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【上達には必須!】扶助の種類と使い方

「扶助」とは、乗馬の用語で馬に合図を送ることを意味します。しかし、一言に扶助と言っても、さまざまな種類や使い方があります。積極的に動かしていくときの扶助、少しゆっくりしてほしい時の扶助、止まってほしい時の扶助など、そのときの馬の状況によって、同じ推進でもどのような扶助を使っていくのか、乗り手が随時、判断していかなくてはなりません。今日は扶助について、詳しくみていきましょう。

脚扶助

【上達には必須!】扶助の種類と使い方

扶助といえば、「脚」。基本的な扶助ですが、その分、奥が深い扶助でもあります。まず、脚の位置ですが、頭、腰、踵が一直線上になるように座ります。この乗馬の基本的な姿勢をとったときに、踵が腹帯の少し後ろあたりにくるように鏡で姿勢をチェックしましょう。

強さを使い分ける

また、単純に脚で扶助を入れると言っても、馬体に脚全体をくっつけるものから、踵で圧迫したりキックするところまで、あらゆる強さで使いわけることがポイント。乗馬では、扶助を大きく使いすぎない方がよいとされているので、できるだけ弱い力で馬を動かしたいところです。最初から強い脚を使うのではなく、弱いところから反応するところまで徐々に強さをあげていき、必要最小限の力で動かせるようにします。そうすることで、乗り手も余計な体力を使いません。

メリハリをつける

さらに脚の強さにメリハリをつけることも大切です。ずっと同じ強さで脚を入れられると、馬の感覚が麻痺をしてしまい、結果的にどんどんと脚を強くしていかないとなりません。時間が経つにつれて、より弱い脚でも動いてくれるような反応の良さを引き出せるのが理想です。そのためには、馬が扶助を受けて、反応してくれたら扶助を一旦、止めます。止まりそうになったり、歩度が落ちてしまいそうになったりしたら、再度、反応するまで扶助を入れるようにしましょう。これを続けていくと、馬が「動けば乗り手が扶助を止めてくれるけど、さぼると脚が入る」と覚えてくれるので、自分から動いてくれるようになり、反応が良くなっていきます。

拳扶助

【上達には必須!】扶助の種類と使い方

拳での扶助は停止、速度調整、方向転換に使われます。拳の扶助を伝えるためには、手綱を張っていなくてはなりません。まずは、騎乗姿勢を整えて、そこから手綱が適度に張るように拳の位置を決めていきます。拳の位置や高さは安定させながらも、手首と指を柔らかく使うのが大切。手綱を挟む指には多少、力を入れますが、ぎゅうぎゅうに力を入れると拳が固くなってしまいます。他の指は軽く握るようにしましょう。

停止や速度のコントロール

実は拳をぎゅっと握るだけでも、ハミに力が伝わります。停止するときも手綱をいきなり引っ張るのではなく、体を起こして脚を止め、指を握ります。それでも止まらない場合は拳を引っ張るのではなく、肘を曲げるようにして手綱をじわっと引きます。速度を落としたいときも同様です。いきなり拳を引っ張ってスピードを落とすのではなく、体を起こし、指を1本、2本、3本と握ってみて反応がなければ、手綱をじわじわと引きましょう。

方向転換

方向転換の場合は、行く方向をイメージしながら、まずは目線を進行方向に向けます。それだけで、乗り手のバランスが少し変わるため、馬にも乗り手が行きたい方向を示す合図になります。曲がりたい場所の数歩前あたりから徐々に進行方向の手綱を握るか少し開いてみましょう。そのときに内側の脚を入れて、馬が体を曲げるためのサポートをしてあげます。このときに進行方向の拳が低くなってしまう方がいらっしゃいますが、ハミに変な力がかかってしまうので好ましくありません。拳は必ず同じ高さで乗りましょう。また、曲がりやすさは馬の個性によっても変わるので、個性に合わせた扶助ができるようになることが目標です。

坐骨扶助

【上達には必須!】扶助の種類と使い方

坐骨での扶助もあります。座ったときにお尻に手のひらを当てると左右に丸い骨が触ります。これが坐骨です。坐骨を前に動かすと推進の合図になります。駈歩を始めると「随伴(ずいはん)を取って」と言われるようになります。馬の動きについていけるように腰を動かすことを随伴と言います。随伴は坐骨での扶助です。馬が前に動いた分だけ腰を前に動かして、馬の動きをサポートしています。逆に随伴を止めると速度や歩度が落ちます。

坐骨での推進ができると駈歩の維持も楽になるので、馬の動きについていけるように腰を柔らかく使えるようにしましょう。それには、正反動の練習が有効ですよ。もちろん、脚や拳とも連動しますので、腰だけ前後に動かしても、なかなか馬は推進してくれないのが難しいところです。

副扶助

あぶみ

これまで挙げてきた扶助以外のものは副扶助と呼ばれます。鞭、拍車、舌鼓などは全て副扶助です。他の扶助を使っても効果がないときに補助として使用するものです。

ムチ

ムチは、音や刺激によって合図を送るのに使用します。短鞭は肩に当たったときの音で馬に反応を求めます。いい音がしますが痛みはあまりないと言われています。長鞭は腰を軽く刺激して合図するものです。力を入れると痛みを伴ってしまうので、腰にちょんと軽く触れるように使います。長さがあるため、持ち方によっては、ずっとお尻に鞭が入ったままになってしまいますので、注意が必要です。

音や声の扶助

音や声での扶助も有効です。例えば、脚より、口でチッチッと音を鳴らす舌鼓の方が敏感に反応する馬もいます。馬が興奮してしまったときや速くなりすぎたときは「オーラオーラ」と低く落ち着いたトーンで声をかけて、なだめてあげましょう。また、集中力が途切れやすい馬には話しかけると、乗り手に集中しなおしてくれることもあります。

拍車

拍車は脚での扶助を増強させることができます。ただし、脚を正しく使えないと拍車がずっと入りっぱなしになってしまい危ないことも。拍車を付ける練習をする際には、必ずインストラクターから許可をもらいましょう。

まとめ

いかがでしたか。馬に気持ちよく動いてもらうためには、さまざまな扶助を連動させなくてはなりません。ブレーキを掛けて、スピードが落ちた瞬間に前傾姿勢になってしまうことはよくありますが、馬からすると前に行きたいのか、止まってほしいのか、混乱してしまう原因にもなります。扶助は馬が混乱しないように、一貫性を持って使えるようにしましょう。

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