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馬にとっての無口と安全な外し方

乗馬のレッスン前に洗い場で馬装を行う際や、レッスン後に馬房へ戻す際、馬が頭を振って無口が外しにくかったという経験はありませんか?

無口は馬によっては、あまり好ましくないものというイメージがあるようです。無口に対して良くないイメージを持っている馬の無口を外すことは、時に危険を伴う場合があります。

今回は馬にとっての無口について、そして馬から無口を安全に外す方法についてまとめました。

無口とは

馬にとっての無口と安全な外し方

無口とは無口頭絡の略称で、ハミのついていない頭絡のことを指します。
無口は主に、馬を馬房から洗い場へ連れていったり、馬を馬房へ戻す際に用いられます。
他にも、調馬索で運動させる時に無口を用います。

無口に繋がれた馬は、人の指示に従順でなければいけません。 繋がれたら大人しくする、それを馬に理解させるための道具が無口なのです。

無口の主なパーツとしては、項革(うなじがわ)、鼻革、頬革、喉革があります。
頭絡との違いはハミがついてない以外にも、手綱がついていないため馬を移動する際には、曳き手をつけて移動します。

馬は無口が嫌い⁈

馬にとっての無口と安全な外し方

人が馬を移動する際などに用いる無口ですが、実は無口が嫌いな馬は結構多いそうです。

馬房に無口を持った人が入ってくると、「これからレッスンが始まる」と理解している馬の中には、無口を見ただけで人にお尻を向けたり、頭を高く上げたり、あるいは頭を上下左右に振ってみたりして、無口をつけるのを拒んだりする場合があります。

また、無口を見ると「痛い!」というイメージを持つ馬は実は結構多く、そのため無口が嫌いな馬も多いのです。

無口をつける時だけでなく、外す際に嫌がる馬もいます。
馬房に戻ると桶の中の飼い葉やおやつに夢中になって、外すのに一苦労な馬も多いです。
馬房に入る際に、馬に引っ張られて怪我をする場合もあるので大変危険です。

外し方の手順

馬にとっての無口と安全な外し方

それでは安全な無口の外し方の手順について説明しますが、その前に無口の付け方についても確認しておきましょう。

無口の付け方の手順は以下のとおりです。
①馬が顔を動かさないように、右手で馬の鼻を押さえます。
②無口を馬の顔に通します。耳は片方ずつ通していくと馬が嫌がらずに通すことができます。
③無口を通した後、必要があれば革の長さを調節します。
④馬を馬房から出す場合は、右手で2本または1本の弾き手(ロープ)をアゴの下で一緒に持ち、残りの曳き手は左手に束ねて持ちます。
この時、曳き手を地面に垂らしていると馬が踏みつけて転ぶことがあるので大変危険ですので気をつけましょう。

次に、馬装の際の無口の外し方について説明しましょう。

①まず、自分の右肩に頭絡を引っ掛けておき、馬の頭を右肩の上に載せるようにして右手で馬の顔(鼻梁)を抱えます。
②右手で無口の項革を少し上に持ち上げ、馬の耳を刺激しないように少しずつ前にずらしながら、無口を外していきます。
外した無口は、左手で洗い場の左側の支柱にかけておきます。

無口を外した際に、馬が首を上げたり横を向いてしまうと頭絡をつけることができないので、無口を外す前に手綱を首にかけておきます。そうすれば手綱を引いて合図を送った際に、馬の首の位置を元に戻すことができます。

上記の手順で行えば、馬には常に曳き手もしくは手綱がかかっている状態となり、放馬を防ぐこともできます。

気を付けるポイント

馬にとっての無口と安全な外し方

それでは、無口を外す際に気をつけるポイントについてまとめます。

無口を外すときは、必ず両手で外しましょう
片手で持ってしまうと、馬の力に圧倒されて怪我をする原因になります。
無口はまず、うなじ革を持って外します。鼻革だけを持って外してしまう方がいらっしゃいますが、その場合、無口が耳にかかった状態で引っ張ってしまう可能性があり、馬が痛い思いをしてしまう恐れがあるので、十分に気をつけて下さい。
馬にとって耳はとてもデリケートな部分です。一度痛い思いをしてしまうと、無口を見ただけで嫌がってしまうようになります。
耳から無口が外れているか、しっかり確認してから外しましょう。

外している途中で気を抜かず、完全に無口を外すまでは馬の様子に注意し、焦らず丁寧に外して下さい。

まとめ

馬にとっての無口と安全な外し方

いかがでしたでしょうか?
今回は、馬にとっての無口の安全な外し方についてまとめました。

洗い場で馬装を行う際には、頭絡をつけることに集中してしまうために、無口を外すことにはあまり注意を払っていないことが多いと思います。
馬にとっては、頭絡も無口も頭に装着されるという点では同じものです。痛い思いをさせないよう人が気をつけることで、馬には快適に過ごしてもらいたいものですね。

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