乗馬インストラクターが心がけていること
乗馬インストラクターの仕事内容について、どれくらい知っていますか。インストラクターの仕事には馬の世話から調教、会員さんの接客など多岐にわたります。今回の記事では、普段、何気なくお世話になっているインストラクターの仕事を掘り下げていきます。
インストラクターの仕事内容
インストラクターの仕事はお客さんである乗り手を迎える何時間も前からスタートします。筆者の通う乗馬クラブのインストラクターにスケジュールを聞いてみました。
出勤後、餌を付けて放牧に出したタイミングで馬房掃除を済ます
開場までに間に合うように集牧して、手入れをする
会員さんのレッスン
それぞれレッスンの入っていない開いている時間に騎乗して、調整をしたりする
夕方に飼い葉をつける
翌日に来場する会員さんの配馬を決める・会員さんのレッスンの様子の記録をつける
※夜にも厩務員さんが夜飼いをつけています
一番大変な作業を聞いてみたところ、馬の手入れだとのことでした。
手入れの際に怪我をしていないか、いつもと変わった様子がないかもチェックしなくてはなりません。
また、これ以外にも、夏は場内の草刈り、冬は除雪などの維持作業や、道具の手入れ、事務作業などもあります。
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馬に対して心がけていること
インストラクターにとって、馬は相棒。毎日、世話をしたり、調整や調教を行う中で、馬の状態を見極めていきます。動物は体調が悪くても、ぎりぎりまで我慢してしまう傾向にあるため、毎日接しているインストラクターが細かく観察をして、体調が良くなさそうであれば、まず人が気づいてあげなくてはなりません。
また、日々、馬たちと接する中で信頼関係を構築することも大切です。インストラクターと馬の信頼度はレッスンの安全性にも少なからず影響してきます。初心者のころに、馬が乗り手の指示を理解できず、止まってしまうことがありませんでしたか。
そんなときでも、自分より上だと認めているインストラクターに「速歩」と声で号令をかけられただけで、馬が言うことを聞いて動きだすことはよくあったのではないでしょうか。インストラクターと馬の上下関係をしっかりさせておかないと、レッスン中に馬が勝手をしだすかもしれません。本来は乗り手がリーダーとして馬を動かす必要があるわけですが、そうできない場合でもインストラクターとの関係性に乗り手は助けられて、楽しく騎乗ができているのです。
また、乗り手が安全に騎乗できるように馬を調整・調教するのもインストラクターの仕事です。よくインストラクターが「下乗り」と言って、会員さんが騎乗する前に馬に乗っていますよね。クラブにはいろんなレベルの騎乗者がお客さんとしてやってくるので、どんな技量の方が騎乗しても安心してもらえるように馬を調整していくのだそうです。
乗り手側にあわせてくれているなんて、インストラクターと馬たちに感謝ですね!
クラブの会員さんに対して心がけていること
クラブの会員さんにもいろんな目標を持った方がいらっしゃいます。競技会にたくさん出場したい方からリフレッシュをしにくるお客さんまで、乗馬の目的は人それぞれです。
インストラクターは、会員さんとのやり取りやレッスン中の様子から、その方がどのような目的で乗馬をしていて、どういったことを達成したいのか、読み取らなくてはなりません。さらに、その読み取ったものから、レッスンの内容を考えて、会員さんとも信頼関係を構築する必要があるそうです。
なぜなら、どんなに気を付けて馬を調整しても、馬が悪さをしているわけではなくても、突発的なことが起きてしまう可能性があるからです。突発的なことが起きるということは、落馬事故が起きる可能性もゼロにはならないのです。
ベテランの乗り手が落馬を回避できるようなことでも、初心者の乗り手が落馬してしまうことはよく起こります。会員さんとインストラクターとの間に信頼関係ができていないと、会員さんが不運な落馬事故のために、乗馬をやめてしまうこともあるそうです。
会員さんとの信頼関係がきちんと構築されていれば、落馬をしてしまった初心者の会員さんに対してもフォローができるとのこと。乗り手がそのアドバイスを実行していくことにより、技術を上げることができるうえ、騎乗時の安全性も高まり、お互いにウィンウィンの状況になっていきます。そうすれば、会員さんも安心して、もっと乗馬を楽しめるようになっていく、とのことでした。
インストラクターは、会員さんが楽しく乗馬をして、次もまた来たいと毎回思っていただけるように、日々の業務に努めているのです。
まとめ
今回は乗馬インストラクターの仕事に迫ってみました。馬を世話する、乗り手の技術向上にアドバイスをする、という表面的な業務に目が向きがちですが、その真髄は乗り手や馬との信頼関係にありました。そう考えてみると動物相手という以外は、ほかの仕事とも大差はないのかもしれませんね。