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乗馬に必要な感覚

乗馬には「感覚」が重要だと感じたことのある乗り手は多いのではないでしょうか。この感覚がどういったものか分かりづらいこともあり、つい「乗馬センス」という言葉に集約してしまいがちです。この記事では、乗馬をしているときに無意識に使っている感覚についてご紹介します。意識して感覚をトレーニングしてみたら、乗馬にも活きてくるかもしれません。

人間の感覚は五感じゃないの?

乗馬に必要な感覚

人間には視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の五感があると言われていますが、ほかにも感覚があるのをご存じでしょうか。実は「固有受容覚」と「前庭覚」を加えた七感があると言われています。

この「固有受容覚」と「前庭覚」。聞きなれない方も多いですよね。実はこの2つの感覚、乗馬愛好家には非常に重要なものなんです。「固有受容覚」と「前庭覚」がどういったものなのか、乗馬をする際にどのようにかかわってくるのか、みていきましょう。

固有受容覚と前庭覚

乗馬に必要な感覚

「固有受容覚」は、筋肉や関節を通して、自分の手足の位置や力の入れ具合を把握する感覚です。主に姿勢を維持したり、力の加減をコントロールしたりする役割があります。この感覚が欠如してしまうと、細かい動作や力加減ができなくなり、情緒にもよくない影響を及ぼすのだとか。乗馬でも合図の強弱、手綱の張り方や正しい騎乗姿勢の維持などに大きな役割を果たします。

「前庭覚」は身体の傾きやスピードを感じる感覚のことを言います。前庭は両耳の内耳にあり、平衡感覚を保つ役割があります。この部分に機能不全が生じると、めまいが生じると言われています。この感覚が鈍感な場合は姿勢をまっすぐに保てなくなりますが、過敏すぎると乗り物酔いが生じます。

個人差があるものの、一般に姿勢の制御には視覚が7割、前庭覚が2割、固有受容覚が1割のバランスで働いていると言われています。この無自覚に使っている3つの感覚を作業療法では「基礎感覚」と呼びます。この感覚がバランスよく発揮されないと社会生活に問題をきたすことがあるとも言われています。

そのため、作業療法士はいずれかが極端に鈍感だったり、敏感だったりする子供に対して、個性にあった遊びを提案します。その遊びを通して、鈍感な感覚を伸ばし、敏感な感覚を和らげて、各感覚をバランスよく養い、発揮することを目指すそうです。

これを乗馬愛好家にも応用できるのではないでしょうか。もともと個人差が大きいところに加えて、加齢によって視覚に頼ることが増えるため、感覚が鈍ってくることもあります。しかし、幸いなことにこういった感覚はトレーニングをして取り戻すことができます。普段の騎乗内容から、自分の感覚が鈍っている部分を把握し、普段のトレーニングを取り入れてみませんか。

それぞれの感覚の鍛え方

固有受容覚の鍛え方

乗馬に必要な感覚

「固有受容覚」が鈍ってくると、ぶつかりやすくなったり、転びやすくなったりします。また、動きを模倣するのも苦手になります。特に固有受容覚は衰えやすいと言われている感覚です。年を重ねると、インストラクターからのアドバイスを体現するのが難しくなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

目をつむった状態で、誰かにどちらか一方の肘を任意の角度まで曲げてもらいます。目をつむったまま、逆側の肘を同じくらいだと思ったところまで曲げてみましょう。実際に見ていないのに簡単にできますよね。これが固有受容覚の働きよるものです。

この感覚が鈍った人には全身運動が効果と言われています。乗馬自体が全身運動なので、ある程度は固有受容覚を鍛えることができていますが、自宅でできる縄跳びやバランスボールも効果的です。

前庭覚の鍛え方

株式会社ビジョナップ

「前庭覚」が衰えてくると、姿勢が保てなくなり、転倒をすることが増えていきます。こちらも衰えやすい感覚であり、日ごろのトレーニングが加齢によるめまいや転倒などにも効果的だとされています。

まず、前庭覚の衰えをチェックしてみましょう。目をつむって、その場で50歩足踏みをします。もとの位置から体が30度以上ずれていた場合は、この感覚の衰えがあるとされています。

前庭覚のトレーニングには手軽にできるビジョントレーニングがおすすめ。一か所に焦点を当てたまま頭を動かしたり、頭を動かさず目だけを動かして、一か所に焦点を当てるといったトレーニングです。体にも負荷がかからず、短時間でできます。YouTubeにもたくさん動画があがっていますので、是非、チャレンジしてみてください。ビジョントレーニング以外ではヨガやピラティスにもこの感覚を鍛える効果があると言われています。

まとめ

今回は乗馬に必要な感覚、特に「固有受容覚」と「前庭覚」について深掘りしました。加齢や視力の低下などによって、感覚が低下することがあります。感覚の衰えを感じた方は是非、トレーニングに挑戦してみてください。日常生活のなかで簡単に取り組めて、長く続けられるものをおすすめします。きっと乗馬にも活きてくるはずです。

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