ポイントを押さえて軽速歩をマスターしよう!

軽速歩は乗馬を始めて、最初にぶつかる壁かもしれません。慣れるまでは、鐙の上に立つことができない方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、そんな方に向けて、どんなポイントに気を付ければ、軽速歩をマスターできるのかを掘り下げてみました。
軽速歩とは

軽速歩とはどんな歩様なのでしょうか。「速歩」は2拍子で右前肢と左後肢、左前肢と右後肢を対にして動かす歩様です。速歩の際に乗り手が下からくる反動を抜くために鐙の上で立ったり座ったりする場合に「軽速歩」と呼びます。軽速歩は馬にも負担の少ないことから、特に多用される歩様です。乗り手が座ったまま反動を抜く歩様もありますが、こちらはそのまま「速歩」と呼ばれます。座ったまま反動を抜くこと自体を「正反動」と呼びます。
鐙の上で立つことができるようになっても、今度は座るときに、ドスンと尻もちをつくようになってしまったり、脚が前に流れてしまい、鞍の後ろ側に腰掛けるように座ってしまったり、美しい軽速歩がとれるのようになるのは至難の業です。
少しでも美しい軽速歩に近づくために、どのような点に注意したらいいのでしょうか。
リズムを感じる

馬とのリズムを合わせることは、非常に大切です。馬が「さあ、行こう」と思っているときに、背中にドスンと座られたらどうでしょうか。行く気がなくなってしまう馬もいるかもしれません。まずは、乗り手側が馬のリズムを感じて、合わせてあげられるようにしましょう。
初心者に多いのは、しっかり座ってしまって、立つのに時間がかかってしまい、馬とのリズムがずれてしまうというもの。座るというよりは、「鞍にお尻をつける」や「鐙の上で屈伸運動をする」というイメージでとらえた方が、馬とのリズムは合わせやすいかもしれません。
馬のリズムを感じながら、頭の中で「1、2、1、2」と唱えてみましょう。自分の唱えた「1、2」が馬のリズムより遅いのであれば、乗り手が力んでおり、バランスがよくないため、立ち上がるのに時間を擁している可能性があります。まずはリラックスして、体の力を抜いて、馬の動きに合わせるように意識してみましょう。体に力が入っていたら、反動を抜くことも立つことも難しくなります。立つときは上に伸びあがるイメージでおへそを前方に出してみましょう。座るときは、伸びあがったものをもとに戻すイメージで鞍に軽くお尻を付けるようにします。
膝を締めすぎない

歩度を伸ばせと号令がかかったときに、脚を入れているのに全然、歩度が伸びないということはありませんか?この場合、膝を締めすぎている可能性があります。強めの合図を入れようと思っていると、つい膝に力が入ってしまって、脚が効率的に使えないことはよくあります。
どうしても、膝を締めてしまいがちな乗り手におすすめなのは、鐙上げです。「やっぱり」という声が聞こえてきそうですね。鐙を脱いて力を抜いた状態で脚を長く下に伸ばし、膝に力を入れない感覚を体に覚えさせるようにしていきましょう。膝に力が入っている乗り手の場合、鐙上げをしている状態で脚を入れてみると、馬の反応がよくなっていることを感じられます。
姿勢のキープ

「リズムを感じる」のセクションで、しっかり座りすぎている乗り手は立つのが遅くなってしまうかもしれないと書きました。では、しっかり座りすぎないためには、どうしたらいいのでしょうか。
答えは姿勢です。正しい騎乗姿勢をキープできれば、しっかり座りすぎることも徐々になくなっていくはずです。椅子に座るのを想像してみてください。お尻を椅子の方に下げて座りますよね。椅子に座るように鞍の後ろの方にしっかり座りすぎてしまうと、脚が前に流れてしまう可能性があります。脚が前に流れてしまうとバランスが崩れてしまい、軽速歩を出さない馬もいるかもしれません。また、脚が前に流れてしまうと、合図の入る場所がちょうど腹帯の上になってしまって、馬に伝わりにくくなってしまいます。
鞍ツボ(鞍の一番くぼんでいる部分)にはまるように坐骨(お尻のとんがっている骨)を立てて座ります。このときに大切なのは、リラックスして脚をできるだけ下に伸ばすこと。しばらくは鐙を履かずにそのまま歩きながら馬上体操をして、リラックスしましょう。股関節から脚を後ろに伸ばしたり、ストレッチをしたりしてみましょう。そのあと、鐙をそっと履いて、姿勢を整えます。
乗馬は馬の邪魔をしないことがとても大切。正しい騎乗姿勢を取っていれば、馬を邪魔することはありません。横から見て頭、肩、お尻、踵が一直線上にあるのが、正しい騎乗姿勢です。鏡などでこまめにチェックをしながら、騎乗姿勢をキープできるようにクセをつけましょう。
まとめ
今回は誰しもが一度はぶつかる軽速歩の壁について解説をしました。初心者が鐙の上に立てないのは、余計な力が入りすぎていることが多いようです。最初のころは、信用のおける安全なパートナーと一緒にできるだけリラックスしてレッスンに励みましょう。じきに「立つ、座る」はできるようになりますが、さらに「美しい軽速歩」を手に入れるためには、その後も鍛錬が必要になります。一緒に頑張りましょう!