馬好きの聖地かも?馬にゆかりのある神社(京都・滋賀編)

上賀茂神社(京都)

馬好きの聖地かも?馬にゆかりのある神社(京都・滋賀編)

最初に紹介するのは、京都市北区にある上賀茂神社です。正式名称は加茂別雷(かも-わけいかづち)神社といい、京都の都を守る神として677年から現在まで深い崇敬を集めてきました。


この神社の御祭神である加茂別雷大神は、地上に降臨する際に「葵楓の蔓や走馬を餝り(かざり)祀れば姿を見せよう」というお告げをしたと言われています。神社の神紋が葵であり、境内にも葵が群生しているのはそのためです。


そして、このときに数頭の馬を競い走らせたのが、現在も5月に行われる加茂競馬(かものくらべうま)の起源とも言われています。加茂競馬は「京都三大祭り」としても有名な葵祭の前祭であり、天下泰平と五穀豊穣を願う宮中行事に習った形式で行われました。舞楽装束をつけて馬を走らせる姿は美しく迫力満点です。


また、1月に行われる白馬奏覧神事(はくば-そうらん-しんじ)では、参拝者も祭神に奉献された神馬(しんめ)を見ることができます。この神事も宮中行事“白馬節会(あおうまのせちえ)”に倣ったもので、中国の「年の初めに白馬を見ると邪気を払うことができる」という言い伝えからできた行事です。


この神事に登場する上賀茂神社の神馬は、名前を“神山(こうやま)号”といいます。この名前は神馬に就任した際に襲名するもので、現在の神山号も先代も元競走馬でした。


神山号は常に神社で飼育しているわけではなく、普段は大学の馬術部に預託しているそうです。上賀茂神社に神山号が出社するのは、毎月1日・日曜と祝祭日・神事のある日。9:30~15:00のあいだに神馬舎へ行けば、きっと出迎えてくれるはずですよ。


加茂競馬がデザインされた“勝守”や木馬がおみくじをくわえている“馬みくじ”も可愛いので、ご参拝の折はぜひ手に取ってみてくださいね。

貴船神社(京都)

馬好きの聖地かも?馬にゆかりのある神社(京都・滋賀編)

次に紹介するのは、京都市左京区にある貴船(きぶね)神社です。昔は「気の生ずる根源」という意味で“氣生根”と表記されることもあったということで、かなりパワーの強そうな神社ですね。


貴船神社には多くの神様が祀られていますが、主祭神は高龗神(かたおかみ-の-かみ)です。高龗神は天候をつかさどる神という性質があり、歴代朝廷の信仰も篤かったとされています。


この高龗神への祈願では「炎旱(ひでり)の時には黒馬を、霖雨(ながあめ)の時には白馬または赤馬を献じた」と伝えられており、今も境内には白馬と黒馬の神馬像が設置されています。


ちなみに、昔の貴族であれば本物の馬を奉献することはできたと思いますが、一般人にはなかなか難しいですよね。そこで、代わりに馬の絵をかいて神社に納めたのが絵馬の始まりだそうです。貴船神社では、現在も白馬と黒馬が描かれた絵馬が販売されているので、皆さんも競技会前の晴天祈願にいかがでしょうか?

藤森神社(京都)

馬好きの聖地かも?馬にゆかりのある神社(京都・滋賀編)

競馬好きの方はもうご存知かもしれませんが、ここで京都市伏見区にある藤森神社を紹介します。本殿にも素盞嗚命・神功皇后・武内宿禰などたくさんの御祭神が祀られていますが、今回注目したいのは東殿に祀られている光仁天皇の皇子・早良親王(さわらしんのう)です。


この早良親王は生前、藤森神社を篤く崇敬し、反乱を抑える征討将軍となった際にも藤森神社に戦勝を祈願したと伝わっています。これが5月5日であったことから、現在も5月に行われているのが駆馬神事(かけうま-しんじ)です。神事では、流鏑馬など一般的な古式馬術ではなくスリル満点の“曲乗り”が観客を沸かせます。


そして、この馬とのつながりに加えて本殿に戦神が祀られていることから、勝負と縁が深く競馬ファンの信仰を集めているというわけです。神馬舎には、フジヤマケンザン、マチカネフクキタル、トウカイテイオー、ナリタブライアンなど競馬馬を描いた扁額も奉納されているので、ぜひ見てくださいね!


