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正しい拳の位置と握り方

初心者のうちは馬のスピードや身体のバランスに気を取られて忘れがちな「拳」。しかし、スピードやバランスのコントロールにおいても、拳はとても重要です。そこで今回の記事では、拳を使う場面や正しい拳の位置などについて解説していきます!

拳とは

正しい拳の位置と握り方

拳と言えば、真っ先に「パンチするときのように固く握った手…?」というイメージが浮かぶかもしれません。そもそも、乗馬における拳とは何を指しているのでしょうか?

拳=固く握った手ではない!?

乗馬をしているときに拳と言われたら、手を固くグーにした「状態」というよりは手綱を握っているときの「手」そのもの。もしくは、その拳を使って出す扶助のことを言います。


例えば、拳が高すぎると言われたら手綱を持つ手の位置のこと。ですが、拳で押すといわれたらグーの手で馬の首などをグリグリ押すのでなく推進を促すように手綱を持った拳で扶助を出すことになります。


そのときの文脈やインストラクターさんの言っている内容をよく聞いていると「今は手自体のことだな」「これは扶助のことだな」とすぐに分かるようになってくるはずです。

「拳を使う」とは?

では、拳を使うとはどういうことなのでしょうか。拳には左右に「開く」ほか、「握る」「引く」「ゆずる」などの動作があります。


このように、主に手首より先の変化により扶助を出すのが拳を使うということ。具体的に、どのような場面でどう使うのかについては、次の見出しで詳しく確認していきましょう!

拳を使う目的

正しい拳の位置と握り方

ここからは「拳を使う目的」つまり、どのようなタイミングでどのように拳を使って扶助を出していくかを紹介します。実際に自分がその動きをするとき、拳をどう動かしているかも思い出しながら読んでみてくださいね。

目的①止める

乗馬を始める前、もしくは乗馬を始めたばかりの頃は「止める=手綱を引く」とイメージしがちかもしれません。しかし、実際はヒジを大きく曲げて手綱を思い切り引く必要はありません。


手綱に触れる程度だった薬指をしっかりと握るくらいの拳の変化で、馬は扶助を理解してくれます。この合図がしっかり馬に伝わるためにも、普段は拳の薬指を緩めている状態で手綱がたるまずキツ過ぎず、自然に張っている状態に保っておくことも大切です。

目的②進行方向を変える

進行方向を変えるときは「曲がりたい方の手綱を引く」というよりは、曲がりたい方向の拳を開きます。そして、反対側は手綱で壁を作るように軽く手綱を張ります。


もし拳を開かずに曲がって欲しい方向の手綱だけを騎乗者側に強く引くと、馬にとっては左右の口角にかかる力が大きく変化した状態。これではストレスを感じてしまいますよね。


馬への扶助は、馬のイラつかせず混乱させず「こっちに進みやすいからこちらに行こう」と馬が自然に方向を変えられるイメージがベストだと思います。

目的③歩度を詰める

馬場馬術で指示通りに進むにも、障害馬術で思い通りの歩数で踏み切るためにも、歩度の伸縮をマスターすることは重要です。


特に歩度を詰める(収縮させる)ときは「脚で進ませるけれど手綱は譲りすぎず、歩幅を狭くするためにハミで少し違和感を出す」ような複雑な扶助が必要になります。


このときに拳を意識せずに腕で強く手綱を引くと、馬は「止まれ」の扶助と勘違いをして混乱したり、脚が入っているにもかかわらずハミを強く引かれて進めないので苛立ってしまうはず。


そうならないためにも、拳を使うことで「適度に手綱を張りつつ、止まってしまうほど制限し過ぎない」という微妙な調整が可能になります。

拳の位置

正しい拳の位置と握り方

拳を特に意識すべきなのはどんなときか?が分かったところで、全身から見て拳がどの位置にあるのが良いバランスなのか考えてみましょう。

手綱と腕は一直線上

拳を正しい位置に保つために大切なのは、腕の角度です。例えば、力んでヒジが曲がりすぎれば拳の位置は上がってしまいますよね。


腕が正しい角度になっているかチェックしたいときは、手綱と前腕(ヒジより先)の角度を見てみましょう。ヒジから馬の口角が手綱と前腕で一直線に繋がっていればOKです!


乗っているときは横から見た角度が分かりにくいので、家族やインストラクターさんにスマートホンでムービーを撮ってもらったり、馬場に大きながある場合はそれを見て確認してみましょう。

拳の高さ=おへその下

「とは言っても、鏡が無いけど自分で確認したいときもあるじゃない」という場合は、拳の高さが一つの指標になります。


腕が正しい角度に保たれているときは、だいたい拳がおへそより少し下あたりに落ち着くはず。もし、拳がおへそより上がっていたら「力み過ぎているかも」と気にしてみると良いかもしれませんね。

拳の握り方

正しい拳の位置と握り方

拳の位置と同じく重要なのが、拳の状態です。では最後に、拳自体はどんな状態に保つのがベストなのか確認しておきましょう。

基本の握り方

手綱は、ハミに繋がっている側の延長を小指と薬指の間に挟み、その続きを薬指・中指・人差し指でつつんで人差し指と親指のあいだから抜けるように持ちます。


言葉で説明すると難しいですが、上の画像のような感じですね。このように握ることで、薬指の握り具合で手綱の張りを微妙に調節できるようになります。

通常はふんわり握る

記事の冒頭で「拳とは言っても、パンチのような固く握ったグーとは違う」とお話ししましたね。乗馬の拳は、扶助を出す瞬間に手綱を張るために通常は余裕を持たせてふんわり握っている必要があります。


教える人によっては「ウズラの卵が手のひらに入るくらいふんわりで良い」などの表現で伝えていることもあるみたいですね。

拳はやや前方に傾けて

腕に余計な力が入っていると、拳が上がったり必要以上に拳が起きている状態になりがちです。この状態では、例えば馬を停止させるために拳を強く握っても手綱の張りはあまり変わらず扶助がうまく伝わりません


拳は、親指の爪が自分から見えるか見えないかくらいの「やや前方に傾いている」状態がベスト。この角度であれば、馬が急に首を前へ伸ばして手綱が引っ張られたときなども、すぐにギュッと手綱を強く握ることができます。

まとめ

大きな動物を制御するには大きな力が必要と思われがちですが、馬は小さな違和感や指示にもすぐに気付いてくれる繊細な動物です。正しい拳の位置&握り方を身に着けることで、馬に伝わりやすく余計な力を使わない扶助をマスターしていきましょう!

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