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【乗馬の魅力は爽快感だけじゃない!】癒しのホースセラピー

多くの方が乗馬=スポーツというイメージを持っているかもしれませんが、実は馬に乗ることが人間の心身の治療になることも!?今回は「ホースセラピー」とはどのようなものなのか、期待できる効果などについても紹介します。

ホースセラピーとは?

【乗馬の魅力は爽快感だけじゃない!】癒しのホースセラピー

日本ではまだまだ受けられる場所が少ないホースセラピー。名前だけ耳にしたことがある、という方もいるかもしれませんが、一体どのようなセラピーなのでしょうか?

馬を使った動物介在療法

動物に触れたり、動物の世話をするなどの活動を通して精神・身体機能の向上を図る「動物介在療法(アニマルセラピー)」。日本では犬などを伴ったセラピーが多いですが、もセラピーの現場で活躍しています。

馬を介したセラピーの特徴は、なんといっても「乗る」ことができるということ。これは、小動物を介したセラピーではできないアプローチですね。馬に騎乗することによる効果については、記事後半で詳しく触れていきます。

ホースセラピストの資格

「ホースセラピーを受けたい」という方も、「馬や乗馬が好きだからセラピストになりたい」という方も、ホースセラピーを施療できるのはどのような人なのか気になるのではないでしょうか?

ホースセラピストは国家資格などではないため、複数の団体がそれぞれの基準で試験を行いセラピストを認定している状態です。

細かい基準や内容は団体により異なりますが、試験を受けるためには乗馬経験はもちろん、馬の健康管理厩務・調教、そして人間の心身に関する知識などが必要になることが多いでしょう。

「ホースセラピーは気になるけどセラピストの資格を取るのはハードルが高い…」という方は、ボランティアとしてホースセラピーの補助に関わってみるのも良いかもしれませんね。

ホースセラピーの馬はどんな馬?

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「馬は繊細で驚きやすい」「力が強い」といったイメージから、ホースセラピーの安全性が気になる方は多いのではないでしょうか?そこで、実際にセラピーホースとなる馬はどのような馬なのか、適正について見てみましょう。

穏やか&落ち着きのある馬

ホースセラピーでは身体の動きに制限のある方や、馬の気持ちを読み取って合わせることが難しい方も馬に乗る場合があります。そのため、セラピーホースには気性の穏やかな馬たちが選ばれます。

品種には特に決まりはありませんが、小柄な馬(ポニーなど)はセラピストが騎乗者を地上から補助しやすく、また初めて乗る人でも恐怖心を感じにくいため重宝されることが多いようです。

日本在来馬も活躍中

日本には「日本在来馬」または「和種馬」と呼ばれる日本固有の馬たちがいます。昔は農業や運輸など様々な面で人間にとってなくてはならないパートナーでしたが、現在では天然記念物に指定されるほど数が減ってしまった品種も。

この日本在来馬はポニーと同じく小柄で、また忍耐強く穏やかな性格であることが多いため、一部の地域ではセラピーホースとして活躍しています。

心と体への効果

【乗馬の魅力は爽快感だけじゃない!】癒しのホースセラピー

ここまでは、ホースセラピーの概要やセラピーホースについてお話してきました。では、実際にホースセラピーを受けると心身にはどのような変化が現れるのでしょうか?

筋力&柔軟性アップ

乗馬の上達には、筋力や柔軟性が必要になります。これはもちろん、競技会への出場を目指している方だけでなくセラピーを受けている方にとっても同じ。

姿勢の保持や馬への扶助などを意識することで、日常では使わない筋肉が動きホースセラピーを楽しむうちに少しずつ筋力が付いてくるはずです。

また、逆に過度に緊張してこわばっている筋肉や関節が馬の背に揺られることでほぐれ、可動域(関節を動かせる範囲)が広がる効果なども期待できます。

姿勢の保持をしやすくなる

馬の上で姿勢を保とうとすると、脚や背中・首の筋肉だけでなく平衡感覚も徐々に付いてきます。このため、身体的な障害や感覚の障害により姿勢の保持が難しい方でも、自分で姿勢を保つ力が付いてくる可能性があります。

また、平衡感覚が鍛えられることで副次的に「ひどかった乗り物酔いなどが軽減された」「転ぶことが減った」などの効果が得られるケースもあります。

内臓機能にも効果アリ?

馬に乗ったり、馬の世話をしながら身体を動かすことは、運動能力だけでなく内臓機能にも良い影響をもたらすことが分かってきました。

ホースセラピーでも、身体を動かすことで心肺機能の向上が期待できるほか、運動による揺れで直接内臓が刺激されたり、馬とふれあい精神的にリラックスすることで副交感神経が優位になり消化機能が向上する可能性があります。

満足感・達成感を得られる

ホースセラピーの効果は、身体的なことだけにとどまりません。精神的にもいくつかのメリットがありますが、その一つとして「自信が付く」「達成感が得られる」というものがあります。

これは馬が大きな動物であり、人間が騎乗することができるからこそ得られる効果。「大きな馬に指示を伝えて思ったように動いてもらえた!」という経験が、自信や満足感につながります。

コミュニケーションが活発になる

馬に乗るには「こう動いてほしい」と考えて、それに応じた指示を出すことが必要です。これは、自分の伝えたいことを意識してそれを形(言葉)にするという、人とのコミュニケーションにも通じる部分があります。

また、ホースセラピーでは参加者やセラピストとのかかわりのなかで自分について伝えたり、感じたことを話したりといった機会も多くなります。

こうした活動を繰り返すことで、自分から伝える能力や、感じたことを言語化する能力が付き、日常生活でもコミュニケーションが活発化すると考えられます。

感覚統合の助けにも

私たちは、常に視覚や聴覚・触覚など複数の刺激に同時に晒されています。それでも、いま必要な情報に集中できるのは、そのたくさんの情報を無意識に整理することができるからです。

この機能を「感覚統合」と言いますが、実はだれもがうまくできるわけではありません。感覚統合が苦手なために、気が散りやすい・特定の刺激に過敏になるといった状態に悩んでいる方もいます。

この感覚統合を促すには、複数の刺激がある中で自分が気になるものを自由に選んだり、その中での成功体験を重ねることが効果的。これを実践するためには様々な方法がありますが、ホースセラピーも感覚統合を助ける効果が期待できる療法の一つです。

個性を伸ばす「馬先生」

【乗馬の魅力は爽快感だけじゃない!】癒しのホースセラピー

ホースセラピーの現場では、身体的な障害を抱えて補助なしでは馬に乗ることも難しい方や、精神的な障害やストレスから生活のしづらさを感じている方などもいます。

しかし、一人一人が自分のできる形で馬の世話に責任感を持ったり、乗馬を楽しめるようにホースセラピストがサポートをしています。

そのなかで、セラピストが施術によって何かを「与える」のでなく、馬とのかかわりの中で一人ひとりが自分の得意なことや打ち込める作業を「発見していく」のもホースセラピーならではの効果と言えますね。

まとめ

乗馬は単に運動になるだけでなく、心身の不調を回復させたり、発達が不十分な機能を活性化させたりといった効果が期待できます。非常に奥が深いので、もしホースセラピーに触れる機会があったら、皆さんもぜひ体験してみてくださいね。

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