快適で安全に乗馬するための最適な鐙の長さについて
乗馬をする際、馬にまたがってまず行うのが鐙の長さを調節することです。鐙の長さが合わないままの状態で騎乗したことはありますか?多少長さが合わなくても問題ないと思っている人もいるかもしれませんが、上手にかつ安全に騎乗するためには鐙の長さは重要と言えます。
では乗馬をする際に鐙の長さがどれだけ大切なのか、また鐙の長さはどのようにどれくらいの長さにするのが正しいのかをここでは解説していきます。ぜひ参考に参考にしてください。
鐙の長さが合っていないとどうなるの?
鐙の長さが合っていないことで起こることは、「正しい騎乗姿勢が保てなくなる」「正しい足扶助が出せない」「鐙が足から外れてしまう」といったことです。乗馬では鞍にまたがっているので、お尻に全ての体重をかけているように感じるかもしれませんが、実は全体重をお尻にかけているのではありません。鐙をしっかり踏むことで馬の背中への負担を減らし動きやすくしています。
鐙に長さが合っていなければ、鐙をしっかり踏み正しい騎乗姿勢を取ることも保つこともできなくなってしまうのです。また馬への指示を脚扶助で行う場合、鐙の長さが合っておらず正しい位置で合図できなければ、指示がうまく伝わらない可能性も出てきます。馬も伝わらない指示を何度も受けるのは辛いでしょう。
そして鐙の長さが短くても長くても起こるのが、鐙から足が外れてしまうということです。鐙が長すぎて外れやすいのは想像がつくでしょう。しかし逆の鐙が短ければ外れにくいのではないかと考えるのが普通です。鐙が短いと足の位置がしっくりこず変にずらしてしまうことで、外れてしまうことがあるのです。
鐙の長さの目安
その都度騎乗してみて鐙の長さを合わせることもできますが、それでは限られたレッスン時間を無駄に使ってしまいます。できればレッスンが始まる前に、ある程度長さを合わせ、慣らしで歩かせたのちに微調整して合わせたいものです。その為には鐙の長さの目安を知っておく必要があります。
鐙の長さの目安は、鐙から足を外し力を抜いて足を垂らした状態で、鐙の底板(足を乗せる部分)がどの位置に来るかをみて判断します。鐙の底板がくるぶしよりも下に来ていれば丁度よい長さと言えます。くるぶしの位置では短く、靴の底あたりまで来てしまうと長すぎてしまうと考えてよいでしょう。
毎回使用する鐙革の調節穴の位置を同じにすることで、鐙の長さを合わせようとする人もいますが、馬の体の大きさによって下に垂れる長さが変わってくるため注意が必要です。
またレッスン前にある程度自分の足の長さに合わせる方法として、腕の長さで合わせておくやり方もあります。鐙革の付け根を掴み鐙の底板を自分の脇あたりまでの長さに合わせておくのです。腕の長さは足の長さと同じとも言われており、ある程度騎乗前に合わせておくことが可能です。
運動(馬場馬術・障害馬術など)によって鐙に長さが違うという話もありますが、厳密にいえば運動によって長さを変えるということはありません。しかし馬場馬術と障害馬術では鞍の造りが変わってきたり、競技によってやりやすい長さが違ってきたりもします。自身で騎乗を重ねることで、鐙のしっくりくる長さを見つけましょう。
左右の長さを変えてもよい
人の体は左右対称ではありません。足の長さも例外ではなく、左右同じ長さという人は少ないのではないでしょうか。鐙の長さは左右それぞれ変えることができます。そこで乗馬初心者の人の中でも疑問に感じたことがある人もいるかもしれませんが、バランスよく乗る必要のある乗馬で、左右の鐙の長さは同じ長さにしなければいけないのではないのかという疑問です。
鐙は左右の長さが違っていても大丈夫です。むしろ左右の鐙の長さは、それぞれの足の長さに合っていなければいけません。長さが合っていなければしっかり踏み込むことができなくなってしまうからです。
鐙にかかる体重が左右で均等かが重要
鐙にかかる体重は均等でなければいけません。左右どちらか一方に多く体重がかかれば、騎乗姿勢はバランスの悪いものになりますし、馬もどちらか片方に傾き負担が大きくなってしまいます。
その為に鐙の長さを左右同じにするのではなく、両方の足が均等に鐙に体重をかけることができるように、それぞれの足の長さに合わせ長さを調節しているのです。馬装の際に腹帯をしっかり締めているので、実際に起こることは少ないとは言えますが、左右どちらかに多く体重がの乗り、そのまま鞍が回転してしまい落馬してしまえば、大けがにも繋がります。
鐙にかかる体重が左右均等であるということは、正しくかつ安全に乗馬を楽しむために重要なことと言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
乗馬歴が長い人であれば、騎乗しながらでも長年の感覚で鐙の長さを調整しすることはできることでしょう。しかし乗馬歴の浅い人にとっては、どれくらいの長さが自分に合った長さなのかは分からないでしょう。またバランスよく騎乗するために、左右の鐙に長さは同じにしなければいけないと、間違った長さの調整をしている人もいるかもしれません。
中には鐙の長さが合っていないままレッスンに参加してしまい、上手く鐙を踏むことができなかったり、鐙が外れてしまい怖い思いをしたという人もいるのではないでしょうか。鐙の調節は正し姿勢で乗馬を行うことに繋がります。
ぜひ正しい長さでレッスンに望み、安全に楽しい乗馬を行いましょう。