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【どっちのスタイル?】ブリティッシュスタイルとウエスタンスタイルの比較

乗馬といえばどんなイメージがありますか。観光地でのんびり乗馬、またはオリンピックでみるような燕尾服に白いキュロット、そして黒のブーツを履いて馬場で競技を行う乗馬をイメージする人も多いと思います。
しかし乗馬はこのようなブリティッシュスタイルの他に、ウエスタンスタイルがあります。
この二つのスタイル、具体的にどんな違いがあるのか、比較してみましょう。

ブリティッシュスタイルは正確さと美しさが主眼

【どっちのスタイル?】ブリティッシュスタイルとウエスタンスタイルの比較

ブリティッシュスタイルは紳士の国、英国の軍の騎馬隊をベースに、王侯貴族の趣味・たしなみとして生まれました。そのため正確さ・美しさが重要視されます。
オリンピックなどの競技もブリティッシュスタイルなので、テレビなどを通じて目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

ウェスタンスタイルは馬の扱いやすさ主眼

【どっちのスタイル?】ブリティッシュスタイルとウエスタンスタイルの比較

ウエスタンスタイルはアメリカの西部開拓時代のカウボーイ乗馬がベースになっている馬術です。
元々カウボーイは、メキシコやテキサスなどの大陸南部から中西部にかけて原野で野生化していた牛を駆り集め、それを市場である東部や北部へ馬を連ねて何日もかけて移送していました。そのためカウボーイは毎日、長時間馬に乗っており、カウボーイ乗馬はスポーツや娯楽というより生活のための乗馬になりました。
そのような背景から、ウエスタンスタイルの鞍はしっかり身体を支え、長時間の騎乗でも疲れないようなつくりになっています。
また広大な土地で牛を追うことを想定しているため、馬を操作する手綱も、作業を妨げないように片手でコントロールできるようになっているのです。

ジェントルマンとともに発展したブリティッシュスタイル

【どっちのスタイル?】ブリティッシュスタイルとウエスタンスタイルの比較

ブリティッシュスタイルは、イギリスの上流階級、ジェントルマンのたしなみから生まれた流派ということもあり、美しさや正確さを重視し、馬術家の礼儀・作法を重んじます。
日本においては明治時代の大日本帝国陸軍騎兵学校が取り入れ、現在もほとんどの乗馬クラブや学生馬術でもブリティシュを取り入れています。
そのため、日本の乗馬人口は圧倒的にブリティッシュスタイルが多くなっています。

競技内容

ブリティッシュスタイルの競技会といってもいくつか競技が分かれています。それぞれの競技で馬の魅力を感じることが出来るので、その一部を紹介します。

馬場馬術競技

馬をいかに美しく、正確に運動させるかを競う競技です。礼儀作法も採点対象になり、騎手は正装、馬もたてがみを編み込みするなどのドレスアップをして参加します。人馬一体で評価されるため、騎手は馬を動かすだけでなく自分の姿勢や動きにも注意が必要です。

障害飛越競技

馬に乗りながら障害物が設置されたコースを通過する競技です。速く走行することも大切ですが、障害物を落下させずに飛越していくことも大切です。障害物は左右の支柱にバーをかけたものがほとんどですが、レンガ壁を模したものや水を張った水濠などもあります。

総合馬術競技

総合馬術競技は、馬場馬術競技・クロスカントリー競技・障害飛越競技の3種目を同じ人馬で3日間かけて行う競技です。そのため一つ一つの競技だけでなく、3日間の馬のコンディションを保つことも重要になってきます。

馬具

ブリティッシュスタイルはどの競技を見てもわかるように、細かく繊細な動きが求められます。それに合わせて馬具は、乗り心地や耐久性よりも競技に有利なつくりになっています。

操作

競技会で求められるものは、正確さ・美しさです。馬は首を上げ、顎を引いた状態が良いとされています。そのため騎手は手綱をピンと張り、馬をしっかりコントロールすることが大切です。

