乗馬ライセンス4級には何鞍くらい必要でしょうか?
乗馬の技術を客観的に証明できる乗馬ライセンス。その中でも4級を取得すると駈歩ができるほどの技術を身につけることができます。そのため、ホーストレッキング・外乗ができるところでは無資格者が行けないコースに行くことができ、駈歩に挑戦できることもあります。
そんな乗馬ライセンス4級を取得するために必要スキル、ポイント、目安になる騎乗の鞍数を説明します。
4級には駈歩がある程度マスターできていること
4級の実技試験の項目に「駈歩の発進・維持ができる」というものがあります。つまり4級を取得するためには、ある程度駈歩のスキルが必要です。ここから、駈歩の発進と維持の仕方についてポイントを説明します。
発進の仕方
駈歩の練習を始めると「駈歩をしたいのにしてくれない」「駈歩ではなく速歩になってしまう」など、思うようにいかないことがあります。ここからは正しい駈歩が出せるようになるために必要なことを紹介します。
騎乗者の姿勢を整える
上手くいかないときに焦ってしまうことはよくあることです。しかし、必要なことは落ちついて対応することです。
「駈歩を出すぞ!」と気合いを入れすぎると、気持ちと一緒に姿勢も前かがみになってしまうことがあります。まずは「駈歩を出すぞ!」と思ったら、落ち着いて背筋をまっすぐに伸ばし、自分の姿勢を確認してみましょう。
そして手綱はある程度張りがある状態に保っておきます。それによって、合図を送ったあとに速歩ではなく駈歩がでやすくなります。
馬の姿勢を整える
駈歩を始める前に人間だけでなく、馬も姿勢を整える必要があります。例えばダラダラした常歩と元気よく歩いている常歩では、元気よく歩いている常歩の方が駈歩のスムーズが発進が期待できます。
そして馬が常歩から駈歩にスムーズの移行できるように、内方姿勢を取ることも大切です。
合図を出す
外方脚を後ろに引いて、発進の合図を送ります。つまり左手前のときには外側の右脚を後ろに引きます。そうすることにより、馬にとって駈歩の起点である右後肢に合図を送ることができます。
維持の仕方
発進が上手くいっても失速して止まってしまうということはありませんか。発進が出来たことで安心せず、駈歩の状態を維持する必要があります。馬が止まってしまう主な原因と解決策を紹介しますので、確認してみてください。
手綱を引っ張っている
馬が止まってしまう原因の一つに手綱を引っ張っていることがあります。常歩のころから手綱を引っ張ると馬が止まることはわかっているため、意図的に引っ張っていることは少ないと思います。つまり、知らず知らずのうちに引っ張っていることがあるということです。
具体的に説明すると、前に走り出した馬に人間がついていけないと人間の体が後ろに置いていかれ、結果的に手綱を引っ張ってしまっていることがあります。
しかし、人間が馬についていこうと前かがみになってしまうと別に問題が起きてしまいます。馬についていくためには、人間の内腿を鞍にぴったりくっつけ、馬と人が一体となることがポイントです。
姿勢が前傾になっている
ここでは、馬のスピードについていくために前かがみになってしまうことで起きる、問題について説明します。その問題とは馬についていけないときと同様、駈歩の維持できないということです。
その理由は、体はついていっても、前傾姿勢になることで重心が馬の前肢側になります。そうすると馬は前肢を持ち上げるのがつらくなり、駈歩を止めようとしてしまうのです。馬にとって楽に駈歩を継続するためには、人間は上半身を起こし、正しい姿勢を保つことが大切です。
馬への推進が足りていない
馬が止まってしまう理由に馬の気分があります。馬も生き物ですからもちろん「今日は乗り気じゃないんだよね」なんていう日もあります。そんな気分のときに発進はしてみたけれど、走りたくない気持ちに負けて止まろうとしてしまいます。
そこで大切なのが、馬に坐骨やウェイトで推進を与え、継続のメッセージを送ることが大切です。
駈歩から速歩になってからでは手遅れです。駈歩の状態から推進を送ることがポイントです。
軽速歩の手前を理解しているか?
4級の実技試験の項目に「軽速歩の手前が理解できる」というものがあります。5級では誘導馬について小区画で軽速歩が出来ることが求めらていましたが、4級では手前を理解することが求められます。ここでは、なぜ手前を合わせる必要があるのか、手前を合わせるコツを説明します。
手前を合わせる理由は?
手前を合わせる目的は、馬の負担を軽減させることです。例えば、人間が右足を上げて片足で立っている状態で、左右どちらかの肩をポンと叩かれるとすると、どちらの方がバランスを崩しやすいでしょうか。右側の肩の方をポンと叩かれた方がバランスは崩れます。
馬も4本の肢で動いているときに、どのタイミングでどこに力が加わるとバランスが崩れる、または負担が軽減するというものがあります。そのタイミングを合わせて馬の負担を軽減させるために手前を合わせます。そうすることにより、馬は自然で走りやすい状態で走ることができるようになります。
手間をを合わせるコツ
手前を合わせることを複雑に感じてしまうかも知れませんが、軽速歩のときでも駈歩のときでもポイントは馬の肩にあります。
具体的に説明すると、軽速歩の場合、騎乗者が馬の肩を注意して見ると左右交互に出ていることに気が付きます。体重をかけるタイミングは、馬の軸足が着地したときです。ここで注意しないといけないのが、体重をかけるのはお尻が鞍につくときではなく、立つときだということです。お尻が鞍につくときにはドスンとつくのではなく、軽くつくようにします。
そうすると、馬の内側の肩が下がったときに立ち、前に出たときに座るということが理解できるかと思います。
ポイント押さえて集中レッスンで短期も可能
4級の受験内容をみると、取得までのハードルが高く感じるかも知れません。しかし乗馬クラブや施設によっては4級取得を目指すために、ポイントを押さえた短期集中レッスンのプログラムを設けているところもあります。
プログラムの内容はそれぞれですが、約10日間が目安になります。その中でしっかり練習を重ね、さらに筆記試験のための講習を受けることになります。
また10日間と言わずに、2泊3日ほどの合宿プランを設けているところもあります。このようなプランでは、ちょっとした連休に4級を取得することも可能です。それぞれのライフスタイルや好みに合わせて集中レッスンを検討してみるのもおすすめです。
一般に50鞍~100鞍。クラブによって差があります
短期で取得を目指す人がいる一方で、慣れている乗馬クラブでゆっくり確実に4級を目指す人もいます。しかしその場合、受験するためのスキルが身に着くまでの期間は、人によって、または乗馬クラブによってバラつきがあります。そのため、「あと何鞍で受験できるか」と不安を感じる人もいます。10代後半から50代くらいの健康な方の場合、4級取得までの鞍数とは50鞍とも70鞍とも100鞍とも言われています。
鞍数を重ねても、なかなかスキルが身につかないようであるならば、一度自分に何が足りないのか、それを補うために必要なことをスタッフの方と確認してみることをおすすめします。
まとめ
乗馬ライセンス4級を取得すると、手前が理解できていること・駈歩の発進や維持ができることを客観的に証明することができます。そのような4級を取得するために必要な鞍数の目安は、50~100鞍ともいわれています。その幅の広さの理由は、個人の上達度合いの違いや乗馬クラブによって変わってきます。
また、ゆっくり確実に4級取得を目指す以外にも短期集中レッスンで取得を目指すことも可能です。自分のライフスタイルや好みに合わせて4級取得の方法を検討してみましょう。