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【馬の食事】一日に何回、食事をするの?

馬の食事のことを「飼い葉」と言います。馬房で馬が食事をする際に、飼い葉桶を使用して食べているのをご覧になった方も多いことでしょう。

馬は草食動物なので野生の馬であれば、ほぼ一日中自由に草を食べています。しかし、乗馬クラブなどで飼育されている馬は、時間を決めて飼い葉を与えています。

今回は馬の食事について、1日の摂食量や食事の回数などをまとめました。

一日に食べる餌の量

【馬の食事】一日に何回、食事をするの?
馬が1日で食べる餌の量は約12~15kg程度です。
馬の胃はあまり大きくないため、ゆっくりと時間をかけて大腸で消化します。そのため一度にたくさん与えずに、全体量を数回に分けて与えます。

放牧されている馬が、ずっと草を食べているのを見たことがあるでしょうか?
時間をかけてゆっくり食べることで、消化をしっかりおこない、栄養を吸収しやすくしているのです。

馬の食事には、どのような飼料を与えているのかご存知ですか?
主な飼料は以下の通りです。

粗飼料

粗飼料とは、乾草のことです。
乾草にはイネ科植物とマメ科植物があります。体重100kgあたり1kgを目安に与えます。
➀チモシー
イネ科の多年草で、繊維が多く、馬は好んで食べます。

➁アルファルファ
マメ科の多年草で、イネ科牧草に比べて粗タンパク質含量が2~3 倍、カルシウム含量が2~3 倍でビタミンが豊富です。成長期の子馬に多く与えます。チモシーよりも嗜好性が高いので、成長期を終えた馬への与え過ぎに注意します。
和名はムラサキウマゴヤシ(紫馬肥やし)と言い、夏に紫色の花をつけます。
アルファルファを原料としてキューブ状に押し固めた飼料もあり、ヘイキューブといいます。

濃厚飼料

濃厚飼料とは、主に穀物のことをいいます。エネルギー量が高く、消化吸収が良い飼料ですが、与え過ぎると消化器系に障害を起こす恐れがあります。

➀エンバク (燕麦)
馬の飼料として最も多く利用されている穀類です。他の穀類に比べ繊維含量が高いため、多めに摂取しても比較的安全です。
また嗜好性も高く、馬も好んで食べます。

➁フスマ
フスマとは小麦を製粉した際に生じる副産物です。繊維含量が高いので整腸作用があります。嗜好性が高く馬も好んで食べますが、リンが多く含まれているため与え過ぎには注意します。

➂トウモロコシ
トウモロコシは脂肪が多く、エンバクの約2倍のエネルギー量があります。繊維含量が少なく、小腸での消化が悪いため、多量に摂取させないように注意します。

加工飼料

加工飼料とは、ペレットなどの人工的な飼料のことをいいます。各種の栄養素を配合して固形化した飼料で、栄養価が均質で消化しやすいのが特徴です。
運動量に合わせて給餌量を変化させます。

補助飼料

牧草類やエンバクなどの穀類だけでは不足する栄養を補うために与えます。馬の場合、タンパク質の補強として油粕類が多く用いられます。

添加飼料

ビタミン、ミネラルなどの不足分を補うために与えます。

以上が主な飼料です。馬の体調や状態に合わせて与える種類と量を調整します。
その他、ビタミン・ミネラルなど不足分を補う栄養素を給餌します。

食事の回数

【馬の食事】一日に何回、食事をするの?

1回に大量の食事を食べる肉食動物とは異なり、馬などの草食動物を牧草地に放っておくと、1日あたり最大で18時間も草を食べ続けるそうです。

乗馬クラブなどで飼育されている馬は、1日に3~4回に分けて食事を与えます。

馬本来の食事形態に近づけるのであれば、1日に4回の食事を与え、その合間に少しずつ乾草を食べられるように、馬房内にヘイネットを置くと良いでしょう。

消化機能との関係

【馬の食事】一日に何回、食事をするの?
馬体重が 450kg程度の平均的な体格の馬は、1 日あたり体重の約 3%(12〜14kg)の飼料を食べる必要があります。

成馬の胃は体の大きさに比べて小さく、最大12 リットルを収容できる程度の大きさしかありません。
そのため、食物が小腸に送られる前に胃に留まっている時間は、15~20分間しかありません。
胃ではわずかな消化がおこなわれます。

牧草の多い食事をしている馬の場合、消化には最大72時間かかることがあります。
消化に時間をかけることで繊維質が分解され、小腸で栄養素が吸収されるのに必要な時間が確保されます。

小腸の長さは、およそ21 メートルほどです。小腸は、栄養分の消化と吸収の主要な場所で、胆汁が分泌される場所です。胆汁は脂肪の分解をサポートする消化液です。

一般的な哺乳類には胆汁を貯蔵するための胆嚢があります。しかし馬には胆嚢がなく、胆汁を蓄えることができません。そのため馬の場合、胆汁は常に小腸に分泌されます。
食事時間の長い馬にとって、胆汁が分泌され続けることは消化には好都合なのです。

大腸でも消化はおこなわれます。中でも盲腸は、飼料を「発酵」させる場所でもあります。
盲腸では最大70リットルの食べ物を入れることができます。
実は盲腸は、馬の疝痛が発症する場所でもあります。

疝痛は非常に痛みを伴う消化障害であり、死に繋がる可能性があります。
部分的に消化された飼料が大腸内に蓄積して詰まり、動きが止まり、宿便が生じます。これが疝痛の原因となるのです。
宿便による疝痛は、食事回数が少ないと発生率が高くなります。

まとめ

【馬の食事】一日に何回、食事をするの?

いかがでしたでしょうか?
今回は馬の食事についてまとめました。

馬は、常に食べ物を消化しながら消化器官を働かせておくことで、健康を維持できるような生態を持つ動物です。
胃への継続的な栄養補給をすることで、疝痛だけでなく潰瘍にもかかりにくくなるそうです。

1日の食事の適正量を、できるだけ回数を増やして与えたり、乾草をネットで吊るして少しずつ食べられる様にするなどして、馬本来の生態に近づけることが馬の健康維持につながります。

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