エアバッグベストの選び方と購入後の注意点
落馬の衝撃から騎乗者の身体を守ってくれるプロテクター。最近はヘルメットと併せて着用を義務化している乗馬クラブも多いですね。今回の記事では、プロテクターの中でも緩衝性の高いエアバッグベストについて解説します。
エアバッグベストとは
プロテクターの着用が義務化されていない乗馬クラブでは、まだまだ目にすることが少ないエアバッグベスト。そもそも、エアバッグベストとはどのようなものなのでしょうか?
エアバッグベストの必要性
落馬は予期せずさまざまな場面で起こります。馬場の砂にポトッと落ちれば軽いケガで済むことも多いですが、そのときに落下した地面の状況や騎乗者の体重・年齢・落ち方などにより後遺症が残るほどの事故になることも。
このような事態を予防するために着用するのがプロテクターですが、なかでもエアバッグベストは落馬する際に急激に膨らむことで高いクッション性を実現したものです。
クロスカントリーなど馬場以外で行われる競技で特に効果を発揮するとされていますが、もちろん馬場の中で行う競技やレッスンでも私たちの安全を守ってくれます。
エアバッグベストの仕組み
多くのエアバッグベストはベストの裾にあるアダプターを鞍につなげて使用します。騎乗者の身体が鞍から一定距離以上離れると、このアダプターが抜けることでベストが急激に膨らみエアバッグとなる仕組みです。
ベストが膨らませるために使用する気体は二酸化炭素が多く、小さな金属のボンベに充填されたものがベストの所定の位置に付属しています。もちろんベストは使い捨てではなく、ボンベを交換することで繰り返し使用可能です。
選ぶポイント
では、実際にエアバッグベストを選ぶときはどのような点に着目すればよいのでしょうか?大きく分けて3つのポイントがあるのでチェックしてみましょう。
サイズ
最も重要なのはサイズです。エアバッグタイプではないプロテクターは上着の中に着る人もいますが、エアバッグベストの場合は一番外側に着ることになります。そのため、試着やサイズ測定をするときは冬用のアウターを用意しておきましょう。
「夏にゆるくなってしまうのでは?」と心配かもしれませんが、エアバッグタイプは身体との間に多少の余裕があっても問題ありません。不安な場合は、ベルトで胸囲やウエストを調整できる商品を選ぶのも一つの方法ですね。
エアバッグの位置
一口にエアバッグベストと言っても、いざというときに膨らむエアバックの数や場所は商品によって異なります。
首まわりのほか、背骨・腰・脇などにも気室があり膨らむようになっているベストも多いので、主に取り組んでいる種目や使用場面に合わせて選ぶと良いかもしれません。
また、エアバッグが外側に大きく膨らんで重篤なケガを防ぐだけではなく、ベストの内側に低反発素材を使用することで落馬の際の衝撃を緩和するという商品も。内側の素材は普段の着心地にもかかわってくるので、ぜひ試着をして選びたいですね。
デザイン・色
機能性ももちろん重要ですが、常に身に着けるものだからこそ見た目も大切。メーカーによっては生地の色を選んで作ってもらえるエアバッグベストもあるので「黒や紺は使いまわしが利くけれどちょっと地味かな…」という方はオーダーメイドも検討してみましょう!
もちろん派手にしたいときだけでなく、落ち着いた色にしたいときや、競技会用にジャケットと近い色にしたいときにも色を細かく選べるサービスはうれしいですよね。
最近ではエアバッグベストの着用を義務化している乗馬クラブも多いので、初心者のうちにとにかく選んで購入せざるを得ないという方もいるかもしれません。
ですが「こういうのがいい」「ここがこうだと使いやすい」といったポイントをおさえる間もなく購入すると、後で「もっとこういうものを選べばよかった」という失敗に陥りがち。
薄手のプロテクターと異なり外側に着用するものなので、後々どんな場面で使うようになるか想像したり、乗馬クラブの先輩に訊いたりインターネットで調べたりしながら長く使いやすいデザインや色合いを選べると良いですね。
必ずメーカーのメンテナンスチェックを!
実際の使用感とともに重要なのが「長く使えるかどうか」。乗馬グッズはお安くないものも多いので、せっかく買ったら長く使いたいですよね。
そこで必ずチェックしておきたいのがメンテナンスをしっかりしてくれるメーカーかどうかという点です。
自分でも必要なメンテナンスを意識する
ソフトシェルのようにつけているだけでプロテクターになるタイプとは異なり、エアバッグは作動しなければ意味がありませんね。そのため、エアバッグベストには使用後のケアや定期的な作動確認・メンテナンスが必要です。
まず、馬から降りる際に安全装置であるワイヤーを外し忘れてエアバッグが作動してしまったり、実際の落馬でエアバッグが膨らんだ後は、各メーカーが推奨している方法に従ってしっかりとガスを抜き、正しいサイズの新しいボンベに交換しましょう。
それに加えて、購入した製品の作動確認などを行ってくれるメーカーも多いので「自分でボンベ交換などをしたけれど不安」「確認のためにあえて作動させて自分でガス抜きやボンベ交換をするのも…」という場合はアフターサービスを利用するのがおすすめです。
保証内容は要確認
とはいえ、アフターサービスの有無や内容はメーカーごとに差があります。購入前に、機能性やデザインと併せてメーカーのアフターサービスについてもシッカリと下調べしておきましょう。
さらに、すでにエアバッグベストを使用している人の中にも「普通のクリーニングに出すのはちょっと心配」「自宅ではあまりガッツリ洗えない」というお悩みを抱える人が多いようです。
そんなときは、やはりエアバッグベストメーカーに洗ってもらえれば安心ですよね。動作不良や破損への対応のほか、クリーニングを行ってくれるメーカーもあるので、要チェックですよ!
まとめ
いざというときに大きな事故から私たちの身体を守ってくれるエアバッグベスト。パットやプロテクターと比べると少し扱いは難しいですが、適切に使用することで乗馬をより安全に楽しむことだできるはずです。