「馬」がつく昭和の遊び
突然ですが、「昭和時代」の子どもの遊びといえば、どのようなものがあるかご存知でしょうか?
今どきの子どもたちよりも、外でからだを動かす遊びがとても多かった時代です。
昭和生まれの方でしたら、「缶蹴り」や「おしくらまんじゅう」、「チャンバラごっこ」など、様々な外遊びをたくさん経験されたことと思います。
たくさんある昭和の外遊びの中に、「馬」がつく遊びがあるのはご存知ですか?
それは「馬乗り」と「馬とび」です。
平成や令和生まれの方は、どのような遊びかご存知ないかもしれませんね。
今回は、「馬」のつく外遊びについてまとめました。
馬乗り
まず最初に、「馬乗り」について説明します。
「馬乗り」って乗馬のことでしょう?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、実際に馬に乗るわけではありません。地域によっては、「長馬」や「胴馬」と呼ぶところもあるそうです。
「馬乗り」とは、2つのチームに分かれて勝ち負けを競う遊びです。
10人程度が敵と味方に分かれて馬方と乗り手になり、乗り手が全員馬に乗ったところで、親同士がジャンケンをして、勝った方が次の乗り手になります。
乗り手は馬方に乗る際に、いかに馬を壊すか作戦を立てて乗っていきます。
ルールやポイント
それでは、馬乗りのルールについて説明しましょう。
ルール
まず2つのグループに分かれ、それぞれのチームの親を決めます。
親同士がジャンケンをして、勝った方が乗り手、負けた方が馬方となります。
馬方の親は壁に背を当てて立ちます。
その親の股に親以外のメンバーが頭を入れて馬を作ります。
さらに前の馬に次の馬が頭を入れ、両手は前の馬の足につかまります。これを続けることで数頭の馬のつながりが出来ます。
乗り手の親は、馬に後ろから飛び乗ります。親以外のメンバーが次々に馬方の上に飛び乗り、チーム全員が乗り終わったら馬方の親と乗り手の親がジャンケンをして、勝ったチームが次の乗り手となります。
乗り手が乗っていく間に、馬方の馬の膝が地面に着いたり手を地面に着いてしまうと馬方の負けとなり、やり直しとなります。馬が壊れたときも馬方の負けとなり、やり直しとなります。
乗り手の方は、親同士がジャンケンをする前に馬から落ちたら負けとなり、その時点で乗り手と馬方が交替となります。
また、乗り手の足が地面に付いてしまうと負けになります。馬の手に足をかけて乗ることもNGです。
乗った後で、馬の上を前進することはローカルルールでOKとなる場合があります。
前進が禁止の場合は、乗り手が1人の馬の上に集中して乗ることで馬を潰すという戦略もあります。
馬乗りは、けがをする子どもが続出したため禁止する学校が増え、少しずつ子どもたちの遊びから姿を消していきました。
ポイント
馬乗りでは、勝つための戦略を考えることがポイントとなります。
馬方の親は、建物や立ち木を背に馬を組み立てますが、乗り手が乗ってくると強い圧力がかかるので、親はしっかり足を踏ん張り、強い押しに耐えなければなりません。
乗り手は、先の人が乗って安定したのを見定めてから飛ぶことになるのですが、馬を潰しにかかるときは乗り手全員が一気に乗ることで馬を押しつぶすなど策を練ります。
特に小さい馬方は狙われやすく、その子目がけて飛び乗ったり、乗った後もゆすったり暴れたりして何とか馬を潰そうとします。
ただし、これで馬が持ち堪えたときは、乗り手が滑り落ちる危険もあります。
そのような場合、馬方と乗り手はほとんど同時に潰れるため、その判定をめぐってひと悶着が起こったりします。
馬とび
次に、「馬とび」についてご紹介します。
馬とびは2つのグループに分かれ、人が馬の姿勢になって、その上を跳んでいくスピードを競います。
馬とびはメリットが多いため、現在でも体育の授業などに取り入れられています。
ルールやポイント
馬跳びのルールやポイントについて紹介します。
ルール
馬とびは、最低2チームに分かれて対戦します。
①一列に並んで馬の姿勢になり、試合開始の合図があるまではその姿勢のまま待機します。
②「スタート」の合図で、1人が仲間の背中をとびます。
③全員の背中をとび終えたら、先頭で馬になります。
④とばれた馬はすぐにとぶ役となり、これを繰り返しながらゴールへ進みます。
⑤先にゴールラインに入ったチームの勝利となります。
ポイント
馬とびは馬になる人と、とぶ人のチームワークが重要です。
馬の時は仲間がとびやすい距離に馬を作り、自分がとぶ際には途中でリズムを崩さず最後までとび超えることがポイントです。
なるべく同じような体格の子ども同士でグループを組むのが望ましいです。
さらに以下のような点も勝つためのポイントとなります。
・ 準備運動で屈伸とジャンプをしっかりしておく。
・ 馬になる場合は、背中を地面と平行にして平らに保つ。
・ とぶ時には、馬は適度な間隔を空ける。
・ できるだけ馬の背の奥のに手をつくと跳びやすい。
馬とびについては、以下のようなメリットもあります。
・ 俊敏性や瞬発力が向上する。
・ 筋力の強化に適している。
・ バランス感覚やリズム感が向上する。
・ 協応性や連帯感が養われる。
・ チームワーク力を鍛えられる。
馬とびが今でも授業などに取り入れられているのは、上記のようなメリットがあるからなのですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、「馬」がつく昭和の遊びについてまとめました。
「馬乗り」は危険なため、現在では見ることはほとんどできません。
「馬とび」は、今でも体育の授業でおこなっている学校も多いようですが、人ではなく跳び箱のような箱を馬に見立てておこなっている学校も増えているそうです。
令和の時代に、昭和の子供たちの遊びについて少し思いを馳せてみてはいかがでしょうか?