【使ったことがある？】「マルタンガール」を深掘り！
みなさんはマルタンガールを使ったことがありますか？マルタンガールは馬の胸の部分に装着する馬具です。主に調教に使われることが多い道具ですが、乗馬でも効果があるんですよ！今回はマルタンガールについて詳しく説明します。
マルタンガールとは？
マルタンガールは、手綱や頭絡と腹帯をつなぐ道具です。一般に「マルタン」と呼ばれますが、「引き返し」や「股綱」と言うことも。鞍がずれるのを防止する「胸ガイ（むながい）」と一緒に使用できる商品も販売されています。主に頭を上げすぎてしまう馬や立ち上がってしまう馬の動きを制御するのが目的です。マルタンガールを使うと、頭の動きが制御されて、いい位置に収まるようになります。そのため、主に若い馬の調教に使用されることが多く、特に競走馬の調教にはマルタンガールを使用することが多いそうです。
マルタンガールを使用すると、馬の突発的な動きも制限されることから安全に楽しめるよう、乗馬初心者に使用するのも有効です。また、こぶしが安定しない騎乗者の場合もマルタンを装着すれば、ハミに正しい方向で力が働くようになるため、効果的です。
また、何かあった場合に手綱が馬の前方に落ちてしまうのも防ぐ効果もあります。
種類
マルタンガールにも種類があります。ここでは代表的な4種について説明します。
ビブマルタン
マルタンガールと言って思いつくのが、ビブマルタンという方も多いのではないでしょうか。逆三角形の形をしており、これが英語で「よだれかけ」を意味するbib（ビブ）に似ていることから、こう呼ばれているそうです。競走馬の調教でもよく使われます。馬が頭を上げたり、立ち上がろうとしたときに、三角形の部分が体にあたって馬の動きを制御します。
ランニングマルタン
腹帯と手綱を結ぶ部分に三角形のビブがないものをランニングマルタンと呼びます。やはり、頭の高さや立ち上がりを制御しますが、三角形の部分がない分、ビブマルタンよりはソフトなインパクトになります。乗り手の手綱が意図せず、大きく動いてしまった場合にもハミに正しい方向から力が伝わるので、乗馬でもよく使われます。
スタンディングマルタン
このマルタンは腹帯と手綱ではなく、腹帯と鼻革をつないで装着します。馬が急に頭をあげても乗り手にぶつからないようにする効果があります。また、立ち上がる癖のある馬にも非常に強い効果のあるマルタンです。その制御力はビブマルタンより強く、馬場馬術にもよく使われています。また、競走馬の馴致の際には、最初はスタンディングブルマンを使用し、騎乗に慣れてきて落ち着いた段階でソフトに働くビブマルタンに変えていく方法をとっているところもあるそうです。
アイリッシュマルタン
アイリッシュマルタンは左右の手綱にかけるシンプルなマルタンです。その形状から「メガネマルタン」とも呼ばれています。競馬のレースの際によく使われます。主に手綱が垂れ下がってしまったり、広がってしまったりするのを防止するために使用します。手綱の可動域が狭まり、力のかかる方向が安定するかわりに、自由に動かせないため、ジョッキーによっては好んで使用しない方もいらっしゃるそうです。
装着方法
まず、ネックストラップ部分を馬の首に通します。根本まで通すようにしましょう。腹帯を通すための大きい方の輪が馬の胸側にくるようにネックストラップを装着します。次に、大きい方の輪に腹帯に通します。このとき、留め具の表側が馬体側ではなく外側にくるようにしてください。留め具の表が馬体側にきてしまうと、擦れて馬が怪我をすることもありますので、要注意です。次に反対側の小さい方の輪を手綱や鼻革に装着します。ひも状の部分がネックストラップを通過していることも確認しましょう。また、きつすぎたり、ゆるすぎたりしないかもチェックしてくださいね。
騎乗中にマルタンガールが外れてしまうと馬の肢に絡まる可能性があり、大変危険です。外れそうな部分がないか、最後に確認しましょう。
お手入れの方法
マルタンガールは革製であることが多く、汚れや湿気には弱いため、お手入れが必要です。腹帯に装着して使うので馬の汗や泥などで汚れてしまいます。使用したら必ず乾拭きで汚れをふき取ります。また、定期的にサドルソープを利用して、頑固な皮脂汚れを落とすのがおすすめです。
雨などの湿気にも弱いので、放っておくとすぐにカビが生えてしまいます。保革油やクリームを利用して風通しのいい場所に保管をしましょう。
まとめ
いかがでしたか？普段はあまり意識せずにマルタンガールを使用していた方もいらっしゃったかもしれませんね。装着が難しいことから、上級者用の馬具だと思われがちですが、初心者が安全な乗馬を楽しむためにも効果の高い馬具です。マルタンガールをはじめ、装具をうまく利用して、人間にも馬にも安全な乗馬を楽しみましょう。
