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乗馬経験者でも知らない馬の歯の秘密

乗馬を習っている人でも、「馬とのコミュニケーション方法を知りたい」「騎乗技術向上のポイントを知りたい」という人は多くいますが、「馬の歯に興味がある」という人はなかなかいないでしょう。馬のイラストを描くときに、二カッと笑う馬の前歯が特徴的な姿が描かれているのは見たことあるのではないでしょうか。馬の歯は大きく特徴的ですが、詳しく知っている人は少ないです。

今回は馬の歯に注目してみたいと思います。実は馬には他の動物には見られない特徴があり、知ると意外と面白いのです。ぜひ馬の歯に注目して見てください。まだ知らない魅力に気がつくかもしれません。

牡馬と牝馬では歯の本数が違う!

乗馬経験者でも知らない馬の歯の秘密

人間も含め動物には性別があり、オスとメスで体の造りに違いがあることは、誰もが知っていることだと思います。馬も例外ではなく牡馬と牝馬で体の造りに違いがあります。

しかし馬には他の動物には見られないオスとメスの違いがあります。それが歯です。牡馬と牝馬では歯の本数が違うのです。

人間は親知らずも入れて32本の歯を持ちます。これは男性も女性の同じです。馬はというと、牡馬は40本で牝馬は36本の歯を持ち、お分かりいただけるように牝馬は牡馬に比べ4本歯が少ないのです(狼場を除いた本数)。

ではこの4本の違いはどういうことなのか。実は牡馬は持っているけど牝馬は持たない歯があるのです。その歯とは「犬歯」です。牡馬は上下に犬歯が生えています。

草食動物は肉食動物とは違い、餌を噛みちぎって食べるというより、草などの餌を切歯でちぎり臼歯ですりつぶすように食べます。そのため犬歯を持つイメージもありませんし、犬歯の使い道に疑問を持つのではないでしょうか。

なぜ草食動物である牡馬が犬歯を持つのか、それは野生で育つ馬が天敵と戦う際または牡馬同士が戦う際に使われたり、グルーミングをする際に使われるとも言われています。しかし飼育されている馬にとっては使う機会はなく、役立たれることはないようです。

馬の歯は伸びるんです!

乗馬経験者でも知らない馬の歯の秘密

人間の歯は乳歯から永久歯に生え変わりますが、馬の歯も同じように乳歯から永久歯へと生え変わります。ただ馬の場合は永久歯に生え変わった後に歯が伸び続けるのです。

年間に約2㎜から4㎜程度伸びるのだそうです。少しずつではあるものの、伸び続けて大丈夫なのだろうかと心配になるかもしれませんが安心してください。馬は餌を食べる際にすりつぶしながら食べます。その際に歯も一緒に削れてしまいます。削れても歯がなくなってしまわないように伸び続けているのです。

しかし野生で生息する馬に比べ人によって飼育される馬は、草を食べ続ける時間が短いため歯が伸びすぎてしまったり変形することもあるようです。その場合は処置が行われることもあります。

馬の年齢は歯で判断?

乗馬経験者でも知らない馬の歯の秘密

伸びては削れを繰り返していく馬の歯ですが、歯の長さ自体は変わらないものの、長年餌をすりつぶし削れることで色は黒さが目立っていきます。実はこの歯の削れ加減や色の変わり具合から、馬の年齢を判断することができるのです。

今は馬が生まれた日にちや現在の年齢など、個体の情報は血統書などから正確に知ることができます。しかし昔は血統書といった個体情報を記した書類はありませんでした。

では馬の売買が行われる時にはどのように馬を選んでいたのでしょう。若くて元気な馬を見つけ買いたいと思うのは、昔も今も変わらない事です。個体情報が明確でない昔は、買い手が直接馬を見て健康状態はもちろんのこと、馬の年齢も見極めていました。馬の歯は年齢を見極める判断材料になっていたそうです。

口腔内の検査方法は?

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歯の変形・伸びすぎ・虫歯・炎症など、馬にも人と同じように口腔内に問題が起こることがあり、人が歯科検診を受けるように馬も口腔内の検査を受けます。5歳までの若い馬に関しては、歯の生え変わりなどがあり歯並びが形成される大切な時期でもあるため、年に3~4回の検査と年に2回ほど治療されます。

5歳以上の馬は以上が見られる事が少ないこともあり、年に1回の検査と治療で良いとされています。20歳を超えた高齢の馬は、歯周病や歯の脱落が見られる事から、年に2回の検査と治療をされるようです。

いくら人に慣れた馬だと言っても、「口を開けてそのまま動かないで」というのは無理な話です。しかし歯の検査をするには一定時間口を開けてもらわないと出来ません。

また人の手が口の中に入っているときに口を閉じられてしまえば、その気がなかったとはいえ大きな馬に噛まれることになるのですから、ケガは免れないでしょう。ではどのように検査を行うのでしょうか。

ハミを含ませるときと同じように、馬の口の中でも歯の生えていない歯槽間縁から指を入れ口を開けさせます。舌をつかみ上あごに付けるように折ることで馬は口を開けるため検査を行うことができるのです。どうしても口を開け続けることが難しい場合は開口器を使用します。

まとめ

いかがでしたでしょうか。馬の歯はオスとメスで本数が違ったり、少しずつ伸び続けているなど、特徴に驚いた人もいるのではないでしょうか。

見た目にカッコ良さや性格・しぐさと多くの魅力を持つ馬ですが、他の動物とは違った体の特徴があり、もっと知りたいと感じるといえます。人にとっても歯は大切ですが、馬にとっても歯を良い状態で保つことは健康でいる秘訣なのです。

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