服装

普段の服装はヘルメット・キュロットと呼ばれる、おしりやふくらはぎが補強されている乗馬用ズボン・ブーツが基本になっています。ブーツもロングブーツまたはショートブーツにチャップスという組み合わせなど選択肢があります。
しかし、もともとブリティッシュスタイルが美しさや礼儀作法を重んじるスタイルであることから、競技会に参加するようになると服装の規定がでてきます。
競技によっても服装も変わり、シャツやキュロット、じょうらんなどの色も規定があるので、競技会をみる機会があれば服装をチェックしてみるのもおすすめです。

カウボーイとともに発展したウェスタンスタイル

【どっちのスタイル?】ブリティッシュスタイルとウエスタンスタイルの比較

西部劇にでてくるカウボーイを想像してみてください。乗馬は整備されていない道を移動するための交通手段であり、毎日長時間移動することもあります。カウボーイにとって乗馬は必要なものであり、生活の一部なのです。
そんなカウボーイから発展したのがウエスタンスタイル。競技内容はもちろん、馬具にもカウボーイの技と知恵が盛り込まれています。

競技内容

日本で行われるウエスタン馬術の競技内容は、カウボーイの仕事から発生したものです。競技に参加するのはもちろん、観戦する方も馬のダイナミックな動きに魅了されることでしょう。ここではその一部を紹介します。

ウエスタンホースマンシップ

基本的なウエスタン乗馬の技術が問われる競技です。短距離走行で高度な技を披露するため、見た目以上に難易度が高い競技です。

レイニング

牛はのんびりしているイメージが強いですが、実は激しい動きをします。そんな激しく動き回る牛を追いかける技術から生まれた競技が、このレイニングです。ウエスタンならではのダイナミックな動きが見物です。

トレイルクラス

馬は臆病な動物で、見慣れないものがあると近づくのもいやがります。しかし、外乗では木が倒れていたり、橋があったり馬にとって予期せぬものが溢れています。トレイルクラスは外乗を模した障害を乗り越えられるかを競うウエスタンらしい競技です。

カッティング

馬に乗ったまま、多数いる牛の群れから指定された1頭の牛だけを連れ出すという競技です。カウボーイの仕事からは想像できるシチュエーションですが、なかなか難しい技で、みていると不思議な感覚になります。

馬具

ウエスタンスタイルの鞍は、重労働に耐えられるように頑丈なつくりになっています。また長時間乗ること、乗ったまま作業をすることが想定されているため、素早く合理的に動けること・安定していること・乗り心地がいいことが求められます。
そのような目的で作られたウエスタンスタイルの鞍は、初心者でも安心して乗れることから、観光地の乗馬クラブでも使われています。

操作

一日中、馬に乗って牛を追い続けるカウボーイの仕事。人間も馬の長時間の労働に疲れないようすることが重要です。そのため、ウエスタンスタイルは馬の自然な動きを邪魔しない乗り方が基本になっています。
例えば手綱もダランと緩め、馬の首も水平になっている状態が良いとされています。また、利き手は作業用に空けておくため、片手手綱もウエスタンの特徴です。

服装

服装はカウボーイの仕事に適したもので、乗りやすさや動きやすさが重視されます。
具体的には皆さんの想像どおり、カウボーイハットにジーンズ・ウエスタンブーツが基本になります。
カウボーイハットはかっこいいだけではなく、実は実用的なのです。例えば特徴的な大きいつばは日よけにもなりますし、雨の日には雨よけにもなります。
またウエスタンブーツも鐙に入れやすいデザインになり、踵も落馬したときの怪我のリスクを小さくする工夫がされています。
ウエスタンスタイルの服装は、仕事を前提とした工夫がたくさんつまっているのです。

まとめ

【どっちのスタイル?】ブリティッシュスタイルとウエスタンスタイルの比較

ひとことで乗馬といってもブリティッシュスタイルとウエスタンスタイルがあります。
この二つの違いはその馬術が生まれた背景まで遡ります。ブリティッシュスタイルは英国の騎馬隊をベースにしたもので、正確さや美しさが求められる馬術。一方、ウエスタンスタイルはカウボーイの仕事から生まれた馬術で長時間騎乗すること、合理的に素早く動けることが求められています。
日本ではブリティッシュスタイルが主流ですが、機会があればどちらも挑戦してみるのも面白そうですよね。

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