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手軽に馬主感覚を持てる「一口馬主」

手軽に馬主感覚を持てる「一口馬主」

競馬ファンなら誰しもが憧れる馬主ライフ。とは言え、馬主になるためには資産1億円以上、年収が2年連続で2,000万円以上という高い壁が立ちはだかります。しかし、馬主資格を得るのが難しい方でも馬主ライフを疑似体験できる方法がいくつかあるようです。今回はそのうちのひとつである一口馬主についてご紹介します。

一口馬主の仕組みや魅力

手軽に馬主感覚を持てる「一口馬主」

馬主資格にはいくつか種類があります。おそらく多くの方の頭に最初に浮かぶのが、一人で馬を所有する個人馬主でしょう。日本中央競馬界(JRA)の要件には資産に関する要件が2点あります。まずは「今後も継続的に得られる見込みのある所得金額が、過去2か年いずれも2,000万円以上」。さらに「継続的に保有する資産の額が1億円以上」。なかなか高い壁です。

次に組合馬主という馬主資格もあります。同じグループで馬を持ち合いたいときの馬主資格であり、資産要件も多少ですが、緩和されます。日本中央競馬界(JRA)の場合は組合員全員が「今後も継続的に得られる見込みのある所得金額が、過去2か年いずれも1,000万円以上あること」を満たさなくてはなりません。また組合にも資産が1000万円以上あることが条件にもなっています。

ただし、地方競馬全国協会(NAR)の場合は「組合員各々の直近年における所得金額が300万円以上」かつ「組合名義で300万円以上の定期預金があること」となり、馬主ライフも一気に現実的になります。ただし、組合馬主の場合、自分たちで複雑な事務手続きをこなしたり、レースローテーションの選択をまとめたりしなくてはなりません。

最後に法人馬主という資格があります。この馬主資格を使用して「一口馬主」と呼ばれるサービスが一口馬主のクラブ法人より提供されます。いまや、クラブ法人の馬もたくさん活躍しているので、その存在をご存じの方も多いのではないでしょうか。

一口馬主クラブとは?

一口馬主を運営している「一口馬主クラブ」は、愛馬会法人とクラブ法人で構成されています。一口馬主は「一口馬主クラブ」の会員となり、愛馬会法人が所有する馬に出資をします。その資金をもとに愛馬会法人は馬主資格を持つクラブ法人に馬を提供します。法人馬主資格を持っているクラブ法人がクラブ所属馬を競馬場で走らせるというしくみです。

賞金等の収入はクラブ法人→愛馬会法人→クラブ会員(出資者・一口馬主)という真逆の流れで動きます。法律の制約上、ややこしい仕組みになっていますが、会員はこの仕組みを強く意識する機会はあまりありませんので心配はいりません。

「一口馬主」は金融商品として扱われます。しかし、金融商品にまつわる面倒な税金等の手続きはクラブが行ってくれるため、会員が行う税金関連手続きは本人しか行うことのできない最低限のもので済むのがメリットです。

一口馬主のクラブライフ

クラブから会員に送られてくるカタログや配信される動画、実際に馬を見ることのできるツアーへの参加などを通して、自分の好みに合っている予算内の出資候補馬を探します。競馬が「血統のスポーツ」とも呼ばれるように、成績のいい種馬の仔や素晴らしい成績を残した母馬の仔は高くなります。

出資が決まったら、クラブと契約が結ばれます。めでたく、契約を締結し、出資額の入金をすませると、出資馬のレポートや写真が定期的に届くようになります。

レースに勝利すれば、配当金が振り込まれますが、費用の方が多ければ、維持費や餌代、治療費、会費などが毎月、指定する口座から引き落としとなります。

ちなみに多くのクラブでは、会員から競走馬名を募っています。自分の付けた名前を背負って、出資馬が競馬場を疾走するかもしれません。また、出資馬が大レースに勝つと祝勝会が開かれたり、勝利記念品が作成されたりして、馬主の疑似体験をすることができます。

さらに抽選とはなりますが、出資馬がレースで勝利すると口取り(勝ち馬を囲んで口を取り、記念撮影をするイベント)にも参加することもできます。最近であれば、イクイノックスやパンサラッサ三冠馬のオルフェーヴルやデアリングタクト、少し前ならタイキシャトルも一口馬主のクラブ馬です。歴史に名を残す馬たちに出資できる可能性があるなんて、夢が膨らみますね。

本物の馬主との違い

手軽に馬主感覚を持てる「一口馬主」

「一口馬主」は「本物」の馬主ではないため、馬主と全く同様の体験をできるわけではありません。本物の馬主の場合、所有する馬を自分の都合に合わせて、牧場に連絡をして見学に行くことができます。一口馬主の場合、訪問できる時間帯などの制約も多く、牧場やクラブ側の都合に合わせて設けた日時に出資馬の見学申し込みをします。しかし、予約の時間枠にも制限があるので、すぐに埋まってしまい、なかなか見学できないこともあるようです。

また、馬のレースのローテーションや引退のタイミングなどについては、クラブと調教師や牧場などが決めるため、会員の意見が反映されることはありません。例えば、自分の出資馬が自分の意にそぐわない海外遠征に行くことになったとしても、遠征費用は会員が負担しなくてはなりません。一口馬主として、最も歯がゆいのはレース選択や引退のタイミングに意見できないことかもしれません。

さらに、正規の馬主とは違って、出資馬の出走日でも馬主席へのアクセスはできません

必要な資金

手軽に馬主感覚を持てる「一口馬主」

ここまで読んでいただき、興味を持った方にとって、一番気になるのは初期投資金額ですよね。クラブによって、変わると思いますが、初期費用にかかるのは主に以下のものです。

  • 入会金 1万円~3万円
  • 出資馬代金

ここで大きいのは出資馬代金です。クラブによって1頭あたり40口だったり4,000口だったりしますので、クラブを選ぶときには注意しましょう。40口の場合、リターンも大きいですが、その分、費用による支払いもかさみます。つまりハイリスクハイリターンです。4,000口の場合はリスクは低いものの、リターンも少ないので、リターンを気にせず、まずは疑似馬主体験をしてみたいという初心者の方におすすめです。総額1億円する馬でも4,000口なら挑戦できるかもしれません。

初期費用のほかにお支払いするものには

  • クラブ月会費 3,000円~5,000円
  • 維持費
  • 保険代

などがあります。

会費と維持費は毎月、支払います。維持費は牧場やトレーニングセンターにいるときの滞在費、治療費や装蹄費などの費用で、基本的にはトレーニングセンターに在厩している時の方が高額になる傾向があります。また、ケガや病気に備えて保険にも加入します。馬代金の3%である保険料を会員が負担しますが、大きなレースに勝つと保険給付額を上乗せするため、保険料が追徴されることもあります。

一口馬主のクラブが気になった方は、まず様々なクラブのホームページをチェックしてみることをおすすめします。クラブによって特色があるので、予算と合う自分にぴったりのクラブを是非、見つけてくださいね。

まとめ

今回は馬主の疑似体験ができる一口馬主についてご紹介しました。出資馬がレースに出走する際のドキドキは、一口馬主ならではの体験です。興味のある方は、書類を取り寄せてみてはいかがでしょうか。クラブによっても、サービスや特色が全然違うので自分にあったクラブを選ぶのが大切です。

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