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ズレない鐙の踏み方

鐙(あぶみ)の正しい踏み方を身につけることは、安定した姿勢を保つためにとても重要です。鐙がズレると、騎乗時のバランスが崩れたり、身体への負担が増えることもあるでしょう。そこで、今回の記事では鐙のズレにくい踏み方について解説していきます!

鐙がズレるとどうなる?

ズレない鐙の踏み方

まず「鐙をどう踏めば良いか」の前に「ズレるとどうなってしまうのか」から見ていきましょう。姿勢が崩れたり鐙が脱げたりといった悩みがある方も、もしかすると鐙の踏み方が影響しているかもしれませんよ。

バランスが崩れ、体が不安定になる

鐙の役割は、馬上で安定した姿勢を保つためのサポートです。そのため、鐙がズレると騎乗中のバランスが崩れやすくなります。鐙がズレたり外れたりすると、馬の動きに合わせたバランスが取りづらくなるでしょう。

足や膝への負担が増える

鐙がずれてしまうと、無意識に足や膝でバランスを取ろうとすることが多くなります。これにより、膝や足首に余計な力がかかり、疲れやすくなったり、長時間の乗馬で関節や筋肉に痛みが出る原因になることもあります。鐙が適切に保たれていないと、馬とのコミュニケーションもスムーズに行えず、思ったように馬をコントロールできなくなることもあります。

鐙が外れるリスクが増す

鐙がズレることで最も大きな問題は、急な動きや状況の変化で鐙から足が外れるリスクが増すことです。鐙が外れると体勢を崩しやすくなり、落馬の危険性も高まります。鐙を正しい位置でしっかり踏んでいれば、このようなリスクが軽減されるので、より安全に乗馬を楽しむことができるはずです。

踏む場所

ズレない鐙の踏み方

「鐙がズレると、思ったよりいろいろな影響があるな」と感じた方も多いのではないでしょうか。では、ここからは鐙の踏み方について踏む場所・踏む方向・踏む強さという3つの面から解説します。最初のポイントは「場所」です。

鐙を踏む理想的な位置

鐙を踏む位置の目安としてわかりやすいのは「指の付けのあたりを鐙に乗せる」というものです。この位置で踏むことによって、足全体に無理な力がかからずリラックスした状態を保つことができるでしょう。

また、指の付け根が鐙にフィットした状態だと、馬の動きに合わせて自然に足の角度や位置を動かせるのでバランスも取りやすくなります。

深く踏みすぎないことが重要

初心者の中には「足を安定させたい」という気持ちから、足を鐙に深く乗せすぎてしまう方がいます。確かに、鐙から足が抜けにくくなるので安定感が増したように感じますが、実は安全面・技術面ともにおすすめできない方法。

まず、深く踏みすぎると、瞬時に足を鐙から外すことが難しくなり、万が一落馬しそうになった場合や緊急時に危険です。まずは「抜けにくい=安心」ではないという認識を持っておきましょう。

さらに、鐙を深く踏んでしまうと足首に近い位置が鐙でおさえられてしまうので、足首を柔軟に動かしにくくなります。扶助を出したりバランスをうまく取るためにも、足は鐙に浅く乗せる程度にしましょう。

踏む方向

踏む場所について感覚がつかめたら、次のポイントは踏む「方向」です。どのような部分を意識して、どちらの方向に鐙を踏めば良いのでしょうか?

前方に軽く押し出す感覚を意識する

鐙を踏む際の方向として、前方に軽く押し出すような感覚が大切です。これは、単に下方向に強く踏み込むのではなく、少し前方に向けて足を押し出すことで、自然な形で鐙が足にフィットすることを促すためです。

ただし、足が前に突っ張るように力んでしまうのはNG。踵を軽く下げることにより、わずかに力が前方に向かう程度を意識しましょう。いつでも扶助を出せるよう踵が馬に触れている状態にするため、つま先は少しだけ外を向いている状態が理想です。

自然な姿勢で踏む

鐙を踏む際に重要なのは、全身が自然な姿勢を保っていることです。まずは鞍に座った状態で自然に足を下ろして、その足の位置が変わらないように鐙を踏んでみてください。自然な姿勢で鐙を踏めば、鐙がズレにくくなり、安定した姿勢が保たれるはずです。

なお、足の位置は「馬の身体を基準にして位置が動かないように」ではなく、馬の姿勢に合わせて動く自分の重心を基準に「重心の真下に足と鐙がある」ように心がけましょう。

踏む強さ

ズレない鐙の踏み方

最後のポイントは、鐙を踏む「強さ」。みなさんは普段、どれくらいの強さで鐙を踏んでいるでしょうか?乗っているときのことも少し思い出しながら読んでみてくださいね。

強く踏み締めすぎない

鐙は軽く踏む程度にして、鞍に触れている足やお尻と、鐙に触れている足裏に体重を分散させるようなイメージが理想です。鐙にかける力は、足の位置を保つためのサポートとして軽く鐙に乗せる程度。

そして、軽速歩をしているあいだ・障害物を飛ぶ瞬間など、お尻を軽く上げる瞬間だけ鐙に体重をかけましょう。この場合も、鐙を強く踏み込むというよりは「鐙を足場にして立ち上がった結果、鐙に体重がかかる」イメージです。

鐙を踏む力を緩めると長時間の乗馬でも疲れにくくなるので「レッスンが終わる頃にはヘトヘト…」「レッスンのたび数日後に身体のあちこちが痛い」という人もぜひ試してみてくださいね。

足の緊張を避ける

鐙を強く踏みすぎると、身体を持ち上げる方向の力が不自然に働き姿勢が崩れる原因になります。また、足やふくらはぎが緊張し、体全体が固くなってしまうでしょう。下半身が固くなると馬の動きに合わせた重心の移動が難しくなり、スムーズな随伴できなくなってしまいます。そのため、騎乗中は意識して、股関節・膝・足首をリラックスさせることが大切です。

「足の力を抜いたら鐙がずれそう…」と不安かもしれませんが、足首が硬直していると鐙にかかる力が不均等になるので、むしろ鐙はズレやすくなってしまうもの。リラックスした足首と適切な位置に足を乗せることで、鐙がズレにくくなり、より快適で安定した騎乗が可能になりますよ!

まとめ

鐙の踏み方のコツをつかめば、姿勢が安定して乗馬の上達につながるはず。しかも、余計な力を使わなくなるので「キツイ」と感じていたレッスンが少し余裕をもってこなせる可能性もあるんです!みなさんも、ぜひ姿勢や拳の位置だけでなく「鐙の踏み方」を意識しながら練習してみてはいかがでしょうか?

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