馬に乗るって難しい?初心者が知るべき基本の姿勢

乗馬を始めると思ったよりも、上達しないと思っている初心者の方も多いのではないでしょうか。誰もがぶつかる壁ですので心配ありません。ただ、コツを知っておくと少しだけショートカットできるかもしれません。今回は乗馬の基礎にして真髄でもある騎乗姿勢の基本をご紹介します。
基本の正しい姿勢とは

正しい騎乗姿勢とは、頭、肩、お尻、かかとが一直線上にある姿勢のことを言います。
最初からこの姿勢をきれいに取れる人はほとんどいません。無意識に心臓を守ろうとするため、巻き肩になったり、前傾したりする方が多いです。鏡を見ながら、自分の体がまっすぐになっている感覚を体に染みこませましょう。自分で思っているよりも、重心を後方にもってこないと体はまっすぐになっていないかもしれません。最初のうちは少し大げさなくらい、重心をうしろ気味において、鏡で確認してみましょう。
重心を後方に置こうとすると鞍の後ろ側に座ってしまいがちです。鞍つぼと呼ばれる鞍の一番低いところに坐骨(お尻の下に手のひらを入れると触る骨)が立つように座ることを心がけましょう。
何より、たくさん乗って、慣れることが大切です。できれば、騎乗中に動画を撮影してもらったり、馬場についている鏡で自分の姿勢をチェックしたりするなど、正しい騎乗姿勢を意識をすることから始めてみましょう。
基本姿勢の作り方

馬にまたがって鞍つぼに座っていることを確認したら、鐙を履かずに足をだらんとしてみましょう。インストラクターに脚の位置を確認して問題がなければ、なるべく脚の位置を動かさないように、そっと鐙を履きます。股関節から脚全体で馬体を包み込むイメージで軽く馬体を挟みます。膝はニ―パッドに軽く添える程度にしましょう。膝で馬体をぎゅっと挟んでしまうと、膝から下のバランスが不安定になり姿勢が崩れてしまいます。踵は地面と平行になるようなイメージで踏みましょう。
馬上でもある程度、安定するようになったら、前傾気味の姿勢から、少しずつ体をうしろに倒していき、馬が一番スムーズに動いた位置で重心をキープする方法をとってもいいでしょう。
手綱は張った状態で肘までが一直線になるような長さにします。馬の頭の重さを感じる程度に張りましょう。その状態で肩甲骨を寄せると胸が開きます。
乗馬では上半身と下半身は全く別々の動きをします。例えば、強い脚をたくさん入れるために脚は休みなく動いていても、上半身に力を入れたり、拳を大きく動かしたりすることはありません。上半身を大きく動かしてしまうと、馬上で乗り手の重心が変わってしまうので、馬が動きづらくなってしまいます。初心者の方は、脚で合図するときに上半身にも力が入ってしまう方が多いようです。まずはできるだけ、リラックスをすることを心がけて乗ってみましょう。
よくある失敗パターン

よくあるのは前傾してしまうパターンです。速歩のスピードにもついて行けずに、恐怖心から体が固まってしまって、上半身が前傾してしまいます。馬は普段、前肢に重心がありますが、パワーの源である後肢をよく動かせないと走れません。そのため、乗り手は馬の体を起こして、馬が後肢を動きやすい重心を作ってあげなくてはなりません。前傾姿勢になってしまうと、乗り手の重心が前に傾いてしまい、馬のバランスが崩れて、速歩をしていても止まってしまいます。リラックスをして、体を起こすように意識しましょう。
また、前傾をする乗り手は馬を見ているために視線が下に落ちて、猫背になっていることもあります。必ず進行方向に目線を向けるようにしてください。前傾していたり、猫背になったりしていると、馬がつまづいたときに落馬してしまう可能性もあり危険です。そのうちに速歩のスピードにも慣れて、体も徐々に起こせるようになり、視線も上がりますが、最初は意識して体を起こして、視線を進行方向に向けるようにしましょう。
スピードに慣れないうちは膝で馬体を挟んでしまうパターンもあります。膝で挟んでしまうと膝より下がグラグラしてしまい、騎座が安定しません。膝で締めるのではなく、股関節から脚全体で馬体を軽く挟むようにしましょう。

さらに脚が前に流れてしまうパターンもよくあります。鐙を踏もうと頑張りすぎて力んでしまっていることや鞍の後ろ側に座っていることが原因です。踵を下げてとアドバイスを受けることもよくあると思いますが、足の裏が地面と平行になるイメージで力を入れすぎないようにしましょう。脚に余計な力が入っていなければ、踵が必要以上にあがることはありません。鐙をずっと力強く踏み続けるわけではありません。上にあがってくる反動のある鐙をタイミングよく足の裏で下の方向に押さえるといったイメージで踏むと力の入れ方やタイミングがちょうどよくなるかもしれません。
鞍つぼより後ろに座っている場合も脚が前に流れてしまいます。姿勢を正そうと背中をそり過ぎている方によくみられます。余計な力を抜き、リラックスして騎乗することを心がけましょう。
脚が前に流れてしまう場合は、どちらのパターンなのか、鏡を見て自分の姿勢を観察してみましょう。
まとめ
いかがでしたか。今回は乗馬を始めたばかりの方に向けて、乗馬の基本姿勢やよくある失敗パターンについてご紹介しました。正しい騎乗姿勢を保つためには、ある程度の筋肉も必要です。また、馬によって、反動やスピードも違うことから、練習をすれば、すぐにできるようになるというものでもありません。しかし、鞍数を重ねていけば、少しずつできるようになってくるので全く心配はいりません。最初は難しいと思うかもしれませんが、コツコツと続けていけば、いつの間にか自然とできるようになっているはずです。