操作しやすい手綱の握り方
乗馬の際に、手綱の長さや握り方に迷うことはありませんか?
どのくらいの長さと強さで手綱を握れば良いのかお悩みの方へ、今回は操作しやすい手綱の握り方などについてまとめました。
手綱の役割
手綱とは、乗馬の際に馬との意思疎通を図るための道具です。馬の頭に装着する頭絡や馬が口にくわえる馬銜(ハミ)に繋げて使います。
手綱を操作することで、馬に指示を与えられます。左右に曲がったり止まったりなど、車のハンドルやブレーキのようなものです。
手綱には、「引く」、「押す」、「開く」、「控える」、「譲る」の5つの操作方法があります。それぞれどのような役割を持つのか、以下にまとめました。
手綱を引く
「手綱を引く」とは、「止まれ」の指示です。
乗馬を始めたばかりの時に、まず教えられるのは馬の発進と停止の操作です。
しかし「馬術」では停止の際には手綱は引きません。馬としっかりコンタクトが取れている状態では必要ない動作だからです。
手綱を押す
「手綱を押す」とは、馬を回転したい方向へ誘導するための動作です。馬のアゴを反対側へ押すようにして使います。
手綱を開く
「手綱を開く」とは、馬に対して行きたい方向を知らせるための動作です。手綱で直接馬の顔を進行方向に向かせます。
手綱を控える
「手綱を控える」とは、馬を止めたいときに使います。
「手綱を引く」と同じ操作と思われるかもしれませんが、手綱を引くとの違いは、止めるのではなく馬の動きが止まるのを待つという点です。
手綱を握っている拳を固くし、手綱の張りを強めます。
手綱を引っ張るのではなく、肘を後ろに少しだけ引くイメージです。
手綱を譲る
「手綱を譲る」とは、手綱を少しだけ緩めることです。馬が常歩をしている時に、頭が動くことで手綱が引っ張られるのを防ぐためにおこないます。
上記の5つの動作を習得すると、馬に的確な指示を与えることができます。
力加減を変えたり、脚や重心の位置の変化と手綱での操作を組み合わせたりすることで、何通りもの指示を馬に与えることができます。
手綱の長さと調整の仕方
手綱の調整についてですが、その前に手綱の握り方について確認してみましょう。
手綱の握り方には、2つのやり方があります。
ひとつ目は、4本の指全部を手綱の上にかぶせて握る方法、もうひとつは小指以外の3本の指だけかぶせて握り、小指は手綱の下に置いておく方法です。どちらの握り方でも問題はありません。ご自身に合う方法で握って下さい。
次に手綱の調整方法ですが、肩から肘は上半身の横でキープします。
手綱の長さ調節の際は、肩から肘の位置は変えずに、手綱をたぐり寄せて短くします。
この時の手の感覚は、手綱を強く引っ張ったり馬に引っ張られたりするのではなく、手綱が指に引っかかっているような状態です。
ポイントはハミへの当たり具合
手綱操作するときに重要なことは、ハミへの当たり具合です。
ハミは、馬の前歯と奥歯の間にある歯のない部分「歯槽間縁(しそうかんえん)」に収まるよう頭絡の長さを調節し口にくわえさせます。
手綱を緩めていてもハミが当たっていれば、馬にとってはプレッシャーになります。
反対に、どれだけ手綱を張っているように見えても、ハミが当たっていなければ馬にとっては何の指示も与えられていないのと同じ状態になってしまいます。
実は手綱を張る加減は、経験に頼るところが大きいのです。
乗馬を始めて間もない人や、速歩や駈歩の練習を始めたばかりの人は、ついつい手綱を持つ手を上げてしまいがちです。
そのため、多少手を持ち上げてもハミを刺激しないように「手綱を長めに持って」とインストラクターから言われることが多いです。
手綱に余裕があるため、ハミを当てたいときは腕も使ってしっかりと引かなければなりません。
一方、手綱を張った状態で静かに乗れる人は、腕を大きく動かさなくても握るだけであったり、手首を返すだけでハミを当てることができます。
動きが小さいため、外からは何もしていないように見えるかもしれません。しかしハミの当たり具合は、馬にとってプレッシャーになるほど十分に当たっているのです。
手綱を操作する本来の目的は、ハミのコントロールです。
まずはハミの当たりを意識しましょう。
ハミの当たりを意識すると、手綱の持ち方や手の動かし方も変わります。
大きな動きをする必要がなくなり、人馬共に楽なコミュニケーションを取れるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、「操作しやすい手綱の握り方」についてまとめました。
手綱の握りや操作方法を覚えることで、手の位置が安定し、鐙をしっかりと踏むことができるだけでなく、馬のやる気を引き出すこともできます。
最初は難しいかもしれませんが、練習あるのみです。
焦らずがんばりましょう!