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【動画紹介】引退馬の現状を知る!元調教師さんの取り組みとは?

競馬といえば輝かしい世界にも思えますが、若くして引退した競走馬たちが安心して生活していくためには様々な課題があります。今回の記事では、そんな現状から引退馬を支える会社を立ち上げた角居先生へのインタビュー動画を紹介します!

今回紹介する動画はこちら!

シャムロック乗馬クラブのスタッフYuriさん&Yasuさんが配信している「シャムロック乗馬TV」。ためになる動画や面白い動画がたくさんある中から、今回はこちら「引退馬のセカンドキャリアを作る!元調教師 角居勝彦先生にインタビュー」をご紹介します。


角居勝彦先生と言えば、競馬好きの方はきっとご存じのはず。動画内でも紹介されている通り、JRAで長年調教師を務めウオッカなどの名馬を育てた方です。


そんな角居さんがJRAの仕事を引退して始めたのが「株式会社みんなのウマ」。こちらの会社では、引退競走馬が新たな生活を続けていくための方法を考え、作り出すことを目標の一つとしています。


今回Yasuさんが訪れたタイニーズファームは「みんなのウマ」のオフィシャル牧場。のびのびと放牧される馬たちをバックに、角居先生からどのようなお話を聞くことができるのでしょうか?

馬たちの現状

【動画紹介】引退馬の現状を知る!元調教師さんの取り組みとは?

競馬に出走する馬の競技生命は長くありません。大きなケガなどがなかったとしても、馬の生物的寿命よりはるかに早い段階で競走馬としての引退がやってきます。


では、引退後の馬にはどのような生活の選択肢があるのでしょうか?まず競馬で好成績を収めた馬であれば繁殖牝馬種牡馬として生活していく道もあります。しかし、それはほんの一握り。


また一部の馬は乗用馬として再調教(リトレーニング)を受けて乗馬クラブなどで働くこともあります。ただし、再調教をしてみて乗用馬に向かない場合や、現役時代のケガなどがもとで人を乗せて運動できる状態でない場合も少なくありません。


そして、馬を飼育するには土地や飼料などたくさんのお金がかかります。そのため、このような努力を経ても仕事に就けなかった馬は、馬主になってくれる人が見つからなければ屠肉にされてしまうことも多いです。

セカンドキャリアへの努力

【動画紹介】引退馬の現状を知る!元調教師さんの取り組みとは?

このように、馬が新たな生活と仕事(セカンドキャリア)を獲得する行程で、そこからこぼれ落ちてしまう馬がなるべく減るように、日本の馬界隈でもさまざまな努力が始まっています。


今回の動画の中でも、馬のセカンドキャリア・サードキャリア以降を支える施設や制度がいくつか触れられていましたね。ほぼ名称のみの登場だったものもあるので、こちらに少しまとめました。

TCCセラピーパーク所在地:滋賀県栗東市六地蔵
ホームページ:https://company.tcc-japan.com/therapypark/

栗東インターから10分、栗東トレーニングセンターの近隣にある施設。
「TCC」は「サラブレッドコミュニティクラブ」の略で、セラピーパークでは引退競走馬の居場所づくりや、そこからホースセラピー・乗馬などセカンドキャリアにつなげる事業などに力を入れています。
ふるさと納税(岡山県)実施地域:岡山県吉備中央町
URL:https://www.furusato-tax.jp/gcf/1986

岡山県吉備中央町が認定NPO法人「サラブリトレーニング・ジャパン」と連携して始まった、ふるさと納税による競走馬のリトレーニング支援。返礼品としては、蹄鉄や「馬からのお手紙」、サラブリトレーニング施設見学チケットなどを選ぶことができます(2023年3月現在)
RRC(引退競走馬杯)URL:https://www.jouba.jrao.ne.jp/rrc/2022/

RRCとは「Retired Racehorse Cup」の略。引退競走馬の馬術への入り口・リトレーニングのための人材育成・馬術ファンの拡大などを目的とした馬術大会です。
この競技会は全国乗馬倶楽部振興協会が主催者となり、引退・リトレー二ングを経て一定の条件を満たした元競走馬のみが出場することができます。
日本各地の馬事公苑・馬術場で開催されるので、ぜひ障害馬術・馬場馬術・総合馬術という新たな舞台で成績を競う馬たちを観戦してみてくださいね。

乗馬への転向だけでは足りない

【動画紹介】引退馬の現状を知る!元調教師さんの取り組みとは?

みなさんもご存知の通り乗馬は日本においてとても競技人口の少ないスポーツ。つまり依然として、乗用馬への転向を目指す馬の馬匹数に対して受け皿となる乗馬クラブが足りない状況です。


そうなれば当然、すでに健康で性格に難がなくトレーニングが短期間で済みそうな馬(=すぐにレッスンに使える馬)が乗馬クラブに買われて、現役時代の故障を癒したりリトレーニングをする時間が必要な馬は行き先を逃してしまいます


また、その期間のシェルターとしてTCCのような努力をして引退場を無事に乗用馬にできたとしても、乗馬クラブで飼える馬匹数にも限りがあるため「入ってきた引退馬に押し出されて、乗馬クラブの馬が処分されてしまう」というケースもありうるわけです。


動画内で角居先生が話しているように、もともと乗馬クラブにいた馬が身体を壊してレッスンに使えない状態になった場合などがこのパターンで、結局のところ生かすことができた馬の数は変わらない…ということになりかねません。


こうした状況を見ると「もっと乗馬人口が増えて乗馬クラブも増えたらな」とは思うのですが、なかなかそうスムーズにも行かないものです。となれば、乗馬への転向で賄えないセカンドキャリアの受け皿を「別の方法」で増やす必要性が出てきますね。

乗る馬から生きる馬へ

馬も人と同じく生きるためにはお金がかかるので、どうしても引退馬を生かすには仕事のことを考えざるを得ません。これは、支援者の負担を減らして支援の輪を「一部の裕福かつ馬が好きな人」から「馬に興味がある人全体」に広げるためにも必要なことだと思います。


ですが、今回の角居さんのお話を聞きつつ、その後ろで草を食んでいる馬たちを見ると「サラブレッドである前に馬」という言葉がとても実感できる気がしました。


仕事の創出もしつつ、まずは引退馬が馬という動物として生活できる場所や時間を作る。これは、馬の身体や転職のためだけではなく、世話をする人にとっても良いことなのかもしれません。


加えて、地域で馬の預託やシェルターの運営を進めることが地域の雇用創出など「人間にとってもプラスになる」という話題も興味深いです。


今回は乗馬自体の話題ではありませんでしたが、馬に関わる者として乗馬クラブがこうした馬たちにとってどのような場所なのか、乗馬以外の馬の現状はどうなっているのかといったことにも目を向け、行動を起こしていきたいですね。

まとめ

JRAで調教師を務めていた角居先生とYasuさんの対談、いかがだったでしょうか?馬と人間のwin-winな関係を深めていく努力の中で、命を守るというだけでなく経済面・地域力といった面でも良い影響がありそうですね。

「シャムロック乗馬TV」について
今回はYoutubeチャンネルの「シャムロック乗馬TV」さんから動画を紹介させていただきました。このチャンネルは静岡県浜松市のシャムロック乗馬クラブ様が制作しています。

 

今回紹介した動画の他にも、乗馬の上達に役立つ動画&おちゃめな馬たちの動画が沢山あるので是非チェックしてくださいね。エクイアでも、定期的に動画をピックアップしてご紹介していきたいと思います!

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