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馬のボディランゲージやコミュニケーション能力

馬は人間と言葉では話せません。しかし、インストラクターさんや先輩ライダーを見ると「馬の言っていることがわかっているみたい……」と思うことありませんか?
実はこれ、馬と長く接していると馬が出しているサインがわかってくるからなんです。今回は、そんな馬のボディランゲージやコミュニケーション能力について解説していきます!

馬のボディランゲージ

馬のボディランゲージやコミュニケーション能力

馬は人間のように表情で気持ちを表すことは少ないですが、耳の動きや口・目の様子、首の角度などから気持ちを読み取ることができます。早速、馬が出しているサインにはどのようなものがあるのかみていきましょう。

どんなサインがあるの?

たとえば、耳が前を向いていたり、鼻を人に近づけて匂いを確認しているときは、その対象に興味を持っているサインです。また、口が少し開いたり耳の間がいつもより広く開いているのはリラックスの証拠。

何か興味があるものが近くに来ると、首を伸ばして確認するような様子を見せることもあります。また、おいしいものなど「もっと欲しいよ」というときは鼻先を伸ばしたり前搔きでアピールすることもあるでしょう。

逆に、耳をクルクルといろいろな方向に動かしていたり、少し仰け反るように首を上げていたりする場合は、周囲の状況に警戒している可能性があります。

また、馬や人に対して耳を後ろに伏せ、歯をむき出したり噛みつこうとするのは「これ以上近づかないで!」という強い拒否のサイン。そんなときは、対象となる馬や人を無理に近づけず馬を落ち着かせることを優先しましょう。

このほかにも、いくつか「いいよ」「いやだよ」といった気持を表すサインがあるので、よく見られるものをまとめてみました。

良い意味のサイン

私たちの「良い感情」にも肯定や安心・信頼・親しみなどさまざまな種類があるように、馬が良い感情を表現するサインも1つではありません。

  • 鼻先を近づけてくる:興味
  • 口先で触れてくる:かまってほしい
  • 首を自然な角度で下げている:リラックス
  • モグモグする(チューイング):納得・安心
  • アイコンタクト・目で追う:信頼や関心

よく見るものだけでも、このようにいろいろなサインがあります。また、仕草だけでなく動き方で気持ちがわかることも。放牧場などで少し遠くにいた馬がこちらの姿を見て近づいてくるとき、カーブを描いてゆっくり近づいてくることがあります。これは、馬が「威嚇する意図はないよ」と友好的な気持ちを示そうとしている近づき方みたいですよ。

悪い意味のサイン

では、つぎに馬がいらだちや緊張などマイナスな気持ちを抱いているときのサインをいくつか紹介します。

  • 首を急に上げる:警戒
  • 大きく横を向く:警戒・不安
  • 口の周りを固くする:緊張
  • 目を見開く:驚き・不安
  • 首を振る、引手や鎖を噛む:不満
  • 虫がいないのに尻尾を振る:不満・不快

なんとなく「人間でも、そうすることあるかも」とわかる部分がある気がしますね。ちなみに、カーブを描いて近づいて来るのはこちらに敵意がないときですが、もし「あっちへ行って!」という気持ちのときはまっすぐに勢いよく近づいて威嚇してきます。

馬が良い状態のときのサイン

上記は馬房や洗い場・放牧場などで見られることが多いサインですが、騎乗中や騎乗前後の様子からわかる「騎乗者とのコミュニケーションや馬の状態がイイ感じ」なサインがあります。

まずは、厩舎から出したり洗い場から馬場へ引いていくときに素直についてくること。これは、一緒にいる人を信頼しているサインです。また、馬はお手入れや馬装をしている人間を興味深そうに観察していることがあります。これは騎乗中も同じで、次に騎乗者が出す扶助に意識を向けてくれるのはよいことです。

そのほか、自然な姿勢で立ち、動きに落ち着きがあるのも、不調がなく人とともに運動することに積極的な気持ちのサインといえるでしょう。

音によるコミュニケーション

馬のボディランゲージやコミュニケーション能力

馬同士は、鳴き声を使ってさまざまな感情や情報を伝え合っています。馬の鳴き声といえば「いななき」というイメージがありますが、実際に乗馬を始めてみると鼻を鳴らすような「ブルルル……」を聞くことが多いかもしれません。

これは、ご機嫌なときやおねだりするときのサイン。一番確実に聞けるのは、ごはんどきですね。馬房の端からごはんを配っていくと、多くの馬は「待ちきれない!はやくちょうだい!」というように鼻を鳴らします。そのほか、気持ちよく走っているときにも鼻を鳴らすことがありますよ。

じゃあ「ヒヒーン!」はいつ聞けるの?というと、一頭だけで放牧されている馬がたまにヒヒーンと鳴いています。これは「僕ここにいるよー」もしくは「みんなどこー?」と仲間内で呼び合う鳴き声だと言われています。

ほかに、複数で放牧されていた馬同士が急に「ヒン!」と短く高い鳴き声を上げることがありますが、これは「それ以上近づくな!」という警告や威嚇。基本的に、落ち着いているときは低め、興奮しているときは高めの声のことが多いようです。

匂いによる情報伝達

馬のボディランゲージやコミュニケーション能力

馬はとても嗅覚が優れた動物で、仲間の識別や危険察知、食べ物の選別などにおいても嗅覚が重要な役割を果たしているようです。馬が相手のにおいを嗅いでいるときは、確認作業をしているとき。もし馬がそっとにおいを嗅ぎに来たら、確認が終わるまでは急に触ったりせず待ってあげてくださいね。

ちなみに、馬が上唇を持ち上げて前歯をみせるような顔をするときがあります。初めて見ると「え!?今どういう気持ちなの?」と戸惑うかもしれませんが、これは感情表現というより「気になる香りをかいだとき」の顔

フレーメン反応と呼ばれ、上唇の裏あたりにある嗅覚器官(ヤコブソン器官)を空気にさらすことで、より強くにおいを感じようとしているんです。フェロモンなどの情報を感知するための行動で、牡馬が牝馬の尿のにおいを嗅いだときや、慣れない香りを嗅いだときなどに見られますよ。

ちょっと面白い顔ですが、慣れない香りは馬にとって不安や不快感のもと。馬房に行く前は煙草や香水など香りの強いものは避けましょう

まとめ

馬との信頼関係を築くには、まず馬がどんな気持ちか知ることが大切。そのために役立つのが、今回紹介した様々なサインです。これらはもともと馬同士でコミュニケーションを取るためのものですが、知っておけば人と馬の信頼関係を築くことにもつながるのでぜひ覚えておいてくださいね!

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