【乗馬を始めたあなたへ】気をつけてほしいこと

乗馬を始められたばかりの方は上達する意欲に満ちあふれ、馬に乗る事をとても楽しんでいらっしゃると思います。馬との触れ合いで得られる癒しや騎乗した時の高揚感は格別ですよね。しかし次第に初めて馬に乗った時の緊張感は薄れて、油断が生じてくるのも事実。基本動作も気が抜けてルーティンワークのようになっている時期かもしれません。特に油断は大きな怪我へと繋がる恐れがあります。乗馬を満喫する為にも安全面への配慮を疎かにしてはいけません。たとえこれから技術が上達していったとしても、です。そもそも基本をしっかり押さえておかなければ思ったような上達はありません。
乗馬に少し慣れてきたと感じる今だからこそ、改めて注意点を復習してみましょう。
馬に乗るときと下りるときの注意点

馬に乗る時・下りる時にも十分な注意が必要です。さっそく確認しましょう。
馬を見る
馬の顔や耳の動きを見ましょう。顔を見れば動きが分かりますし、耳を見ればどのような感情か分かります。馬の気持ちを理解しないで接すると危険な事故へと繋がる事があります。びっくりしたり怖がったり、動こうとしたり走り出そうとしたり、または噛もうとするかもしれません。そのような咄嗟の事態に対応できるように、しっかりと顔や耳の動きを観察して挙動や気持ちを予測すれば安全性が高まります。
体の向き
台を使用しないで馬にまたがる時の体の向きになりますが、馬の顔が見えるようにするのが好ましいです。馬の顔の方向に背中を向けたほうが鐙に左足を掛けやすい、または馬体になるべく近づかないと左足を鐙に掛けられないという場合もあるでしょう。しかし馬にまたがろうと足をかけた瞬間に馬が走ったり暴れたりしたらとても危険です。落ち着いているか、動き出す兆候はないかなど、馬に乗る際には顔や耳を見て気を配りましょう。
止まっている馬にまたがる
馬がきちんと止まっていれば騎乗者のタイミング次第なので、安全に乗る事ができます。動く馬に乗ろうとするから危ないのです。「馬が動いたら乗らない」。乗ろうとしているのに馬が動いた時にはこれを徹底して下さい。ただし何度も繰り返す中で「もういいか。」と中途半端に乗ってしまうのは厳禁です。馬は頭がよく、その1回を覚えてしまうからです。
手綱の長さ
手綱は短く持てばいいというわけではなく、適正な長さで持ちます。落ち着いて止まって待つことができる馬であれば、少し引っ張ったらすぐにはみが掛かるよう左右均等にピンと張るくらいが丁度いいでしょう。
その他には、脚を鐙に掛ける時や抜く時、右足が馬体をまたぐ時に、馬に当たらないように気をつけて下さい。鞍に座る時も優しく静かに座るように心掛けます。
騎乗中の注意点

体験乗馬や初心者の場合、馬に乗り方を教えてもらうくらいの気持ちでとにかくリラックスして乗りましょう。まずは身体に力を入れ過ぎない事が大事です。必要以上に力んでしまうとバランスを崩したり、馬の動きに対応できません。馬にも不必要な衝撃を受ける、動きにくいなどの不具合が生じます。
適度に力を緩めたら、正しい騎乗姿勢を意識して下さい。
膝でしがみつかない
初心者は馬上でバランスを崩しがち。怖いという思いからつい膝でしがみついてしまう事が多くあります。膝は柔らかくクッションのように使う事を心掛けましょう。
上体を前のめりにさせない
上体が前のめりにならないようにと重ね重ね言われるのは、落馬の確率が高くなるからです。馬が何かの拍子に止まってしまったり、頭を下げた時に簡単に落馬してしまいます。初心者が前のめりになるのは、馬を見てしまうことが一番の原因。また上体を起こして騎乗していても、馬に首を下げられた拍子に手綱を持って行かれて前のめりになってしまう場合もあります。これは腕の力だけで手綱を持って鞍に座っている為です。肩甲骨を寄せて、そのまま下に下げるイメージを持ち、背中の筋肉を使って姿勢を維持してみて下さい。
上体をのけぞらせない
前のめりとは反対に、後ろにのけぞる姿勢もNGです。足が体より前に出てしまい、脚での扶助ができなくなってしまいます。
目線を下にしない
目線を下にすると頭が下がってしまうので騎乗者のバランスが崩れます。目線は進行方向。周囲の状況を確認できるようにしておきます。
馬と接するときの注意点

それぞれの個性はあるものの、馬は基本的に温厚で優しい性格です。しかし草原で生き抜く為に周囲の異変を敏感に察知し、すぐ逃げられるように進化した草食動物ならではの臆病な一面も持っています。その名残で突然の動きや大きな音などに驚いてしまいます。いきなり触ったり、近くで騒いだりするのはやめましょう。
接する時はまず正面や横から馬の視界に入って存在を認識してもらい、優しく声を掛けながらゆっくり体をなでます。顔周辺をなでる場合は目線より高い位置に手を出すと警戒されるので頭やおでこではなく、鼻先や頬をなでて下さい。お腹は嫌がるので触らないようにしましょう。
馬は脚力が非常に強いです。蹴られると大怪我をしかねないので、馬の後ろには立たないで下さい。
馬自身に自分の方が偉いと思わせないことはとても重要です。馬は群れの中で序列を作って暮らす生き物なので、騎乗者を自分よりも下と認識してしまうと指示を聞いてくれなくなります。初心者といえど堂々とした態度や明確な指示出しで、あくまでもリーダーは騎乗者だという事を示さなければなりません。
馬は耳で感情を表現します。馬と接する時に耳を後ろに伏せていたら警戒しているサインなので、なるべく近づかないようにするのが賢明です。
まとめ
今回は「このようにしたらいい」ではなく、「これをしないようにする」という視点から基本の復習をしてみました。馬と過ごす時間の中で自然に注意点を意識しつつ行動する事が乗馬のスムーズな上達への近道であり、馬との信頼関係構築に繋がるのではないでしょうか。上達していく過程で定期的に基本を反復すれば、その時々で気づきが得られると思いますよ。