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【苦手な人必見!】裏掘りのコツ

馬は脚の力がかなり強く、驚いたり不快に感じると蹴ることで身を守ろうとします。そのため、足のまわりに近づくのが怖く「裏掘りは苦手…」という方は多いのではないでしょうか。今回の記事では、安全に裏掘りを行うコツについて解説していきます!

立つ位置

裏掘り

裏掘りは、一度始めると大きく動くことが難しい作業です。そのため、最初の立ち位置はとても大切。ですが、どのあたりに立てば安全に作業ができるのでしょうか?

作業スペースの確保

裏掘りをしているあいだは馬の脚を支える必要があるため、ある程度馬に近づかなければなりません。しかし、もし馬が急に動いたときには無理に裏掘りを続けるのでなく、一旦サッと離れたほうが良いこともあります。

このような場合に、洗い場の壁と馬に挟まれるように作業をしていたら、それ以上離れることはできませんね。そのため、裏掘りを始めるときには作業する側に立ったら、まず自分と反対側の壁のほうに馬を押して作業スペースを広めに確保しましょう。

足の位置にも注意

裏掘りの際のケガとして、馬に蹴られるよりも起こりがちなのが「馬に足を踏まれた」というパターンです。もちろん馬に悪意があるわけではなく「上げていた足をパッと下ろした場所に人間の足があった」という感じでしょう。

馬が足を上げているあいだは、近づいたほうが支えやすいのでどうしても馬に近づきがち。また、人間が足を放したタイミングではなく「ちょっと立ちにくいな」と馬が急に足を下ろすこともあります。そのため、裏掘り中は馬が足を着いていた位置よりも内側に立たないように気を付けましょう。

脚を上げやすい状態を作る

【苦手な人必見!】裏掘りのコツ

「近づく前から後ろ脚を動かしていて怖い…」もしくは「思ったように馬が足を上げてくれない!」と悩んでいる方は、裏掘りの体勢になる前にまず足を上げてもらう準備を意識してみましょう。準備には、馬の気持ちに関わること・身体のバランスに関わることの2つがあります。

馬にリラックスしてもらう

馬の後脚はたしかに強力で、蹴られれば命に関わる事故になることがあります。しかし、お世話している人を理由もなく急に蹴ることはまずありません。馬が蹴るのは基本的に、驚いたり怖い思いをしたときです。

まず、お世話を始めるときはゆっくりと近付いて手の甲を鼻先に静かに近づけ、馬が人間を確認する時間を取りましょう。このときに、少しにおいをかいで落ち着いているようなら緊張していない証拠。そのあとは「こっち側にいるよ」というように首や肩に触れてからお手入れを始めてください。ブラシや鉄爪(てっぴ)など、お手入れに使う道具も確認すると、より安心できる馬もいます。

馬の重心を移動する

馬の気持ちの準備ができたら、次は身体のバランスです。みなさんも、左右均等に体重をかけている状態で「そのまま足を上げて」と言われたら難しいですよね。4本脚とはいえ馬も同じ。上げたい足とは反対側に重心がかかるようにしておきましょう。

お手入れの手順を心得ていて自分でサッと重心を変えてくれる馬もいますが、そうではないときは上げたいほうの足側から馬の肩を少し押してみてください。少し馬の体勢が変わってからもう一度上げたいほうの足に触れれば、きっと足を上げてくれるはずです。

蹄冠部を支えるように持つ

【苦手な人必見!】裏掘りのコツ

馬が足を上げているとき、どのように足を持ったらいいのか迷っている方もいるかもしれません。そんなときは、蹄の付け根(蹄冠部)を下から支えるようなイメージで持ってみましょう。

もう少し上にある球節の周辺を持つと、馬は力が入りやすいので足を動かすことがあり、また関節の角度が変わりやすいので裏掘りもしにくいはず。一方、蹄の付け根をすこし丸めるように支えることで、蹄底が上を向きます。

この角度ならば、蹄底の様子が見やすいのはもちろん、覗き込むようにしなくて済むので安全性も高いといえるでしょう。もし、知らず知らずのうちに蹄と顔が近くなってしまうと、馬が足を動かしたときに蹴られる可能性があり危険です。

手早く行う

【苦手な人必見!】裏掘りのコツ

ここまで複数の注意点やコツを紹介してきましたが、4つめのコツは手早く作業を行うこと。蹄の裏をシッカリときれいにすることは大切ですが、スピードも意識してみましょう!

手早さが安全につながる

ここまで紹介したとおり、安全に裏掘りを行うためには気を付けることがいろいろあります。しかし、注意深く作業することに気を取られたり、しっかりきれいにしようと思いすぎて時間がかかると馬のストレスになる場合があります。

ストレスが溜まってくれば、馬が急に足を動かすリスクは高まり、また裏掘りされること自体が嫌いになってしまうかもしれません。そうならないために、次に紹介する汚れがたまりやすい場所を的確におさえてスムーズに裏掘りを終えましょう!

汚れがたまりやす場所とは?

汚れが溜まりやすい場所と言えば、溝が深い場所です。馬の蹄底をよく観察してみると、溝の深い場所は2種類あることがわかります。

1つ目は蹄の裏にある三角の部分・蹄叉(ていさ)のフチです。この部分は蹄叉側溝といいます。上の画像の馬は蹄鉄を付けていないので、汚れがたまりやすいのは蹄叉側溝のみですね。日本ではほとんどの馬が蹄鉄を受けているので、蹄鉄で囲まれた蹄のフチも汚れがたまりやすい場所です。いずれも、蹄叉の付け根のほうから蹄の先に向かって掻いていきましょう。

ちなみに、蹄は爪のようなものですが蹄叉には感覚があります。そのため、触れる程度なら問題ありませんが、鉄爪の金属の部分でガリガリすると馬が痛みを感じたり蹄叉が傷つくことがあります。

蹄叉側溝に沿って掻けば周囲の土やオガの大きな塊がボロッと取れるので、それでも蹄叉に汚れが付いている場合だけブラシ部分で払う程度にしましょう。その後で、今度は蹄鉄の内側に沿って掻いていけば完了です。

多くの乗馬クラブでは馬の左側に立って左前脚から裏掘りをはじめます。その後、右側の蹄に移る場合には自分の立ち位置は変えず、左脚の後ろから腕を伸ばして右足の裏掘りを行う場合が多いのではないでしょうか。しかし、安全性を考えて右側に回り、右手で馬の右脚を支えながら左手で裏掘りをする厩舎もあるようです。

まとめ

裏掘りは、基本的に騎乗前と騎乗後に行うお手入れです。慣れるまでは「頻度が高くて、怖いし嫌だな…」と感じるかもしれませんが、頻繁に経験できるからこそポイントさえ押さえればすぐに慣れるはず!蹄は馬にとって非常に大事な場所なので、スムーズかつしっかりとお手入れしていきたいですね。

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