また、その期待に応えてか“駈馬守”“勝馬守”だけでなく競走馬をデザインした絵馬も販売されているとのこと。GⅠの前に勝ちを願う人はもちろん、競走馬や騎手が1年無事に過ごせるようにと願うファンもたくさんいるそうです。


さらに、11月に行われる駪駪祭(しんしんさい)は“競馬祭り”と言っても過言ではありません。以前はJRA関係者や騎手も馬の安全を願って祭礼に参列したようで、藤森神社の宝物殿には武豊騎手などの写真が飾られています。現在は、祭礼の日の参拝者に抽選で騎手のサイン色紙がいただけるらしいですよ。


ちなみに、藤森神社の境内に「京都歩兵聯隊跡」という石碑があります。ここからも分かるように、このあたりは第二次世界大戦の頃まで軍用地となっていました。境内だけでなく、周辺の道路標識を見ると「第一軍道」や「師団街道」といった地名も残っています。


神社からほど近い藤森駅近くには「騎兵第20聯隊」の石碑もあるので、馬と関わりが深かった騎兵隊の方もきっと藤森神社に戦勝馬の健康を願ったのではないでしょうか。

賀茂神社(滋賀)

馬好きの聖地かも?馬にゆかりのある神社(京都・滋賀編)
Wikipedia「賀茂神社_(近江八幡市)」より引用

最後は、滋賀県近江八幡市にある加茂神社を紹介します。奈良時代に国内の荒廃を憂えて創建された神社で、最初に紹介した京都・上賀茂神社から神霊を招いたとされています。


京都の加茂神社と区別するため、滋賀の加茂神社を御猟野乃杜(みかりの-の-もり)加茂神社と呼ぶこともあります。御猟野乃杜という名前からも分かるように、もともと神社が立つ前から周辺には皇室の方が御猟(狩猟や競馬)を行う場所がありました。


当時、日本は朝鮮半島との戦いを経験した直後。天智天皇は「騎乗技術の向上と優れた馬の産出が必要」と考え、この場所に日本初の国営牧場を作ったそうです。こうした点からも馬とのかかわりが深い土地であり、加茂神社では馬に関する神事もたくさん見られます。


まず、1月には馬や騎乗者のための全国「馬・馬事・競馬・乗馬」安全祈願大祭が行われ、境内にはたくさんの馬が集まります。また、5月には加茂競馬に倣った足伏走馬(あしふせ-の-そうめ)という競馬神事が行われます。古式衣装に身を包んだ騎手が疾走する姿は、何度見ても目が離せません。


さらに、11月には馬上武芸の奉納が行われます。この奉納の中心となっているのは、加茂神社境内の“御猟野乃杜牧場”。こちらでは、日本の在来馬や古式馬術といった文化の継承を目指しています。関西方面で在来馬古式馬術に興味がある方は、ぜひ神社だけでなく牧場も予約&見学してみましょう。


加茂神社に限らず、滋賀は馬と縁の深い土地。今回は紹介しきれませんでしたが、馬に関する神社がたくさんあります。大津市にあり豊臣秀吉も参拝したという馬神神社(長等神社境内)や、栗東トレセンの近くにある大野神社など馬関係の授与品を置いている神社もまだまだあるのでぜひ調べてみてくださいね。

まとめ

今回紹介した神社は、観光地としても有名なスポットです。しかし、意外と「馬とのかかわりは知らなかった」という方も多いのではないでしょうか?京都・滋賀を旅行する際は、ぜひ参拝して乗馬の上達と愛馬の健康を祈願しましょう!

 

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