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障害飛越の基礎

障害飛越にも種類があることをご存じですか?障害飛越のルールも何となくは把握しているけれど、そこまで詳しくは分からないという方も多いのではないでしょうか。今回は障害飛越の種類やルール、設置される障害物について深掘りしていきます。ルールや障害の難易度を知ると、競技会の見方も変わってくるかもしれません。

障害の種類やルール

障害飛越の基礎

障害飛越には大きくわけて、「標準競技」と「スピード&ハンディネス」の2種類があります。

よくみられるのはオリンピックでも採用されている「標準競技」。標準競技では、障害を落としてしまった場合や1度目の反抗、規定タイム超過を減点とし、減点の少ない人馬が優勝します。ちなみに2度、反抗があった場合、制限タイム(規定タイムの2倍の時間)の超過、落馬、経路違反はその場で失権となります。同じ点数の人馬がいるときは、走行タイムの早い人馬が優勝となる場合と優勝決定戦である「ジャンプオフ」を行う場合があります。

スピード&ハンディネス」は、障害物の落下を走行タイムに4秒ずつ加算していく競技です。最終的に早いタイムで走行を終えた人馬が優勝となります。1度目の反抗の場合、ペナルティは課されないものの、タイムが大幅にプラスされてしまうため、不利になります。2度目の反抗は標準競技と同様に失権となります。この競技では規定タイムの設定もないため、規定タイムの超過でペナルティを科されることはありません。ただし、制限タイムは600m未満のコースで120秒、600m以上のコースで180秒と定められており、これを超過すると即、失権となります。落下をさせずに走行することが大切なので、どれくらいのスピードで走行するか適切に選択しなくてはなりません。難しいコースの場合は、速度を落としても、障害物を落とさないようにする戦略をとった人馬が優勝することもあります。

障害物の種類

障害飛越の基礎

障害の試合では人馬の能力別にグレードが定められています。最難関の大障害Aは障害物の高さが最大で160cmほどにも及び、一番下のグレード中障害Dでも高さは最大で110cmにも達します。

さらに、障害物にはさまざまな種類があり、無事に飛越するには求められるスキルや能力も違います。コースデザイナーはこういった多様な障害を組み合わせることによって、人馬にさまざまな課題を課すのです。

垂直障害

障害飛越の基礎

障害と聞くと誰しもが思い浮かべるのがこのベーシックな障害物。2つのポールに対して、垂直にバーが設けられています。踏切位置が近すぎたり、遠すぎたりするとバーを落下させてしまいます。

オクサー障害

障害飛越の基礎

垂直障害を2台つなげた障害です。手前と奥のバーの高さが同じものと手前が低いものがあります。奥行きがあるため、上に飛びすぎて奥のバーを落としてしまうことがあります。馬のコントロールが求められる難しい障害です。

コンビネーション障害

垂直障害が連続で設置された障害です。人間のハードル競走のようなイメージです。コースデザイナーが障害と障害を絶妙な距離感で配置します。乗り手は下見の時間に障害の間の距離を測って、何完歩で踏み切るのか、自分の馬の性格やスタイルを考慮し戦略を考えます。

水濠障害

水が張ってある障害です。高さはないものの、奥行きがあり、水が張ってあるのがポイント。水に反射した光にびっくりして馬が躊躇したり、反抗をしたりすることがあります。水に肢がついた時点で減点となります。難易度は非常に高いです。

ほかにもクロスカントリーでは、固定障害がありますし、普段の障害レッスンでは横木通過やクロスバーなどの障害もあります。

障害馬術で使う道具

障害飛越の基礎

日本馬術連盟によって、障害馬術に出る馬の馬装にも細かい規定が設けられています。ブリンカー、フライマスクは禁止です。マルタンは可動式のランニング・マルタンのみ装着可能で、頭絡の頬革上には3cm以内の皮やシープスキンなどを取り付けることのみ許可されています。特に注意が必要なのは四肢のプロテクター。素材や作りによって、留め具やその数が決められていますので、試合に出る際は必ず確認してください。

乗り手の服装にもルールがあります。日本乗馬連盟公認の競技会では一般に、上は外向きボタンで黒、紺、赤もしくは事前に許可を得た色のジャケット、襟付きで袖や襟が白いシャツに白のタイやチョーカーの着用が必要とされています。下は白かオフホワイトのキュロット、長靴を着用しなくてはなりません。雨天には透明か半透明の雨具を着用することが許可されることもあります。もちろん、ヘルメットは必須。鞭も持てますが、長鞭は不可です。拍車は使用できますが、円盤部分に刻み目があったり、のこぎり状の加工がなされていたりする輪拍は使用不可です。

服装に関しては、購入する前に競技会の規定を確認をした方がいいでしょう。日本馬術連盟公認の競技会でない場合はそこまで厳密ではないかもしれませんが、日本馬術連盟の規定に従った服装を準備しておけば、どの競技会に出る場合も不足はありません。また、馬場馬術の服装規定とも違うため、両競技に参加する方は注意が必要です。

まとめ

今回は障害飛越について深掘りしてみました。春から競技会のシーズンが到来します。事前にルールを知っておくと、選手の戦略も見えてきて、競技会の観戦がさらに楽しいものになるかもしれません!

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