ミニチュアホースとポニー、違いって何?
乗馬をされている皆さんは、普段どの品種の馬に乗っているでしょうか。ほとんどの方は主にサラブレッドに騎乗されていることでしょう。乗馬クラブによっては、サラブレッド以外にもアングロアラブやセルフランセ、クォーターホースなどがいるかもしれませんね。世界には約250種類の馬がいるそうです。今回は、その中でも小型の馬であるミニチュアホースとポニーについて、その違いをまとめてみました。
ミニチュアホースってどんな動物
ミニチュアホースは20世紀初頭、アルゼンチンに住むファラベラ氏がシェトランドポニーやウェルシュポニー、アンダルシア、イベリア馬を元に作り上げたものです。この品種を確立したファラベラ氏の名前から、ファラベラと呼ばれるようになりました。
実は「ミニチュアホース」という馬の分類はありません。小型の馬はすべてポニーに分類されます。 しかしポニー種の中でも特に小型で大きさが違いすぎるために、ファラベラをミニチュアホースと呼ぶようになりました。
ミニチュアホースの体高は80cm以内が基準ですが、70cm〜76cmが平均値です。中には体高が40cm台しかなく、ほとんど犬と変わらないくらいの大きさの馬もいます。ミニチュアホースの体重は、60kg〜80kg程度です。
ツヤのある毛なみとスリムな体型、頑丈な骨や厚いたてがみを持ち、尾や球節はコブ種の特徴を受け継いでいます。毛色は鹿毛や青毛が一般的ですが、月毛やぶち毛の馬もいます。
ファラベラ以外にも、体高が80cm以内のポニーはミニチュアホースと呼ばれます。イギリスのシェトランド諸島原産のシェトランドポニーには、体高が80cm以内の馬がおり、ミニチュアホースに分類されます。シェトランドポニーの体高は71cmから107cmと幅広いのですが、一般的には体高が100cm前後の馬が多く、多くのシェトランドポニーはミニチュアホースではなく、ポニーに分類されます。
ミニチュアホースの性格はおとなしく温厚です。そして人懐っこい性格から、アメリカではペットとして人気があり繁殖もさかんにおこなわれています。アメリカで繁殖されたファラベラは、アメリカンミニチュアホースと呼ばれています。学習能力が高いので、ホースショーなどに使われたり、盲導馬として利用されています。
日本でもミニチュアホースを繁殖している牧場があり、購入することが可能です。価格は80万円台が中心です。
ポニーの種類は、何種類
ポニーとは体高が147cm以下の馬の総称のことをいい、特定の品種を指すわけではありません。主に子供の乗用馬として飼育されることが多く、温厚な性格で持久性に優れているのが特徴です。走ると時速40kmほどのスピードは出すことができ、運動能力にも優れています。ポニーの種類は10種類以上ありますが、その中でも代表的なポニーをご紹介します。
シェトランドポニー
シェトランドポニーはイギリスの北方にあるシェトランド諸島が原産の品種です。今から約1万年前にスカンジナビアからシェトランド島に渡ってきたと考えられています。
寒さから身を守るための厚い冬毛や長いたてがみと尾が特徴で、脚は短く、毛色は様々で、鹿毛、栗毛、青毛、芦毛などの他にぶち模様なども見られます。
ウェルシュポニー&コブ
ウェルシュポニー&コブは、イギリスのウェールズ地方高原部の野生のポニーを祖先とし、ローマ人が持ち込んだ東洋の種馬と交配させたのが始まりと言われています。紀元前1600年頃には既に祖先が存在していたといわれ、とても歴史のある品種です。
大きさによってA、B、C、Dの4つの種類に分類されています。特に多様性に重点を置いて作られてきた品種で、小型のものは特に子供用の乗馬として人気があります。
ハフリンガー
ハフリンガーはイタリア、オーストリア、ドイツのバイエルン地方が原産のポニーです。
ハフリンガーの名前の由来は、主な原産地であるイタリア北部の村の名前ハフリング(Hafling)から付けられました。平均体高は130cm強と比較的大きなサイズで筋肉も発達してパワーがあるため、乗馬や引き馬として使われています。原産地では今でも農耕馬として使われています。
ハフリンガーは全ての馬の毛色が栗毛で、尾とたてがみは淡色なため、とても見栄えのする美しい外見が特徴です。
病気にも感染しにくいと言われおり、どんな飼料も消化する強い胃袋を持っているので大変重宝されています。
フェルポニー
フェルポニーはイギリス中部、イングランドのペナイン山脈が原産の品種です。体高は約130cm~140cmで、毛色は鹿毛、青毛、青鹿毛、芦毛が見られます。
フェルポニーは耐寒性に優れており、どんな気候にも適応できるような頑丈さを持っています。性格は穏やかで賢い品種です。
フェルポニーは現在、乗用馬として使われており、トレッキングや馬車競技などでも優れた能力を発揮し活躍しています。
ハクニーポニー
ハクニーポニーはイギリス原産で、体高は130cm半ばのポニーです。ウェルシュポニーやフェルポニーの品種改良によってつくられました。主に馬車用として使われています。
モウコノウマ(蒙古馬)
モウコノウマはモンゴル原産で、体高は130cm前後です。軍馬、遊牧用として用いられています。
木曽馬
木曽馬は日本原産で、体高は130cm以上です。もともとは運搬用、農業用とされていましたが、現在は乗馬として用いられています。
済州島馬(チョランマル)
済州島馬は、韓国・済州島の在来馬です。チョランマルのマルはモンゴル語で馬を意味します。元朝のクビライ・カーンの時代に、済州島で戦闘馬を育てたのが始まりで、土着の馬と交配しながらチョランマルになったと言われています。済州島では、済州島馬による競馬が実施されているそうです。
ミニチュアホースとポニーの育て方
ミニチュアホースやポニーの飼育についてですが、エサは他の品種の馬たちと同様に乾草が主食です。大麦やエン麦、大豆、トウモロコシ、人参、リンゴなども食べます。また、餌代も1ヵ月で5千円程度です。
ミニチュアホースやポニーの寿命は長く、約20年~30年と言われています。病気をしなければ40年生きることもあるそうです。
大きな馬よりも心疾患の可能性が高かったり、飼料に気を付け栄養管理をキチンとしないと蹄葉炎を発症するリスクも高いと言われています。
日本でミニチュアホースやポニーを飼育する場合、軽車両扱いになるため自治体の許可が必要です。飼育するスペースは畳2~3畳くらいの広さがあれば十分なので、個人で飼育することは可能です。
ストレスが溜まらないように、毎日30分程の散歩は必要です。また1日2~3回の給餌と十分な飲み水を用意することが必要です。さらに、定期的に診てもらえる獣医さんを確保することも必要です。
もしも飼育する場合には、最後まで責任をもって面倒をみてあげましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ミニチュアホースとポニーは体高で区別されています。
乗馬クラブによっては乗用に向かないミニチュアホースを看板馬として飼育しているところもあります。また、小学生対象のポニー乗馬スクールをおこなっている乗馬クラブでは、可愛らしい姿を見ることができるだけでなく、実際に乗馬として活躍しています。ミニチュアホースもポニーも、可愛らしいだけでなく非常に賢いので、乗馬以外でも多方面で活躍しています。
個人で飼育することも可能ですが、40年ほど生きる場合もあるので終生飼育できるかよく考える必要があるでしょう。