日本の乗馬人口と乗馬ファンの男女比
乗馬を習っていると、自分の周りは乗馬をしている人だらけですよね。そのため忘れてしまいがちですが、実は乗馬は国内の競技人口は多くありません。今回の記事では、日本の乗馬人口について解説していきます。
乗馬人口の定義
皆さんは、どれくらい馬に乗っていたら「乗馬をしたことある?」と聞かれて「あるよ!」と答えますか?一口に乗馬人口と言っても、質問のしかたや回答者の意識によって定義はさまざま。まずは、乗馬人口の定義について少し考えてみましょう。
定義①馬に乗ったことがある人
生まれたときから今までで、一度でも馬に乗ったことがあれば「乗ったことがある!」と答える人もいると思います。この定義の中では、おそらく「子供の頃に旅行先や牧場で観光乗馬をした」という人が一番多いのではないでしょうか?
大人になってからは、乗馬を習い始める以外のキッカケが少ないかもしれませんが、海沿いや高原などに旅行に行ったときに外乗を楽しんだ!という人もいるかもしれませんね。
定義②乗馬を習っている人
以前外国の方から「日本人は謙虚で、挨拶できるくらいじゃ英語しゃべれます!って言わないよね」という話を聞いたことがありますが、おそらくこれは乗馬に関しても同じですね。
多くの人が、馬に乗ったことがあるだけでなく定期的なレッスンを受けて初めて「乗馬をしたことがある」と答えると思います。統計上はっきりした数字が出せるという意味でも、こちらの定義のほうが主流と言えそうです。
他のスポーツを見てみると「週に1度以上はそのスポーツに関わる練習または競技等に参加している」など頻度によって対象者を定義している団体が多いようです。
定義③選手として競技に出ている人
②よりもさらに厳しい定義として、乗馬の「競技人口」を乗馬人口とするという考え方もあります。つまり、習い事として嗜んでいるというレベルにとどまらず試合に出場しているということですね。
とはいえ、定期的に乗馬のレッスンを受けたり学校の馬術部などに入っている人は、規模やレベルの差はあれど何らかの競技会に出ることが多いという意味では、②と③の定義での乗馬人口はあまり変わらないかもしれません。
「乗馬経験」がある人の数は?
乗馬人口にもいろいろな定義があるということがお分かりいただけたかと思いますが、では実際に日本ではどれくらいの人数が乗馬をしているのでしょうか?
まずはクラブに属しているか定期的にレッスンを受けているかなどを加味せずに、最近馬に乗ったよ!という人の数を見てみましょう。
乗馬人口に統計はあるの?
今回参考にしたのは、スポーツ庁が毎年行っている「スポーツの実施状況等に関する世論調査」です。
この世論調査の中には「この1年で行った運動やスポーツの中で特に多く実施したものや好きなものを3つまで回答してください」という質問があり、この回答の中に「乗馬」という項目があります。
令和3年度の結果を見ると、世論調査に回答した20000人回答者のうち16021人がこの質問に回答しており、そのなかで「乗馬」と回答した人は0.4%(64人)でした。つまり回答者のうち0.32%の人が、1年以内に行ったスポーツとして乗馬を挙げているということです。
日本全体では何人になる?
この結果を日本の人口に置き換えると、単純計算では1億2550万2千人のうち0.32%(40万人)が一年以内に乗馬をしたことがあるということになります。みなさんは、この数を思っていたより多いと感じますか?少ないと感じますか?
もちろん地域差や年齢層の比率など、この調査の回答者と日本全体では多少現状に差は出るはずです。また、質問も複雑な条件なので、もしかすると「乗馬もやっているけれど他にも好きなスポーツが3つ以上あるのでそちらを記載した」という人も居たかもしれませんね。
乗馬クラブで活動している人は?
乗馬人口に関してはあいまいな部分が多いですが、乗馬クラブの会員になっている人数に関してはしっかりと集計されているはず!
ということで、日本馬事協会HPに掲載された資料を探してみました。乗馬クラブの会員として登録されている人口は平成22年の統計で約7万人。先ほどの世論調査から推測した乗馬人口と比べると、随分少ない感じがしますよね。
ちなみに、日本馬術連盟の会員数を見ると、令和3年の登録会員数は約6700人。乗馬をしている人の中にも、乗馬クラブでレッスンを受けている人や学校の馬術部で活動している人、出場したい競技会があるので連盟に会員登録している人などいろいろな人がいそうですね。
乗馬ファンの男女比は競馬ファンと真逆?
みなさんの通っている乗馬クラブや馬術部では、男女比はどれくらいですか?個人的には、インストラクターさんは男性も多いですし、所属していた馬術部も男子が8割だったので男性が多いイメージがありますが…。
実は、日本の乗馬人口の男女比は男性:女性が3:7とも言われています。さらに、乗馬をしている世代は20代が多く、30代・10代が続いています。そして、ここで意外なのが60代・70代にも乗馬人口が多いということ。
30~60代の男性がファンの中心といわれている競馬とは、奇しくも真逆の構成となりましたね。とはいえ現在は競馬もGⅠレースなどの宣伝にアイドルや若手俳優を起用。若い世代や女性のファンも増やそうという方向に動いているのかもしれません。
層が違うからこそ、乗馬をする人が引退馬のセカンドライフなどに興味を持ったり、普段は競馬を見ている人が乗ることに興味を持てると日本全体の馬文化も深まっていくかもしれませんね。
まとめ
日本の乗馬人口は、みなさんの想像通りだったでしょうか?日本の乗馬クラブの数は平成の始めに比べると増加傾向にありますが、欧米に比べるとまだまだ乗馬人口は多くありません。乗馬人口が増えて、もっと馬たちが長く活躍できる場が増やせると嬉しいですね。