、その後しばらくしてから口元を見ると、チューイングをしているのを見ることができます。そのしぐさが見られたら、馬が安心したのだと判断できます。
物音や人の動きに反応した後、その出来事に自分が納得し、リラックスした時にチューイングをするのです。
また、馬が人に対して従うときにも見られます。
もし、騎乗中に合図を出して馬がチューイングをしていたら、「あなたの指示に従いますよ」というサインです。乗り運動の時以外でも、馬が人の指示に対して納得した時にチューイングサインが見られます。
一見すると、馬が怒っているように見えるしぐさですが、チューイングは人の合図にしっかりと反応している証拠なのです。
馬がチューイングをしたら、「あなたの指示に従います!」と馬がメッセージを送ってきてくれたのだと思ってくださいね。
また、チューイングに似た動きを幼い仔馬がすることがあります。仔馬が群れのなかで大人の馬にチューイングのような仕草をするのです。
この場合は、仔馬自身が大人たちに「私は子供で無害です」、「服従しています」、「威嚇しないで」というアピールに使っているのだそうです。
仔馬のこのしぐさは「スナッピング」と言って、仔馬が群れの大人の馬に対して意思を表すために口をパクパクして見せる行動といわれています。
フレーメン
上にある画像のように、馬が上唇と鼻を引き上げる表情をするのを見たことはあるでしょうか?
「馬が笑う」と形容されるしぐさですが、これは「フレーメン」と呼ばれる生理現象です。
馬の鼻の中には、鋤鼻器(じょびき)またはヤコブソン器官と呼ばれる、においを感じ取る器官があります。その器官を空気にさらすことによって、より多くのにおい物質を取り入れようとしている行動だと考えられています。
どんな時にするの
フレーメンは、主にフェロモンの受容を行う時に見られる行動です。
フェロモンは、動物の体内で産生されて体外へ放出され、同じ種類の動物に対してその行動や生理状態に影響を与える物質です。馬の尿にはフェロモンが多く含まれていて、異性の尿を嗅いでフェロモンを受容した際によく見られます。メス馬のからだを拭いたタオルでオス馬の顔を拭こうとした場合も、メス馬のフェロモンに反応してフレーメンをすることがあります。
それ以外にも、今までにあまり嗅いだことがない香りや、良い香りがするとき、例えば香水やたばこの煙のにおいなどをかいだ時にもフレーメンをします。
馬以外の動物や人に対して、馬が相手を認識しようとする場合にもフレーメンをすることがあります。
馬の嗅覚の感度は、人間のおよそ1000倍とも言われています。馬の嗅覚はとても優れているため、においから沢山の情報を得ているのですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、「口元から読み取る馬の気持ち」についてご紹介しました。
言葉が話せない馬ですが、実はそのしぐさを見ていると、人に対してたくさんの意思表示をしています。そして、馬もにおいなどから周囲の情報を細やかに感じ取っているのです。
馬の気持ちを読み取って、馬との楽しい時間をたくさん過ごしていきたいものですね!