乗馬のセンスとは
乗馬を続けているけれど「うまくなっている実感がない。自分はセンスがない」と考えていらっしゃる方もたくさんいらっしゃるかもしれません。でも、そもそも「乗馬のセンス」って何でしょうか。乗馬に「センス」は本当に必要なのでしょうか。みなさんが一度は考える「乗馬のセンス」について、探っていきます。
センスがあるってどういうこと?
そもそも「センス」とは何なのでしょうか。感覚的なイメージで、具体的にどんなものを「センス」と呼ぶのか、よく分からない方もいらっしゃるのでは?大辞泉で調べてみたところ、「物事の感じや味わいを微妙な点まで悟る働き。感覚。また、それが具体的に表現されたもの」ということでした。辞書で調べてみても、「センス」は個人的な感覚という印象は、ぬぐえません。ここでは、あえて「センス」と呼ばれる感覚を乗馬に当てはめるとどういうことになるのか、みていきましょう。しかし、その前にそもそも乗馬に「センス」って必要なのでしょうか。考えてみましょう
乗馬にセンスは必要?
乗馬にはセンスの良し悪しが出ると聞いたことのある方もいることでしょう。しかし、乗馬インストラクターには、センスはそこまで重要ではないと考えている方も多いようです。例えば、国際大会やオリンピックに出るような競技選手になりたいのなら、いくらかセンスも必要かもしれません。ただし、乗馬を趣味として楽しむのであれば、そこまで大きくセンスが問われることはないという考え方の方がほとんどのようです。
ただし、馬のことが好きとか馬を大切にできるといった基本的な素養のようなものは非常に大切だと考えるインストラクターがほとんど。乗馬は馬とのコミュニケーションによって成り立つスポーツなので、馬との関係性を大事に考えることは必要です。そこで、「乗馬のセンス」があるとするならば、馬との関係性を構築していくのが早い人が「乗馬のセンスのある人」と言えるのかもしれません。
では、馬との関係性を大切に考えられる「乗馬のセンス」のある人の特徴を深掘りします。
センスがいい人の特徴
愛情を持って馬のことを考えられる人は乗馬のセンスがいいと言えるのかもしれません。馬に愛情を持って騎乗したり、観察したりしていると、少しずついろんなことに気づけるようになってくるでしょう。この馬がこういう反応をしたときは、こんな風に考えているのかもしれないと馬のことを考えて、対応をしていけば乗り手の気持ちが伝わり、信頼してもらえるはず。乗り手が一方的に「言うことを聞いて!」という扶助を送っていたら、馬も嫌になってしまいます。
また、馬の小さな反応にも気づけると乗馬の上達も早いでしょう。ちょっとしたハミの重さの違いなどを把握できるようになれば、どんな状態のときにはうまくいっているかを掴みやすくなります。その結果、よくないときの状態についても自分ですぐに気づくことができて、スムーズに対応できるようになります。
体のバランスがいい乗り手も上達スピードも速いので、乗馬のセンスがある乗り手だと言えるのかもしれません。実は、運動神経自体は、乗馬にあまり関係ないと言われています。運動神経に由来する「筋肉をどう使うのか」は、乗馬を続けてさえいれば、遅かれ早かれ誰でもできるようになっていくからです。しかも、乗馬で筋肉を正しく使うためには、まずバランスや姿勢のよい騎乗ができなくてはなりません。そのため、バランスは非常に重要な基礎的要素と言えます。そのバランスを支える体幹もあるとさらに◎。
乗馬を楽しむためには馬とコミュニケーションをとりながら、自分がリーダーとなって馬を導かなくてはなりません。自信のないリーダーについていく馬はいるでしょうか。自信を持って馬に対応できる人でなければ、馬が乗り手の指示に従わずに、自分勝手に動いてしまう可能性もあります。また、そこをうまく御する気持ちの強さも大切です。馬をリスペクトしながらも、ここぞというときには叱って導くことができる、といったリーダーになれるメンタルの持ち主は乗馬のセンスがあると言ってもいいのかもしれません。
素直で積極的な乗り手も上達のスピードが速く、乗馬のセンスがあると言えるかもしれません。インストラクターからのアドバイスを素直に聞き入れて、すぐに自分で試してみる積極性は重要なのだそうです。しかし、素直であっても、受け身の乗り手はなかなか上達していかないそうです。乗馬では、うまい人ほど引き出しがあると言われます。扶助一つとっても、初心者は弱ー中ー強の3段階くらいなのが、うまい人ではその何十倍もの扶助の引き出しがあるはず。乗馬も他のスポーツと同様に、うまい人やインストラクターがやっていることをいろいろと盗んで試してみて、失敗するのが上達の近道です。それを自分から試すことができるか、そうでないかは、上達の速度に大きな違いを生みます。
まとめ
いかがでしたか。よく「乗馬にはセンスは必要ない」と言われますが、今回はあえて「乗馬のセンス」を持っている人の特徴について踏み込んでみました。しかし、センスの有無など難しいことは考えずに、「馬が好き。乗馬は楽しい」というところから、馬との関係性を縮めていくのがいいのかもしれません。馬との関係性がよくなると、自分がすごくうまくなったような気がするほど。やはり馬に好かれるリーダーになるか、そうでないかで、上達の度合いはかなり変わってくるはずです。早く上手くなりたい人は早く馬と仲良くなるのがいいのかもしれません。