【乗れば乗るほどうまくなる?】鞍数と騎乗技術の関係
初めて行く乗馬クラブでビジターレッスンを受ける時や、旅先でホーストレッキングする時、乗馬経験者であれば「何鞍乗っていますか?」と聞かれたことがあるのではないでしょうか。
乗馬日記をつけていればすぐに鞍数を答えることができますが、記録していないと「えーと、乗り始めたのが○年前で、週に1回乗っているから…」と計算することになります。
あなたは今、何鞍乗っていますか?
今回は、鞍数(くらすう、くらかず)で分かることや騎乗技術との関係についてご説明します。
鞍数で分かること
「鞍数」とは「馬に乗った回数」のことで、10回馬に乗ったことがあれば鞍数は「10鞍」です。1回の騎乗時間や騎乗内容、騎乗の間隔については特に考慮しません。
突然ですが問題です。
ともに鞍数が10鞍のAさんとBさん、乗馬経験は下記のとおりです。
どちらの方が馬に乗ることに慣れていると思いますか?
Aさん:1か月前に乗馬を始め、毎週2鞍、1回40分のレッスンを受けています。最近は部班レッスンで常歩や軽速歩、馬に指示を出す練習をしているところです。
Bさん:10年前に旅行先で初めて外乗。以来、毎年1回、同じところで1時間の外乗をしています。馬がおとなしく、先導する馬についていくので、のんびり常歩での外乗を楽しんでいます。
一概には言えませんが、Aさんは軽速歩を始めており、自分で馬をコントロールする練習を始めています。部班レッスンの中でスタッフが指示する号令を聞いており、他の人が乗る姿を見ていますので、その方面での経験値はBさんより上がっているのではないでしょうか。
乗馬クラブでは、その方がどれくらい馬に乗ることに慣れているかを判断する目安として鞍数を聞きますが、それはあくまでも目安。
初心者なのか、中級者なのか、はたまた上級者なのかをざっくりと判断するために聞き、騎乗馬を決め、あとは実際に馬に乗っている様子を見ながらレッスン内容を調整します。
鞍数とレッスン内容の目安
前述したように、同じ鞍数でも騎乗時間や内容、頻度によって身に付く騎乗技術のレベルは変わります。
週に1回、40分のレッスンを受けている場合の鞍数とレッスン内容の一例です。
1~20鞍:最初は調馬策で馬の動きに慣れることから始め、慣れてきたら部班レッスンに入ります。常歩と軽速歩で、反巻きや巻乗りなどの図形運動ができるようになります。
~50鞍:軽速歩で馬のスピードに慣れてきたら、駈歩を始めます。最初は調馬策で駈歩のスピードに慣れるところから始める場合もあります。慣れてきたら部班レッスンで駈歩をします。
駈歩でも馬をコントロールできるようになってきたら、前傾姿勢や地上木通過、クロスバーへと進みます。
騎乗技術を向上させる秘訣
最初は鞍数と騎乗技術が比例
最初は鞍数と騎乗技術が比例し、乗れば乗るだけうまくなっていきます。
新しいことに挑戦し、それができるようになるのはとても嬉しいもの。
馬に乗るのが一番楽しい時期かもしれません。
特に初心者のうちは、なるべく間を開けずに乗ることが大切です。
「1日乗らないと3日分後退する」といいますが、なかなか毎日馬に乗ることができる方は少ないですよね。
体に感覚を覚えさせるため、可能な限りたくさん乗ることが上達の秘訣です。
正しい知識を学びながら乗る
乗れば乗るだけ体は感覚を覚えていきますが、同時に頭で正しく考えることも大切です。
そのためにも、レッスン中の指導者のアドバイスを良く聞きましょう。
自分に対するアドバイスだけではなく、他の人に対するアドバイスを聞くと、どのような状況か乗っている姿を客観的に見ることができますので、より分かりやすいかもしれません。
自分へのアドバイスに対しては返事をし、聞こえなかった場合は必ず確認しましょう。
また、レッスン中に理解できなかったことは、レッスン後に教えてもらうようにしましょうね。
自分の騎乗姿を確認して分析
最初は比例関係にあった鞍数と騎乗技術の向上も、基本的なことができるようになると単純に比例しなくなってきます。
そんな時、客観的に自分の騎乗姿を確認するのはとても大切。自分がイメージしていた騎乗姿と全く違うことにびっくりするかもしれません。
乗馬クラブによっては馬場の横に大きな鏡があり、騎乗中の姿を確認できるところもありますが、一番良いのは、お友達に頼んで動画を撮ってもらうこと。
最近はスマートフォンで手軽に動画を撮ることができるので、とても助かります。
普段、人がいない場所から撮ると馬がびっくりする場合もありますので、スタッフに動画を撮りたいことを相談し、指示に従って撮るようにしましょう。
学んだことや分析したことを試してみよう
指導者のアドバイスや動画で確認・分析したことは、次のレッスンで試してみましょう。
動画では自分の騎乗姿勢だけでなく、馬への扶助の出し方とそれに対する馬の反応も必ず確認します。
すぐにうまくいかないこともあるかもしれませんが、その場合はなぜうまくいかないか考え、諦めずにトライしましょう。
まとめ
馬に乗っていると必ず壁にぶつかる時がきます。
階段のステップを上がったのに、ずっと同じステップに留まっているように感じる時もあるかもしれません。
そんな時は、指導者やスタッフ、クラブでのお友達など周りの方に相談してみてください。きっと何かヒントが見つかるはずです。
また、騎乗者の年齢や体の状況、高さやスピードに対する感覚は千差万別。
あせらず、自分に合ったペースで楽しく馬に乗ることが一番の上達の秘訣かもしれません。