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前傾姿勢での騎乗がNGな理由

乗馬を始めたばかりの時期は「いつも姿勢のことを指摘されてしまう…」という人も多いのではないでしょうか。なかでも特に多いのが、前傾姿勢になってしまうパターン。そこで、今回の記事では「なぜ前傾姿勢がいけないのか」「どうして前傾姿勢になってしまうのか」について詳しく解説していきます!

落馬しやすいから

前傾姿勢での騎乗がNGな理由

前傾姿勢がNGな理由の1つめは、落馬しやすくなるから。乗馬では馬の動きに合わせて体の重心を調整することでバランスが安定しますが、前傾になると重心が馬の首や頭のほうに偏り、馬の動きに適切に対応できなくなります。その結果、急な動きや予期しない振動があった際に、体勢を保てずに落馬するリスクが高まるというわけです。

さらに、前傾姿勢では体幹の姿勢が崩れているのに腕や脚の力で無理にバランスを取ろうとするため、体が硬直しやすくなります。乗馬では柔軟な身体の使い方が求められますが、前傾姿勢により余計な力が入って柔軟性が失われると、馬の動きにうまくついていけなくなるのです。特に、駈歩や速歩の際には、正しい姿勢でバランスを保つことが、落馬を防ぐ大切なポイントになるでしょう。

馬に負担がかかるから

前傾姿勢での騎乗がNGな理由

人間が前傾すると、その体重が馬の前方部分(特に肩や首のあたり)に集中してしまいます。こうしたバランスの崩れは騎乗者にとって危険なだけでなく、馬にとっても大きな負担になります。

たしかに「馬は力持ち」「私たちより身体が大きい」というのは事実ですが、その体重は400~500kgほど。50kg程度の人間が騎乗したとすると、重さのバランスとしては私たちにとっては5kgの米袋を持ったようなものです。

5kgのお米を持ったとき、うまく持てば小走りをしたり小さな段差を少し飛び越えるくらいはできますが、バランスの悪い位置で持つと「結構重いな」と感じますよね。馬も同じで、このように不自然な圧力がかかることで動きが妨げられたり、疲れやすくなったりします。場合によっては、頻繁に筋肉や関節にストレスがかかり関節や筋肉を傷めてしまう可能性もあるでしょう。

また、前傾姿勢は馬の身体だけでなく気持ちにも影響します。馬は脚扶助や手綱での扶助だけでなく、騎乗者の体重の動きも敏感に感じ取って「次にどんな動きをするのかな」と考えてくれています。そのため、姿勢が前傾して不自然な位置に体重がかかると、馬は「この指示は何だろう…?」と不安や混乱を感じてしまうのです。

前傾姿勢になる原因

前傾姿勢での騎乗がNGな理由

上記のように、前傾姿勢にはいろいろなデメリットがあります。では「前傾姿勢ではいけない」とわかっていても前傾姿勢になってしまうのはなぜでしょうか?

不安だから

乗馬を始めたばかりの時期や、新しい動きに挑戦する段階で大きく関わってくるのが心理的要因です。馬の背中に乗ると普段の視線よりかなり高く、初めのうちは高さだけですでに「ちょっと怖いな」と感じている人も少なくありません。

こうした恐怖心を感じると、無意識に身体を前に傾けて体勢を低くしようとする心理が働きます。恐怖心をすぐに克服するのは難しいかもしれませんが「実は背筋を伸ばしていたほうが安全なんだよね」ということを思い出して姿勢を保ってみましょう!

筋力が足りないから

2つめの原因は、筋力不足です。正しい騎乗姿勢を保つためには背筋や腹筋、股関節周りの筋力が必要になります。しかし、乗馬を始めたばかりの時期はこれらの筋力が十分でないことも多いでしょう。そのため、姿勢を保つことができず自然と前方に傾いてしまいます。

なお、こうした筋肉は、実際に乗馬をしているときだけでなく自宅でのトレーニングでも鍛えることができます。そのため「はやく良い姿勢を保てるようになりたい!」と思ったら、ぜひ体幹部の筋肉やハムストリングスを鍛えるトレーニングなどに挑戦してみましょう!

馬だけに集中してしまっているから

乗馬を続けていると正しい姿勢が習慣化して自然にできるようになってきます。しかし、最初のうちは常に姿勢を意識していないと、どうしても楽な姿勢にもどってしまいますよね。しかも、騎乗中は自分の姿勢以外にも手綱操作や馬の動きなど気にしなければならないことがたくさん

すると「いつの間にか姿勢のことが頭から抜けていた…」なんてことになってしまいます。姿勢がなかなか安定しないと感じたらインストラクターとも相談して、すでに安定してできる運動の中で姿勢を重点的に身に付ける期間を設けるのもよいかもしれません。

正しい騎乗姿勢

前傾姿勢での騎乗がNGな理由

レッスン中に姿勢が崩れがちな人も、なんとなく正しい騎乗姿勢のイメージは頭の中にあるのではないでしょうか。このイメージを、より具体的に言語化しておぼえておくことで騎乗中に素早く自分の姿勢をチェックできるようになるはずです。

まず、体の重心が馬の背中の中央にまっすぐ乗るようにします。横から見て耳・肩・腰・かかとが一直線になる姿勢を意識してみましょう。背筋を伸ばすときは「猫背にならないように!」と意識しすぎて反り腰になりがちなので、骨盤をまっすぐ立てるように意識することも大切です。

そして、姿勢を正そうとすると全身に力が入りすぎてしまうことも。しかし、馬の動きに柔軟についていくためには、姿勢の保持に必要な筋肉以外はリラックスさせておきましょう。関節まわりの筋肉をリラックスさせることで、より自然に馬の動きに随伴できるようになるはずです。

まとめ

前傾姿勢は落馬や馬への負担を招く原因となるため、正しい騎乗姿勢を心がけることが大切です。不安感や体幹の筋力不足が前傾の原因となることが多いですが、今回紹介したポイントを意識しつつリラックスして臨むことで改善につながるでしょう。少しずつ練習を重ねて、自分にとっても馬にとってもよい姿勢を目指しましょう!

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