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寒い冬を乗り切るための馬の防寒対策

寒さに対する馬の適応力

寒い冬を乗り切るための馬の防寒対策

季節が変わると人間は衣替えをし、暑さ寒さに対応します。衣服だけでなく、エアコンやストーブ、乾燥の時期には加湿器を駆使して体調を崩さないようにします。さて、外にいる馬はどうしているのでしょう。他の動物のように、冬仕様の冬毛に守られるのでしょうか。大きな厩舎の空調はどうしているのでしょうか。馬の寒さに対する適応力と防寒対策について説明します。

馬は寒さに強い?

馬はもともと、暑さに弱く寒さに強い動物と言われています。夏は炎天下での運動量を考慮したり、厩舎が涼しく感じられるよう風通しを良くしたりしています。一方、冬の寒さは夏の暑さほど負担がないと言われています。寒さが厳しい北海道は、最低気温がマイナス10℃を下回ることもありますがたくさんの馬たちが元気に過ごしています。それでもやはり、馬も寒さを感じます。あまりにも寒いときには、人間と同様、温かい場所を求めます。また、高齢になってくると寒さに対する負担も大きくなり、体調を崩す馬も増えます。それでも、乗馬用の馬や競走馬など人間が管理している馬たちは、体調が悪いと人間が世話をすることが出来ますし、対処することもできます。
人間が管理しない野生の馬たちは群れで自分たちの身体を寄せ合い、寒さをしのぎます。

寒さへの適応力

馬が寒さに耐えられるのには、寒さに強い体質だけでなく、馬の適応力が優れていることもあげられます。カナダで行われた研究によると、馬は温暖な地域から雪が降る寒冷地に移動させても、その寒さに10日から21日で適応するようです。また、寒冷地で暮らす馬は、馬体がその寒さに適応し、マイナス15℃まで、馬の服やシェルターがなくても過ごすことができるという報告があります。

馬の服、馬着(ばちゃく)について

寒い冬を乗り切るための馬の防寒対策

寒さに強い馬といっても、寒さで風邪をひいたり、お腹が痛くなったりすることもあります。そのため「馬着(ばちゃく)」という馬の服を使用することがあります。馬着は、「馬服(うまふく)」「馬衣(うまぎぬ)」と呼ばれることもありますが同一のものです。胴体を覆うような形状をしており、胸部の前で金具やマジックテープで止め、胴体の下の部分、お尻の部分をベルトでしめて固定するような形をしています。素材は中綿が入っているもの、ナイロン製、フリース製のものなどさまざまです。そして馬着は、防寒以外にも使われる優れものになっています。馬着について、その役割と注意点を説明します。

馬着の役割1 体調管理

まず、馬着の効果として最初に挙げられるのは、体調管理です。寒い冬、人間が厚着をするように馬にも防寒目的で馬着を着せます。
また、私たち人間でも、汗をかいた後にそのままにしておいて体を冷やす、そんな経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。馬も同様、運動後に汗をかいたままにしておくと、汗で急激に体温を下げてしまうことがあります。そのため、運動後に保温を目的として馬着を着せることもあります。他にも、雨天時や夜間時などでも保温を目的として使用します。体調管理には欠かせないものです。

馬着の役割2 虫が媒介する伝染病予防

馬は露出が多ければ多いほど、ハエやアブなど虫が媒介する伝染病や虫に刺されるリスクは高くなります。そのため、馬着を着させて馬をそのリスクから守ります。フライシートとも呼ばれる、虫よけ専用の馬着もあり、馬着の繊維に虫よけ加工を施したり、実験から虫を寄せにくい柄を調べ、その柄(ゼブラ柄)をデザインしたものもあります。また、形も胴体だけ覆うもの以外に、首まで覆うもの、耳まで覆うもの、顔まで覆うものまでさまざまです。

馬着の役割3 防汚

馬着は、大きな胴体を覆うので馬体の大半が覆われます。つまり、広範囲にわたり汚れるのを防ぎます。馬を管理する立場の人にとっても、実は便利なものです。

馬着の注意点

このように馬着は、馬にとって多岐にわたり使用できる便利なものでもありますが、注意点もあります。
まず、馬着をストレスに感じる馬もいるということです。馬が馬着を嫌がり脱ごうとしても上手く脱げず、事故につながることもあります。また正常な位置からずれてしまい、馬の肩である鬐甲(きこう)を怪我することがあります。
また、防寒のために馬着を着せても、急に天候が変わり暑くなることもあります。馬は、自分で馬着を脱げません。そのまま放置されれば体温は上がり、暑さに弱い馬にとっては大きなストレスになります。馬着を着せた状態で汗をかいていないか手で確認するなど、馬着を使うときには、注意が必要になります。

寒い時期は毛が伸びる?馬毛について

寒い冬を乗り切るための馬の防寒対策

犬や猫などのペットを飼っている人は、換毛期があり、夏毛と冬毛の違いを感じるかも知れません。馬にも夏毛と冬毛があります。夏毛は、馬の美しさを際立てるような、ツルツルピカピカが印象的な毛です。そして冬毛は、モコモコフワフワで長い毛になります。寒さから身を守るため、寒い地域ほどモコモコの度合いは高まります。

冬毛の馬が見当たらない?

乗馬クラブの馬や競走馬など、人が管理している馬をみていると、あまり冬毛がはっきり分からないかもしれません。特に競争馬で冬毛があると「あの馬はダメ」という印象さえ持つ人もいるようです。

冬毛が目立たないの理由

人間が管理しない野生の馬は、寒くなってくると本格的な寒さに備えて、冬毛が生えてきます。しかし、人間が管理している馬は、1年を通して食事も厩舎も温度も管理され、寒くなれば馬着を使用します。そのため、冬毛が野生の馬ほど生えてくる必要がないのです。

競走馬で冬毛があると…

冬毛がある競走馬は、あまりいい走りが期待されないようです。本当にそうなのでしょうか。そもそも、なぜそのような印象を持たれるのでしょうか。
競走馬を選ぶときに、もちろん過去の成績も参考になりますが、実際に馬をみて決めることも大きなポイントです。そこでは、強そうなオーラを感じ取りながら、筋肉がしっかりついて、ツヤがあり、いい状態にあるかをみます。いい状態にあるということは、鍛えられて代謝がよくなっている、人間に手と時間、愛情をかけられながら、ブラッシングされてツヤのある美しい状態です。人間の愛情を受け取っている馬は、人間とのコミュニケーションもスムーズで満足のいく結果を出してくれると期待されているのです。一方、モコモコの冬毛ですと、鍛えられている印象が薄く、いい走りをしてくれるか不安になります。そんな理由から、冬毛があり、モコモコ状態の馬は、あまりいい印象が持たれないようです。

冬毛を刈る理由

乗馬用など人間が管理している場合、寒い冬でも冬毛を刈ることもあります。その理由は、モコモコの冬毛で走ったり、障害を跳んだり、運動をするということは、人間にとってはモコモコのコートやダウンを着て運動しているようなものです。それでは、馬も大変です。
また、冬毛は長いため、運動で汗をかいたあとも乾きにくい特徴があります。乾きにくいと身体を冷やし体調を崩してしまいます。そのため、早く乾かす目的もあり、毛刈りをするのです。

まとめ

寒い冬を乗り切るための馬の防寒対策

人間に比べて寒さに強い馬ですが、その強さには驚きます。それでも、人間が管理する馬に対しては、馬着を使用したり、敢えて冬毛を刈ったりするなど、注意と対応が必要になります。馬と気持よく触れ合うためにも、馬を観察、理解するようにしてみると新たな発見があるかもしれません。

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