【馬なのにヒョウ柄!】アパルーサ
馬の毛色には鹿毛・栗毛・葦毛・白毛など様々な種類がありますが、中でも特に個性的なのは「アパルーサ」という品種の馬体を彩るヒョウ柄ではないでしょうか。実際に見る機会があったならそのインパクトは相当なものでしょう。しかし、アメリカで1975年に「アイダホ州の馬」に選ばれるなど、欧米ではサラブレッドと並ぶ人気の高いポピュラーな馬。
日本ではまだあまり知られていませんが、かつて門別競馬場で誘導馬を務めていたアイドルホースもいたんですよ。
今回は抜群の存在感を放つ「アパルーサ」を紹介したいと思います。
起源
アパルーサの原産はアメリカ北西部で、元々はスペインから持ち込まれたムスタング種でした。18世紀にネイティブアメリカンのネズ・パース族によって改良されたのが発祥と言われています。
「アパルーサ」という名前の由来も、ネズ・パース族の居住地域を流れるパルース川によるもの。「a Palouse horse」が様々な変化を経て「アパルーサ」と呼ばれるようになりました。
かつてネズ・パース族とアメリカ政府の間で戦争が勃発した際に殺戮の対象となったことがあり、その数は瞬く間に減ってしまったという悲しい歴史があります。
数が激減してしまったアパルーサですが、歴史学者フランシス・D・ヘインズがアパルーサの歴史をまとめて雑誌に寄稿し、品種の保護を訴えたことでアパルーサに注目が集まりました。その背景から1938年に血統登録団体アパルーサ・ホース・クラブ(ApHC)が設立され、それから数を増やしていったアパルーサは現在ポピュラーな品種となったのです。
余談ですが、この戦争の中、ネズ・パース族が乗るアパルーサは政府軍の騎馬隊を巻いて2000kmの道のりを逃げ切ったという逸話があります。アパルーサの並外れた持久力を物語るお話ですね。
性格
アパルーサの性格は大人しく、とても素直。乗り手の言う事をよく聞いてくれるので初心者でも扱いやすく、牧場作業や馬車馬として力を発揮したり、最近ではサーカスやパレードなどのショーや映画での活躍も見られます。
それはネズ・パース族が実用的かつ丈夫で戦闘や狩猟にも適合する多彩な馬を目標としてきた一方、賢くておとなしいという性格面にも気を配りつつ育種改良に励んだ結果。頭が良く忍耐力も持ち合わせています。
身体的特徴
何と言ってもヒョウ柄と言われる斑点が特徴です。
基となったスペインの馬にはブチ毛が多かった故にアパルーサにはヒョウ柄が多いそうです。改良を重ねたことで柄のバリエーションも非常に豊富。生まれたての時はまだ毛色の種類か判断しにくいのですが、成長していくにつれ柄が判別できるようになってきます。
アパルーサと認定されるには細かい規定があるのですが、規定をクリアした無地の個体がいるというのも面白いところ。
身体的には骨太で体高は140~160cm、体重は430~570kgと、数多の改良の為なのか個体によって幅が見られますが子どもから大人まで乗る事ができます。
また腰がしっかりしていることから騎乗時に反動が少なく、乗り手の負担が小さく済むのは魅力ですね。しかしながらバネの強さを持ち、非常に軽やかさがあるのも特徴です。
その他の特徴
アパルーサはヒョウ柄という特徴の他にも、わたしたちが見慣れた馬とは違った特徴を様々持っています。
・たてがみや尻尾の毛が少ない
本来アパルーサはたてがみや尻尾の毛の量が少なめです。ですが近年の改良では、たてがみや尻尾の毛が薄くならないようにしているようで、最近はたてがみや尻尾の毛がふさふさとしたアパルーサが増えています。
・蹄に縦じまの線がある
アパルーサの蹄はとても硬くて丈夫、そしてストライプラインが入ってることも多いそうです。
・白目がかっこいい
一般的に馬の目は黒目がちで愛らしい印象ですが、アパルーサは白目が目立つ倫眼の個体がとても多いです。白目が見えることで目元が涼し気に見えませんか?
・お尻の傾斜
アパルーサのお尻には傾斜があり、馬用語でいわゆる『斜尻』。競走馬で言うとこの形はトモの筋肉を縮めて伸ばすのに適した形となっているため、一般的に瞬発力に秀でていると言われています。持久力は申し分ないアパルーサですが、お尻の傾斜から瞬発力も兼ね備えているのが分かります。
まとめ
ヒョウ柄ということで派手な見た目を持ちますが、性格は大人しく素直、そして賢く、親しみやすそうなアパルーサ。「一目見てみたい!」と思うのはもちろん、乗馬の馬としても乗りやすいようなので機会があったら是非騎乗してみてくださいね。