【正しく座る】骨盤を立てるってどういうこと？

正しい姿勢を作るために「骨盤を立てる」という言葉は日常生活でもよく耳にすると思います。
それは乗馬においても同じく、基本であり、そしてとても大切なこと。美しい騎乗姿勢は簡単なように見えてなかなか思うようにいかず、乗り手にとって永遠のテーマと言えるでしょう。

そこでまず騎乗するに当たり押さえておきたいポイントとして、「なぜ骨盤を立てるのか？」「骨盤を立てるにはどうしたらよいか？」をお話ししたいと思います。

正しい騎乗姿勢とは

横から見たときに頭、肩、お尻、かかとが一直線上にある状態が騎乗時の基本姿勢。
身体がまっすぐになったこの状態は重心が一点にかかっているので安定感があり、馬の急な動きにもスムーズに対応することが可能です。
この時の姿勢がまさに坐骨で座っている、いわゆる骨盤が立った状態。

落馬や怪我の危険をできる限り回避して安全に乗馬を楽しむために「骨盤を立てる」「坐骨で座る」ということは乗り手にとってマスターしておくべき重要なスキルなのです。

それでは逆に正しい姿勢で騎乗できていないと、安全面の不安の他にどのようなデメリットがあるのでしょうか。

馬の歩様の継続が難しくなる

騎乗姿勢が崩れて上半身のバランスが悪くなると馬は歩様の継続が困難になり、歩様を落としたり、止まってしまうことがあります。
例えば乗り手が前傾姿勢になっていた場合、重心が前のほうにかかるので馬は走りづらくなります。

正しい合図が出せなくなる

人間の動きを繊細に感じとる馬にとって、正しい姿勢から出される適度な力での合図は分かりやすく気持ちのいいもの。悪い姿勢で乗るとせっかくの合図が馬に伝わりづらいですし、乗り手は「なんで合図に応えてくれないんだろう？」とモヤモヤする原因にもなります。

上半身の安定を目指すべく、「骨盤を立て、坐骨で座る」という基本を身につけておきましょう。

ポイントは骨盤の位置

では実際に骨盤を立てるにはどうしたらいいのでしょうか。

骨盤の動きには上下、立つ寝かす、捻るの３つがあります。この動きに合わせて股関節が動くのですが、馬に乗るときに大事なのは「馬の背中の動きを妨げないように股関節を状況に応じて動かしていく」ことです。
そして股関節を円滑に動かすには鞍の座面”騎座”に対して垂直になるよう骨盤を立てて座ることが必要になってきます。その際のポイントがこちら。

・骨盤の高さは地面に対して水平にする
・左右均等に体重をのせて坐骨で座る

「骨盤を捻ったり傾けたりせずに、左右の坐骨に乗る体重が均一である。」
これが騎乗時の正しい骨盤の位置になりますので、常に意識しておくとよいでしょう。

骨盤が反っているときは前傾した姿勢から無理に上半身を起こそうとしているので、背筋と腰筋に力みが生まれて股関節を上手に動かせません。
前傾姿勢になる、つまり骨盤が反ってしまうのは特に乗馬を始めたばかりの方に多いそう。ほどよく力を抜いてリラックスして騎乗することも心掛けてみてください。

反対に骨盤が寝てしまうと鞍の後橋にお尻がぺったりとくっついて動ける空間がなくなり、股関節の柔軟な動きを妨げてしまいます。

座る位置が決まったら骨盤がきちんと立っているか確認するとよいですね。

坐骨座位と仙骨座位

そもそも坐骨とはどこ？

手のひらを上に向けてその上に座ってみてください。お尻を前後左右に動かすと左右に丸い骨があるのが分かると思います。座った時に座面に接する骨盤の底に位置しているのが坐骨です。

坐骨座位とは

左右の坐骨にバランスよく体重を乗せた座り姿勢。このように坐骨を意識して座ることで骨盤を正しい位置に導き、さらには身体全体の歪みを正します。
歪みが正されると周辺筋肉を上手に使うことができるので、結果として身体への負担が軽くなるのです。
もちろん股関節もしっかりと動かすことができる理想的な姿勢です。

仙骨座位とは

仙骨も坐骨と同じく骨盤を構成する骨のひとつで背骨の一番下にあり、その仙骨の後ろ側が後傾した座り方が仙骨座位になります。いすに浅く座って背もたれに寄り掛かった姿勢というと分かりやすいでしょうか。
仙骨座位は骨盤が後ろに倒れるので骨盤のゆがみを始め、猫背やストレートネックなどの原因になることも。また股関節の動きが悪化したり、痛みを引き起こしたりします。

まとめ

今回は骨盤を立てる大切さと骨盤を立てるポイントをお伝えしました。
馬に乗るにあたって股関節のしなやかな動きは普段の生活以上に欠かせませんから、骨盤を立てる意味を理解し、正しい騎乗姿勢を体得できれば、ステップアップへの道のひとつになると思います。
日常生活の改善にも役立ちますので、乗馬をいい機会としてぜひ骨盤を立てる習慣を自分のものにしてみましょう。