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何と!馬と暮らせる町というプロジェクトがあった!

馬好きなら無視できない、馬の「終の棲家」や「老後」の課題。今回の記事では、馬の老後の現状や、その解決策の1つとなりうる「道東ホースタウンプロジェクト」について紹介します。

馬たちに、終の棲家を

何と!馬と暮らせる町というプロジェクトがあった!

馬たちにとって、乗馬クラブは職場なのでしょうか?落ち着ける自宅でしょうか?もし職場だとしたら、馬にとって退職後の生活や住まいとはどのようなものか、少し考えてみましょう。

馬の老後とは?

人間の世界でも、年を取っても現役で働くことができる人もいれば、体調不良や体力的な問題で退職を選ぶ人もいます。とはいえ、元の仕事が続けられなくなったときに選べる仕事の幅も広いので、短時間のデスクワークなどを選び直せる可能性もありますね。


では、馬の場合はどうでしょうか?みなさんの中にも乗馬クラブや学校の馬術部で老馬を看取って「意外と最近まで生徒を乗せて元気だったのにな…」と感じた人もいるかもしれません。


このように亡くなる直前まで働くことができる馬もいますが、一方で生活自体に大きな支障はないものの人を乗せて運動することは難しくなってしまう馬ももちろんいます。そこで、少数ではありますが「牧場に預ける」など働かず療養できる環境を用意している乗馬クラブもあるようです。


しかし、乗用馬でもそこまでたどり着ける馬はほんの一握り。そもそも、競走馬として生まれたものの引退後は乗用馬への転向も叶わず殺処分になってしまう馬も少なくはない…という現実があります。

「馬の余生」と課題

馬が好きな人なら、おそらく誰でも「そんなの可哀想!何とかしてあげられないかな」と感じるはずです。しかし、馬に安心な余生を過ごしてもらうためには、クリアしなければならない課題が。


馬を飼うためにはある程度のスペース確保やボロ(フン)の処理などいろいろ必要なことがあります。なかでも、最も大きな問題はお金のことではないでしょうか?


例えば、気に入った乗用馬が最期まで安心して過ごせるようにしてあげたい!と思ったら、乗馬クラブ自体が「引退馬はレッスンに使えなくなっても殺処分などに回さず全頭最後まで飼う」という方針でない限り馬を買い取って自馬にするという方法が現実的です。


馬自体も高価な動物ですし、自宅に運動できる場所や洗い場などが確保できなければ乗馬クラブや牧場に預託する必要が出てきます。この預託だけで、1カ月に3万円前後の出費。さらに、預託料とは別に削蹄や健康管理のために追加で必要が必要になることもあるでしょう。


そして、老馬ということでもう一つ心配なのが医療面ですね。町に何カ所か動物病院があったとしても、小動物を専門とする病院がほとんどではないでしょうか?大型の家畜の診察をできる獣医師は少なく、場合によっては緊急時に最も近い獣医師を呼んでも1時間以上かかることもあります。

馬と暮らせる町づくり

何と!馬と暮らせる町というプロジェクトがあった!

馬に幸せな老後を過ごしてもらうためには、費用や環境など複数の課題があることがお分かりいただけたでしょうか?そんな中、北海道で「馬と暮らせる町づくり」を進めているという地域があります。

標茶町とは?

標茶(しべちゃ)町は北海道東部に位置する町。釧路湿原の一部を有するほか釧路川・塘路湖(とうろこ)など水の豊かな地域でもあります。太平洋側にあるため、北海道の中では降雪が少ないそうです。

馬産地としての歴史

標茶は古くから優れた馬の産地でした。江戸時代、交通の便を図るために幕府が標茶に駅逓を設置したのが「馬の町」としての始まりとされています。その後、幕府が保有する官馬に加えて民有馬も増加。それに伴い陸路での運送も大きく発達しました。


明治時代には、採掘された硫黄を運ぶために江刺・白老などから優れた馬が揃えられ、その馬が釧路で子孫を残すことで釧路は優良な馬産地としての基礎を築きます。


そこから、繁殖のため洋種の貸し付けを受けるなど改良にも注力。日清・日露戦争後はシベリアなど寒冷地にも耐えられる軍馬の育成地として注目され、生産だけでなく育成でも優れた馬の町と認識されるに至りました。


その後、車の普及などにより馬の生産は減ったものの乗用馬生産・乗馬文化の残る標茶町。馬だけでなく大規模な乳牛農家なども多く、大型家畜の飼育に多くの実績がある町とも言えます。

道東ホースタウンプロジェクトの詳細はこちら

何と!馬と暮らせる町というプロジェクトがあった!
道東ホースタウンプロジェクト

標茶町がどんな場所かイメージが湧いてきたところで、ここで行われている「道東ホースタウンプロジェクト」について紹介します!

官民一体のプロジェクト

ここまで解説したような乗用馬文化と豊かな自然を地域の「資産」ととらえ、地域・馬・人を繋ぐプロジェクトとして始まったのが「道東ホースタウンプロジェクト」です。


このプロジェクトは自らも道東でホーストレッキングを楽しむ一人だった総合プランナーの岡本 昌さんを中心として、道東の馬事文化活性化を志す民間事業者、そして標茶町などが官民一体となって進めています。

生産・観光・預託を一体に

道東ホースタウンプロジェクトでは、観光資源としてホーストレッキングを充実させるだけでなく、乗用馬の生産・販売と引退馬乗用馬の飼育預託事業を同時に進めています。


これにより、記事の前半でお話ししたような「引退乗用馬の老後問題」がある中で一頭でも多くの乗用馬に安心の老後を送ってもらえる場が増えると考えられます。


また、その中で標茶産の乗用馬が現役時代を終えて標茶で老後を過ごすという循環が生まれ「お世話になっている子のふるさと」「引退したあの子がいる場所」として乗馬ファンが標茶を訪れる機会も増えていくかもしれませんね。

応援を手軽に

たくさんの馬が安心して暮らすためには相応の費用が必要です。しかし、前半でも触れた通り1人が1頭を支えるためにはかなりの経済的余裕が必要ですよね。みなさんの中にも「何人かで協力して1頭を支えられたらいいのに」と考えた方は居るはずです。


ここで、道東ホースタウンプロジェクトが行政も関わった事業であることの強みが。なんと、このプロジェクトはふるさと納税で応援することができます!寄付したお金は、もちろん馬事関係事業のみに活用されますよ。


返礼品は、北海道産の美味しい食材のほか“厩舎のあるホテル”ヘイゼルグラウスマナーでのホーストレッキング60分・90分体験チケットなどもあるので是非ふるなびクラウドファンディングをチェックしてくださいね。

美しい自然を生かした乗馬サービス

何と!馬と暮らせる町というプロジェクトがあった!

道東ホースタウンプロジェクトで、乗馬の魅力発信&標茶訪問のキッカケとして期待される乗馬サービス。中でもメインとなっているのが、標茶町の自然を満喫できるホーストレッキングです。


拠点となる宿泊施設・ヘイゼルグラウスマナーでは、小学生から楽しめる敷地内での「リバーサイドコース」と、敷地外での傾斜地・川を含む「アドベンチャーコース」、乗馬レッスンなどが楽しめます。北海道の爽やかな自然の中で、心行くまで乗馬を楽しむことができるまたとない機会になりそうですね!

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