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馬の体重

今回は馬の体重について、考えていきたいと思います。馬の体重は健康管理に大切な情報をもたらしてくれます。しかし、体が大きい馬の場合、馬用の体重計がない限り、正確な体重を把握するのは難しいようです。みなさんのパートナーや愛馬の体重を知ることはできないのでしょうか?詳しくみていきましょう。

重種馬と軽種馬

馬の体重

馬には品種の区別がいくつかありますが、重種や軽種は体格や適切な用途による区分けです。もともと、馬車などを引いたりするのが仕事だったクライズデールやペルシュロンは、体重が800キロ〜1トンにおよびます。こういった大きな馬たちを重種馬と呼びます。機械が農業や林業、配送業などに導入されるようになる前に、人間のパートナーとして仕事をこなしていました。体ががっしりしていて、パワフルです。

重種に対して、体重が400〜600キロ程度の馬たちを軽種馬と言います。代表する品種にサラブレッドやアラブなどがあります。競走に用いるスピードに優れた馬たちです。また、クォーターホースなど重種と軽種の間の馬は、中間種と言います。性格が穏やかで操縦性もいいことから、馬術の選手たちに重宝されています。

体重は、どの品種の馬にとっても健康状態を把握するための重要な指標です。体重が重すぎると、体に比べて細い四肢に負担がかかります。特にスピードを特徴とする軽種馬には体重が増えすぎると負担が大きくなるでしょう。もちろん体重が軽すぎてもやはりよくありません。パワフルな重種馬は力の源である大きくて強い筋肉を維持できなくなってしまいます。

馬の体重の測定方法

馬の体重

それでは、馬の体重はどのように測ったらいいのでしょうか。

体重を測る頻度

まず、体重を測る頻度ですが、競走馬の生産牧場では成馬の場合、1ヵ月に1度は測定しているところが多いでしょう。急に太ってきたとか、逆にかなり痩せてきたなどの印象があれば、その都度、測定してみることをおすすめします。また、生まれてきたばかりの当歳や環境に影響されやすい1歳馬はもっと頻繁に測定している牧場が多いでしょう。

体重を測る方法

しかし、一番の問題は何を使って測るのか、ですよね。馬用の体重計には、床に設置できるタイプと持ち運びのできるタイプのものがあります。しかし、どちらもかなり高価なものなので、乗馬クラブには体重計が設置されていないところも多いはず。それでは、馬たちの体重を把握するためには、どうしたらいいのでしょうか。

いくつか方法があります。まず、一番簡単なのは「ウェイトテープ」を使用することです。このテープで胸囲を測定すると、体重がキロとポンドで表示されるようになっています。しかし、馬の体重に影響するとされている体長が加味されないことから、ウェイトテープでは誤差が大きくでることもあります。

次に胸囲と体長を測定して、計算式に当てはめる方法があります。胸囲は、肘のすぐ後ろの腋窩の部分と亀甲から2.5センチ程度後ろ側を通した周囲を測定します。体長は肩の一番前に出ているところ(肩端)から、お尻の一番外に突き出しているところ(臀端)の長さを測定します。測定できたら、体重を求める計算式に入れていきましょう。

  • 成馬の場合:(胸囲の二乗×体長)÷11,880
  • 子馬の場合:(胸囲の二乗×体長)÷8,700

※単位は全てcm

これで、おおよその体重が求められます。

また、測定値を入れるだけで上記の計算をしてくれるサイトもあります。そちらを利用するのが一番楽かもしれません。

体重から得られる情報

馬の体重

それでは、具体的に体重から得られる情報にはどんなものがあるのでしょうか。

適切な餌の量が分かる

馬にも太りやすい、太りにくいといった体質の違いがあるので、一概には言えないのですが、餌の量のめやすになります。乾草など繊維質の含有量が多く、でんぷんが少ない粗飼料だけを与える場合は体重の2%程度が適切な量です。でんぷん含有量の多いふすまやエン麦などの濃厚飼料を並行して与える場合、粗飼料の給餌量は体重の1%が適量と言われています。サプリメントなども体重によって、適量を表示している商品が多いため、体重をある程度把握しておくことは給餌量を管理する上で非常に大切です。さらに、薬の用量も体重によって表示されていることが多いです。

体調管理の参考になる

体重は体調管理の参考情報にもなります。1ヵ月に1度測って記録していると、季節によってみられる体重の増減のしかたにも、ある程度のパターンがみられるようになります。例えば、冬は気温が低いことから、馬はエネルギーを使って体温を保とうとするため、体重が減りやすくなりがちです。しかし、体調不良に陥った場合は、それまでのパターンとは違った下がり方や上がり方をするので、普段から体重を測っておくと参考になります。

また、体重だけではなく、ボディーコンディショニングスコア(削痩している1〜極度の肥満10)で脂肪のつき方も一緒に記録するとよいでしょう。ただし、ボディーコンディショニングスコア(BCS)は感覚的な側面もあるため、できれば毎回、同じ人に評価してもらうのが◎。体重とBCSをチェックすれば、餌は足りているのか、どの餌を増やして、どの餌を減らすべきか、健康状態に問題はないのかなどを知るための情報になります。ちなみに年齢や用途によって適切なBCSも違いますので、ご注意ください。

負担重量の上限を把握できる

さらに、馬車を引く馬の場合、体重は適切な牽引重量を把握するための情報として欠かせません。乗馬の場合も、負担重量の上限を馬の体重から把握することができます。ちなみに安全に牽引したり、負担したりできる重量は馬の体重の20〜30%まで。それ以上になると、馬の健康を害する恐れがあります。

まとめ

いかがでしたか。体重を定期的に測定しておくと、いざ獣医師や装蹄師に診察をお願いする際にも、何らかの判断材料になるかもしれません。愛馬がいらっしゃる方には、是非、愛馬の体重を把握しておくことをおすすめします。

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