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競馬場で走るサラブレッドの速さの秘密

サラブレッドは馬の中でも、最も速く走ることができる馬です。特に競走馬は、人を乗せて時速70km以上で走ることができます。競馬場で走る馬たちは、なぜ速く走ることができるのでしょう?

今回は競馬場で走る、サラブレッドの速さの秘密についてまとめました。

走り方の使い分け

オルフェーヴル

競馬場でレースを観ていると、競走馬がレース中に走り方を変える瞬間があります。つまりサラブレッドには、走り方が2種類あり、必要に応じてそれぞれの走り方を使い分けているのです。それぞれどのような走り方なのかご説明しましょう。

回転襲歩

レースのスタート直後に走る馬の肢の動きを見ると、最初に左後肢を、次に右後肢、続いて右前肢、最後に左前肢という順番で足が回転するように着地しています。このような走り方を「回転襲歩」といいます。回転襲歩は加速が良いのですが、疲労度が高いため長く走り続けることができません。そのため競走馬は、レースではスタートから4~5完歩ほどの短い時間に回転襲歩をおこなっています。
また回転襲歩は、安定感に欠ける走法でもあります。馬の背中が大きく揺れるので、レースではスタート直後の馬の動きを見れば回転襲歩をしていることがわかります。

野生動物でも、トラやライオンなどの肉食動物が獲物を追いかける際に回転襲歩は見られます。スタートダッシュは上手く決まるのですが、長く走れずに獲物に逃げられることも多く、持久走には向かない走法です。

交叉襲歩

レースのスタートから4~5完歩ほど加速した競争馬は、着地する肢の順番を変化させます。
最初に左後肢、次に右後肢までは同じですが、その後に左前肢、最後に右前肢が着地します。このように肢が交差する走り方を、「交叉襲歩」と呼びます。交叉襲歩は揺れが少なく、安定感が高いため長く走ることができる走法です。
草食動物は交叉襲歩で長く走り続けることで、天敵の肉食動物から身を守っています。

JRA競走馬総合研究所の調査によると、実は全ての馬がスタート直後に回転襲歩をおこなっている訳ではないことがわかりました。回転襲歩は進行方向と馬の頭が同じ向きになっているので、狭いところを走るのに向いています。それに対して交叉襲歩では、馬の頭が進行方向とは逆向きになり、狭いところを通過するのには不向きな走法になります。そのため、馬がスムーズにゲートを出ることができる回転襲歩をおこなう場合が多いと言われてきました。
しかし実際のレースでは、2つの走法でのスタートの比率は半々で、さらにはこれら2つの走法以外のハーフバウンドという、両後肢を同時に蹴ってスタートする馬もいたそうです。
馬によって、ゲートを出る際の走り方に好みがあるのかもしれませんね。

強靭な心臓

トウカイテイオー

サラブレッドが速く走ることができるのは、その体のつくりにあります。特に心臓のつくりは、速く走るために欠かせない特徴のひとつです。

心臓は、自動車のエンジンに相当します。特にサラブレッドの心臓はスポーツカーのエンジンに例えられるほど性能が優れていると言われています。

馬の心臓の重さは約5kgです。人の心臓が約250gなので、馬は人の約20倍の大きさの心臓を持っていることになります。心臓は、血液を全身に供給するポンプの働きをしており、全身の筋肉へ運ばれた血液中の酸素は、エネルギーを作るために使われます。心臓が大きいということは、エネルギーを生産する能力が高いことになります。

サラブレッドの心臓は、長期間の調教をおこなうことで未調教馬よりも約20%大きくなるそうです。ただし、調教を休んで休養すると元の大きさに戻ってしまいます。
GIレースを7勝したテイエムオペラオーの心臓の重さは、約7.1kgだったそうです。馬にも、人のようにスポーツ心臓をもつものがいることがわかりました。

運動時の馬の心拍数を調べると、最高で1分間に240にまではね上がりますが、運動後に心拍数が正常に戻るのも早く、馬は非常に性能の高い心臓を持っています。

騎手の技術

競馬場で走るサラブレッドの速さの秘密

競走馬が速く走るためには、騎手の役割もとても重要です。

競走馬の速さは、鞍上の騎手のフォームに影響を受けます。
競馬の騎手は、いわゆる「モンキー乗り」で馬に乗ります。モンキー乗りとは、鐙を短くして膝を曲げて、体を前に倒す乗り方です。

モンキー乗りでは、馬が上に動いたときに騎手は膝を曲げて体が上がらないようにし、馬が下に動いたときは体が下がらないように膝を伸ばします。つまり騎手の重心は馬の上下動に釣られることなくいつも同じ高さに位置するようになります。そのため馬と騎手の重心を合わせた合成重心は、馬の上下動よりも小さく上下するので、馬にとっては余計なエネルギーを使うことがないため速く走ることができるのです。

さらに、騎手は馬上で重心バランスのコントロールもおこなっています。
馬は走行中、後肢が着地しているときに加速し、前肢が着地しているときは減速しています。モンキー乗りは騎手が前後方向のバランスを取るのが難しいと言われますが、騎手はそのような状態でも安定した重心バランスを取ることができる技術を身につけているのです。

「追い込み」という動作では、馬が後肢で地面を蹴るときに、騎手が馬に自身の体重をかけて推進力を増加させます。これによりレースでは、騎手が最後の200mで馬を加速させることができるのです。

まとめ

競馬場で走るサラブレッドの速さの秘密

いかがでしたでしょうか?

今回は、競走馬のサラブレッドの速さの秘密についてまとめました。

サラブレッドはからだのつくりやその使い方が、まさにスポーツカーのようでした。そしてその速さを導くために騎手の力も大きく関わっていることがわかりました。

競走馬は、何と言っても速く走る姿がとても魅力的です。
機会があれば、是非競馬場でその姿をご覧になって下さいね!

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