定年後の趣味として乗馬をおすすめする理由
アクティブシニアという言葉をご存知でしょうか。仕事や趣味に意欲的で、健康意識が高い活発なシニアのことです。
定年を迎えて時間に余裕が出てきたことにより、新しい趣味をもつシニアも増えてきました。そして、定年後に始める趣味として乗馬を始める人もいます。
定年後でも趣味として始められる、乗馬のおすすめポイントを紹介します。
力やスピードは不要
自分より体の大きい馬を乗りこなすことに、ハードルを感じる人はいると思います。特に体力の衰えを感じるシニア世代にとって、そのように考えることは自然かもしれません。
しかし、乗馬をするのに人間の力やスピードは不要なのです。馬をコントロールするために必要なものは力やスピードではなく別の2つになります。それは何かわかりますか。ここから詳しく説明します。
馬とのコンタクト
馬をコントロールするために必要なものは、馬とのコンタクトです。乗馬クラブの馬は既にしっかり調教されています。馬との決まり事をしっかり理解して指示することが必要になります。
乗り手の人間が不安になりながら指示をだしたり、曖昧な指示を出した場合、乗り手の指示に従うと調教されている馬はどうしていいかわかりません。明確な指示が出せるようにしましょう。
バランス感覚
馬をコントロールするために必要なものとして、バランス感覚も大切です。ここで「バランス感覚は自信がない」と諦めてしまいそうな人もいるかと思いますが、大丈夫です。騎乗を繰り返すうちに体幹が鍛えられ、バランス感覚が養われていきます。
騎乗中、人間は落ちないように無意識にバランスを取っており、バランス感覚を養いながら体幹を鍛えているのです。
そのため、乗馬のレベルアップと共に人間のバランス感覚もレベルアップしていきます。
さらに体幹を鍛えることで、腰回りの筋肉も鍛えられ、腰痛の予防・改善にもつながり、私生活でも基本になる健康な体作りの効果も期待できます。
またバランス感覚は騎乗中だけでなく、自宅でバランスボール等を使いながら鍛えることもできるため、地道に力を付けていくことも可能です。ただし、バランスボールを使用するときには、転倒などには気を付けましょう。
男女差がない
オリンピックなどをみても、大抵のスポーツは男女が分かれて競技を行います。理由は体格・力の違いによって差が出てしまうからです。
しかし、馬術競技は男女の区別なく競技が行われます。これはオリンピックでも同じです。それだけ乗馬は乗り手の体格や力が重要ではないということです。
そのため定年後に夫婦で一緒に乗馬を始めても、上達スピードに差がでにくく、夫婦で楽しみや悩みを共有したり、よきライバルとして切磋琢磨して乗馬に打ち込むことができます。
夫婦で同じ競技に出場し2人で上位争いをしてみるのも、定年後の新たな目標・生きがいにもなりそうです。
リラクゼーション効果
乗馬をおすすめする理由として、リラクゼーション効果が挙げられます。馬とふれあうことで心身共に「癒し」を感じることでしょう。その例を具体的に紹介します。
乗馬で心身がほぐれる
馬の上から見る景色はいつもより視界が高く、日常の景色が非日常の景色に変わります。それだけでも気分はいいものです。
そして歩くたびに4本の肢で作られる規則正しいリズムは、大きな背中越しに伝わり、乗っている人間の心も体ももみほぐしてくれます。
また、人間は自分より大きな体の馬をコントロールすることで、自信にもつながるといわれています。
乗らなくても癒される
馬に癒される時間は乗っているときだけではありません。例えば大きくて優しい目を見たとき、ニンジンをあげて喜んでくれたとき、大きな体に触れて体温を感じながらブラッシングをしているときなど、馬に癒される時間は乗馬中だけではありません。
ペットを飼った経験のある人はイメージしやすいかもしれませんが、何気ないときの何気ない表情にも癒されることでしょう。
馬は癒しのプロ
実は馬は癒しのプロであることをご存知でしょうか。馬の中にはホースセラピーとして障がい者の心身の機能向上のために活躍している馬がいます。
具体的には、身体的効果として乗り手は騎乗中に無意識にバランスを取ることで、腹筋や背筋の筋力アップにつながったり、馬が歩く振動により脳が刺激を受けたり、体にマッサージ効果が得られるといわれています。
また、精神的効果としては、自分より大きな馬をコントロールできたことで自信や満足感につながったり、ストレスや孤独感が緩和されます。
そしてホースセラピーは騎乗していなくても、社会性のある馬の世話をするなど、ふれあうだけでも効果があるといわれています。
例えば、馬と意思疎通を図るために自分の意思や感情を表現することができるようになったり、馬と信頼関係を築くためにコミュニケーション力が向上したり、これらのことにより積極性もでてきます。そして、これらは馬に対してだけでなく、人間社会でも発揮されるようになります。
幅広い年齢の仲間ができる
乗馬は力やスピードが必要なく、また男女が一緒に競技できるという点で老若男女が趣味にできるスポーツです。では、実際どれくらいの年齢の方がいるのかみてみましょう。
何歳から始められる?
乗馬は動物への愛情が育まれる・体幹が鍛えられる・親子で一緒に習える等と理由から、子供の習い事として始められることがあります。
しかし、いつからでも始められるわけではありません。手綱を持って馬をコントロールする必要があるため、ある程度の身長が必要とされています。乗馬施設によって規定が異なりますが、具体的には5歳・6歳くらいからということで小学校入学前後になります。
「そんな小さな子が出来るの?」と思うかもしれませんが、子供の方が余計なことを考えずに素直に馬とコミュニケーションをとるため、上達が大人より早いことが多くなっています。
何歳まで続けられる?
乗馬は高齢になっても続けられる趣味です。といっても、定年後に始めて何歳くらいまで続けられるか気になりますよね、具体的には、80代、90代でも乗馬を続けている人はいます。
なかには、選手として続けている人もいます。馬場馬術競技選手の法華津寛選手のことをご存知の人も多いのではないでしょうか。
法華津選手は1964年の東京オリンピックでは障害飛越競技で出場していました。その後、馬場馬術に転向し、2008年北京オリンピックでは史上最高齢の選手として出場、さらに2012年ロンドンオリンピックでも71歳で最高齢の選手として出場していました。
その後、2021年に行われた東京オリンピックにも80歳4ヶ月での史上最高齢の選手として、そしてご自身にとって2回目の東京オリンピック出場を目指していましたが、選考基準には満たなかったようです。
乗馬は80代でもオリンピックを目指せる競技です。オリンピック等の競技を目指さなくても、趣味として70代、80代でも続けていくことができるスポーツは、他にはないのではないでしょうか。
幅広い世代
乗馬は小学生から70代、80代のシニアまで楽しめるスポーツです。もちろんその間の世代、学生やOL、サラリーマンなど幅広い世代の人たちも乗馬を趣味にしている人がいます。
そのため乗馬を始めるとさまざまな世代とつながり、幅広い世代の仲間ができます。なかには、自分の子供世代や孫世代とレッスンを共にし、交流を深めることもあります。
まとめ
乗馬は自分より体が大きい馬をコントロールするため、十分な力や若さが必要かと思われがちですが、力や若さは必要ではありません。
また、乗馬は男女差がほとんどありません。しかも小学生から70代、80代のシニアまでが楽しめるスポーツです。
そのため、定年後に「ご夫婦で!」「お孫さんと一緒に!」など家族で始めることも可能なスポーツです。