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ココの力を抜くことが駈歩上達のカギ!

乗馬では、普段あまり使わない筋肉を使うことも多いものです。しかし、実は筋肉を使うだけでなく力を抜くことも大切。今回の記事では、特に駈歩の上達につながる「力を抜く場所」のポイントを解説します!駈歩がイマイチうまくいかない…という人も、ぜひ参考にしてみてくださいね。

膝の力

ココの力を抜くことが駈歩上達のカギ!

初心者のうちは、騎乗中の緊張感から膝に力が入りがちです。また、身体を安定させようとして膝や脚で馬体を挟むように力んでしまう人もいるでしょう。しかし、上達のためには膝の力を抜くのが1つめのポイントになります。膝の力を抜くとどんなよいことがあるのか見てみましょう。

膝の力を抜くと扶助が伝わりやすくなる

扶助とは、膝下全体で馬体を挟むように圧迫したり、かかとで馬のおなかを圧迫したりして馬に合図を出すことです。一見すると膝の力を抜くこととは正反対のようにも思えますが、実は扶助をうまく伝えるためには膝の力を抜く必要があります。

もし常に脚に力が入っていると、馬はずっと脚で挟まれているような感覚なので扶助を出されてもわかりにくく、反応がにぶくなりがちです。このような場合に、膝の力を緩めると脚全体の力も抜けやすいでしょう。脚の力が抜けると、扶助を出した際にメリハリがついて馬の反応もよくなります。

また、膝の力を抜くと自然と膝が鞍から少し離れます。膝が少し開いた状態になることで、足先もやや外に開き、かかとでの扶助も出しやすくなるはずですよ。

膝の力を抜けば鐙も脱げにくい

膝に力が入っている人のなかには、鐙が脱げるのを避けたいという気持ちから脚全体に力が入っている人もいます。しかし、実は脚に力が入っていると逆に鐙は脱げやすくなってしまうもの。

扶助を出す際、一時的に脚に力を入れる必要はありますが、基本的には足の力を抜いている状態がベストです。この状態では自然に脚そのものの重さが鐙にかかるため、力んでいなくても鐙がしっかり踏めてずれにくくなりますよ。

腕の力

ココの力を抜くことが駈歩上達のカギ!

膝の次に注目すべきポイントは「腕」です。レッスン後に腕が疲れたと感じることもあるかもしれませんが、そんなときは当日のレッスンを振り返って「腕の力が入りっぱなしになっていなかったかな?」と振り返ってみましょう。

腕の力を抜くと馬のストレスも減る

馬とのコンタクトに慣れるまでは、手綱をぎゅうぎゅうと引っ張っているうちに腕が疲れてしまうこともあるでしょう。しかし、馬は身体が大きく力も強いので、もし馬が本気で引っ張れば人間が全力で拳を引いても到底力では勝てません。

大切なのは、力で引っ張ることよりも馬がこちらに意識を向けてくれること。馬の口まわりは繊細なので、馬の意識がしっかりと人に向いていれば軽く手綱を引くだけで馬は反応を返してくれるはずです。

もし「馬と引っ張り合いになっている」と感じたら、それは拳が上がっていたりずっと同じ方向に手綱を引かれ続けて、馬がストレスを感じているせいかもしれません。

手綱は「力で馬の方向を変える道具」ではなく「馬の口元に合図を送る道具」という意識を持って、必要なときだけ手綱を引きましょう。特に駈歩の場合は、最初の一歩を踏み出す際に内方の手綱をやや内側に引くと、馬にも手前がわかりやすいので正しい手前で発進しやすくなりますよ。

腕の力は抜きつつ手綱は緩めない

今回の記事でいう「力を抜く」とはダランと脱力することではなく、馬の動きに合わせて柔軟に動かせるように力を緩めること。特に腕は、力を抜きすぎると手綱が緩んで馬とのコンタクトが取りにくくなっていまいます。

引っ張られすぎて馬が窮屈に感じることなく、手綱を通して馬の口を少し感じられる程度に手綱を張っておきましょう。最初は感覚で調整するのが難しいかもしれませんが、馬の口と引っ張り合いのようになって腕が疲れると感じたら「力が足りない」のではなく「引っ張りすぎ」の可能性があるので要注意。

駈歩では「手綱を緩めたほうが、馬が進みやすくて駈歩が出るかな?」と思うかもしれませんが、実は駈歩も手綱が緩んでいるとうまく出にくいといわれています。適度に手綱を張ることで、馬の注意が人間に向いて指示が伝わりやすくなるはずですよ。

お腹の力

ココの力を抜くことが駈歩上達のカギ!

最後に着目したいのが、お腹の力です。馬に乗っているときは正しい姿勢を保つためにお腹に力を入れている人も多いのではないでしょうか。しかし、これも力みすぎるのはNG!お腹の筋肉を適度にリラックスさせると、どのようなメリットがあるのでしょうか?

お腹をリラックスさせると随伴しやすい

馬術の選手などが馬に乗っている映像を見ると、確かに背筋が伸びて姿勢が良いですが背中や腰の角度は馬の動きに合わせて変わっているのが分かると思います。一方、姿勢をよくしようと腰から上にピンと力を入れ続けると「馬からの反撞で腰が痛くなってきた…」なんてことも。

騎乗中は、肩や頭の位置を保つためにお腹や腰はサスペンションのように柔軟に動くイメージで、力を入れすぎないのがおすすめです。力をうまく抜けるようになると、随伴がうまくできるようになり馬は進みやすい&人は身体の負担が減るといいことずくめなので試してみてくださいね。

お腹の力を抜くと重心が安定する

もちろん、お腹の力を抜きすぎて骨盤が後傾する(おしりの後ろのほうで鞍に座ってしまう)と重心は後ろに傾いてしまいます。しかし、姿勢をよくしようとお腹に力を入れすぎると、逆に腰が反ったような形になり重心が前に傾きます。

そのため、お腹の力を適度に抜きつつ肩や頭を腰の真上に乗せるようなイメージで姿勢を保つことで、前後の重心が安定して馬の動きに対応しやすくなるでしょう。

まとめ

乗馬では、身体全体のバランスを保ったり馬の動きに合わせて重心を移動させるための筋力が必要です。しかし、力が入りすぎれば、逆に扶助が出しにくくなったりバランスがとりにくくなってしまう可能性があるということも覚えておきましょう。適度に力を抜くことで、意外と今までうまくいっていなかったことがスムーズにできるかもしれませんよ!

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