乗馬メディア EQUIA エクイア

メインビジュアル

馬の脚に発症する病気「フレグモーネ」

馬の疾患にはさまざまなものがあります。その中でも馬の脚に関する病気は、馬にとっては大きなダメージとなります。最悪の場合は、安楽死処分を余儀なくされることもあるので、非常に恐ろしい疾患でもあります。

今回は、馬の肢の疾患の中でも特に気をつけなければならないもののひとつである、フレグモーネについてまとめました。

どんな病気?

馬の脚に発症する病気「フレグモーネ」
フレグモーネは、皮下の組織に見られる急性の化膿性疾患です。一晩で馬の肢が象の肢のようにパンパンに腫れ上がって動けなくなったり、激しい痛みを伴い、悪化すると膿がたくさん出てきます。関節などに感染が広がると重症化する可能性もあり、最悪の場合は死に至ることもあります。

痛みがある肢をかばって動くため、痛みのない肢に負担がかかり蹄葉炎を発症してしまう可能性も高いです。蹄葉炎も、発症すると死に至る可能性があり、非常に危険な疾患です。

フレグモーネは、血行が悪くなると発症率が高くなる傾向があるため、気温の高い春から夏よりも、気温が低くなる秋から冬にかけて多く発症します。

早期発見・早期治療を施すことができれば、亡くなることはほとんどありません。ただし完治は難しいと言われ、一度腫れた肢は治っても腫れたままになってしまいます。また治療のために投与する抗生剤は、使い続けると耐性ができて効きにくくなります。

フレグモーネの発症は競走馬に多くみられ、「キズ腫れ」と呼ばれています。特にレースでは馬場の砂による外傷や、後肢の踏み込みが良いために肢が擦れることによって外傷を負うため、後肢に多く見られる病気です。

乗馬クラブでは、フレグモーネになった馬は見た目が悪いことや何度も再発することから、世話も大変なために廃馬になってしまうことも多いです。

原因

馬の脚に発症する病気「フレグモーネ」
フレグモーネは、傷口から細菌が体内侵入することで発症します。フレグモーネを引き起こす原因は主に2種類の細菌で、「黄色ブドウ球菌」と「化膿(かのう)レンサ球菌」です。どちらも私たちの身の回りに普通に存在しており、皮膚表面にも存在する細菌です。通常はからだの表面に付着しても、皮膚がブロックして体内に侵入することはありません。

フレグモーネを引き起こす細菌は、人間の肉眼では見えないほどのごく小さな傷口からでも体内へ侵入します。そのため前日に肢をさわって傷がないと確認したのに、翌朝馬房から出した時、肢が腫れ上がっているのを見て驚くことが多いのです。

予防法

馬の脚に発症する病気「フレグモーネ」
フレグモーネの予防法ですが、万が一馬体に傷ができた場合には、傷口を徹底的に消毒することしか予防法はありません。

何度も繰り返しフレグモーネになる馬の場合は、傷口が見当たらなくても脚全体に消毒液をかけて徹底的に消毒します。フレグモーネの発症原因である黄色ブドウ球菌や化膿球菌は、人が気がつかないほどのごく小さな傷口からでも体内へ侵入するからです。

しかし、万が一フレグモーネにかかってしまった場合、治療には抗生剤の投与や抗炎症剤の投与などがありますが、専門的な知識が必要となります。
しかし専門的な知識がなくてもできる、フレグモーネの治療方法が2つあります。

ひとつめは、フレグモーネで腫れた患部を水で冷やすことです。
冷やすことで患部の熱を取り、血流をおだやかにする効果があります。1日に3〜4回程度、それぞれ1回に約15分間ほど流水で冷やします。

ふたつめは、曳き馬をおこなうことです。
曳き馬のような軽い運動をおこなうことで、腫れを抑えられる効果が期待できます。
フレグモーネの馬の曳き馬は、肢に負担がかかり過ぎないように通常よりもゆっくりのペースでおこないます。

フレグモーネを発症している馬は普段よりも運動量が減ってしまうため、飼い葉の与え過ぎによる馬体重増加に気をつけます。体重が増えると、肢への負担も増えてしまうからです。

まとめ

馬の脚に発症する病気「フレグモーネ」
いかがでしたでしょうか?

今回は馬の疾患であるフレグモーネについてまとめました。

前日まで馬体に異常がなく普通に過ごしていた馬が、翌日突然象のような肢になってしまってびっくりした経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

馬の脚は第二の心臓とも言われているので、フレグモーネなどのように脚に関するケガや病気は、命にも関わってくる非常に重大な疾患です。

馬をフレグモーネから守るためにも、馬に携わる人々が日頃から馬についての知識を増やし、馬に対して細心の注意を払って世話ができるよう心がけていきたいですね。

新着記事