馬と仲良くなれる触り方

馬と仲良くなりたいのに、なかなか距離が縮まらないと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。馬と関係性を築くためには馬の性質や特徴を把握して接することが大切です。スキンシップも馬の性質を理解していれば、効果倍増も間違いありません!今回は、馬とのスキンシップの取り方についてご説明します。
触り方に気を遣わないといけない理由

馬は草原で肉食動物に追われる立場の被食動物でした。何かが起きた場合や敵が近づいてきた場合にすぐに逃げられるように進化してきた動物です。そのため、自分の身のまわりで起きることに対して、非常に敏感な動物です。馬に限らず、ほかの動物も同じですが、いきなり人がさっと近づいてきて、手を上げたとしたら馬は「叩かれる」と思い、逃れようとするかもしれません。できるだけ、怖がらせず、「私は無害ですよ」とボディーランゲージで馬に伝えてあげる必要があります。
馬はあまり目が良くありません。特に顔の周りはあまりよく見えていないのだそうです。馬の目は草原に潜む敵をすぐに見つけられるように、進化の過程で前方から横側につくようになりました。その結果、馬の目は周囲の環境を把握するのに大変優れているのですが、目の周りの至近距離を見たり、見えたものとの距離感を把握したりするのが苦手になりました。視覚で距離感を把握することができない分を目の周りに生えている感覚毛で補ってはいるのですが、馬にとって見えづらい部分をいきなり触ってしまうとびっくりする馬もいます。こういった理由から、人間側が気を遣ってあげる必要があるのです。
触り方のポイント

では、敵ではないことを分かってもらうためにはどのようにしたらいいのでしょうか。まず、馬の斜め前あたりから、ゆっくりとびっくりしないように近づきましょう。優しく声をかけながら、手のひらのにおいをかがせます。馬同士でのあいさつでは、必ずにおいを確認します。同じようにいきなり触るのではなく、まずは馬に挨拶をすませましょう。馬のルールにのっとって、行動すれば、早く仲良くなることができるはずです。
首のあたりをなでられると喜ぶ馬が多いので、挨拶が終わったら、まずは首からそっと触ってみましょう。様子を見て大丈夫そうであれば、少し強めにポンポンと叩くように触ってあげたり、マッサージするように触ってあげたりしましょう。どうしても最初から顔を触りたくなりますが、顔はなでられるのが好きな馬とそうでない馬がいます。クラブに通っている方であれば、普段のお手入れのときから、パートナーがどこを触られるのが好きで、どこを触られたくないのか、観察しておくといいかもしれません。その馬の好きなところをたくさんなでてあげて、嫌いなところを触らないようにしてあげれば、馬からの信頼も厚くなるはず。馬の好きなことを覚えて、「自分の好きなことを知っている人・嫌なことをしない人」という認識を馬にしてもらえるようにしましょう。
触る時の注意点

馬に近づく際には、直線的な素早い動きを避けて、斜め前や横の方からゆっくり近づきましょう。馬にとって、素早い直線的な動きは敵である肉食動物と同じような動きであり、不安を引き起こしてしまう可能性があります。そのため、正面からいきなり、さっと馬に近づいて顔を触るのは危険です。洗い場にいる馬の場合、左側に立った方が馬は安心すると言われています。
また、基本的に馬は触られるのが好きではないということも覚えておきましょう。馬の反応を見ながら、触ってあげてください。耳を絞ったり、嫌がったりしているようなら、すぐにやめてあげましょう。無理に触るのは、逆効果です。馬によって違いますが、一般に胸前やお腹、背中、股は敏感な馬が多いので最初から触らないようにしましょう。
ニンジンやおやつをあげる場合は手のひらを広げたうえにのせて、馬の口に近づけましょう。スティック状に切ったニンジンをあげる際に指でつまんで、馬の口にもっていく方を見かけますが、馬は目が悪いのでニンジンと指の見分けがつかず、意図せずに指まで噛んでしまうかもしれません。
高い声や大きな声にも敏感に反応することもあります。特に音に敏感な馬の場合、驚いてしまいバタバタしてしまうかもしれません。馬を触る際には、高い声を出したり、大声をあげたりしないようにしてください。
さらに子供を馬との触れ合いでお連れになる親御さんにお願いしたいのは、絶対に子供から目を離さないこと。子供は声も高く、動物が予測しないような素早い動きをしがちです。馬は基本的に人にも子供にも優しい動物ですが、両者の特性から思わぬ事故を引き起こしてしまう可能性はゼロとは言い切れません。不幸な事故を起こさないためにも、是非、親子で一緒に馬とのスキンシップを楽しんでくださいね。
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まとめ
今回は馬とのスキンシップの取り方についてご紹介しました。人間も突然触られるとびっくりしますが、馬は特に怖がりな動物なので優しく穏やかに接してあげる必要があります。馬と仲良くなるためには、人間側が馬の性質や馬社会のルールを理解して、馬が安心した状態でスキンシップをはかることが大切です。