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部班で前の馬に突っ込んでしまわないためのコツ

複数の人馬が一緒に運動をする部班(ぶはん)。実際にやってみると、前の馬との距離を一定に保つのはなかなか至難の業です。今回の記事では、部班で前の馬に突っ込んでしまわないための距離の目安スピードコントロールについて解説します!

一馬身の距離の感覚をつかむ

部班で前の馬に突っ込んでしまわないためのコツ

何頭もの馬で列になって運動をする「部班」では、前後の馬との距離感が大切です。これは、部班ならではの難しさと言えますね。まずは、その距離感の基準となる“一馬身(いちばしん)”という距離について知っていきましょう。

一馬身とは?

部班で基本となるのは前の馬と“一馬身”の距離を保つことです。一馬身とは、読んで字のごとく「馬一頭分の長さ」。一般的には、一馬身=2.4mとされています。部班中は、特に指示が無ければ前後の馬との距離は一馬身と考えて良いでしょう。


この距離を保つことができれば、自分の馬が前の馬にちょっかいを出したり、その結果前の馬が驚いて跳ねたり蹴りが飛んできたりというトラブルも防げます。


ちなみに、スピード調整や距離感をつかむ練習として運動中にインストラクターから「二馬身あけて」「一馬身に戻して」など間隔の指示が出されることもあります。慣れてきたら、距離を保つだけでなく伸ばす&縮める練習もしていけると良いですね。

一馬身の目安

ところで、一馬身が基本と言われると「2.4mって見た目ではどれくらい?」「実際に乗っているときはどうやって確認したらいいの?」という疑問が出てくるはずです。


これは自分が乗っている馬の体格や姿勢によって変わってしまうのであくまで目安ですが、正しく一馬身の距離が取れていると自分が乗っている馬の耳のあいだから前の馬の飛節あたりまでが見えます。


もしも、前の馬のお尻が上のほうしか見えなければ少し近づきすぎ。逆に、前の馬とのあいだの地面が見えているようだと少し遅れ気味と考えて良いでしょう。

馬の歩幅を小さく

部班で前の馬に突っ込んでしまわないためのコツ

最初に正しく一馬身の距離で運動を始めても、前後の馬とスピードが合っていなければ間隔は変わってきてしまいます。そこで大切なのが、スピードをコントロールすること。


しかし、詳しいコントロール方法を習わないまま部班に突入する「実践あるのみ」な乗馬クラブも…。そこで、今回はスピードを変える基本的な方法について簡単に解説していきます。

歩幅(歩度)は変えられる!

まず、人でも馬でもスピードを変える方法は大きく分けて2種類です。1つめは、足の運びをゆっくりすること。2つめが、歩幅を狭くすることです。


馬を運動させる時、足の運び(歩様)は指示されている場合が多いですよね。なので、2つめの歩幅を調整することがスピードコントロールの中心。ちなみに、乗馬では馬の歩幅のことを“歩度(ほど)”と呼びます。


前の馬に追い付いてしまいそうになったら、歩度を詰めましょう。簡単に言うと、軽く手綱を引きつつ、停止しないように加速しないように扶助や随伴を調整します。歩度の詳しい調整方法は、別の記事でさらに詳しく解説していきますね。

手綱の引きすぎはNG

部班で前の馬に突っ込んでしまわないためのコツ

スピードを落とす=手綱を引くというイメージがあると思いますが、歩度を詰めるときに強く手綱を引くのはNG。むしろ、引きすぎると停止してしまい、後ろの馬に追突された!なんてことも。


さらに、止まってしまったからと言ってそこで脚を入れると状況は悪化。なぜなら、銜では“停止”の指示が来ているのに止まると脚で“進め”と言われたら、馬も混乱するからです。


きっとみなさんも、馬と同じ立場だったら「指示どおりにやったのにどうして?」「何をするのが正解?」とイライラしますよね。苛立ってくると馬はむしろスピードが上がってしまうことが多いので、これでは逆効果です。


歩度を詰めるときは、馬が「なんだか普通より銜が引っ張られるな」「何か伝えようとしてる?」と気が付く程度の微妙な強さで手綱を引いてみてください。

前の馬より外回りする

部班で前の馬に突っ込んでしまわないためのコツ

スピードを調整しようとしてもうまくいかないときは、一時的な対策として前の馬よりも外側を進みましょう。物理的な方法ですが「ちょっと近くなってきたかな」程度の段階であればもっとも簡単にできる対処法です。


ただし、蹄跡の位置はだいたい決まっているので大幅に前の馬より外回りするのは難しいかもしれませんね。さらに、自分よりも後ろの人も同じように距離が詰まりすぎてしまうことに悩んでいる可能性もあります。


そのため、外回りのし過ぎや後ろとの距離にも要注意。あくまでも外回りは一時的な対策として、基本的にはスピードで調整できるようにしていきましょう。


逆に、後ろの馬が近すぎる!というときは、前との距離に余裕があれば少し内回りしてみると感覚がちょうどよくなるはずです。

重心は後ろ

部班で前の馬に突っ込んでしまわないためのコツ

動物全般に言えることですが、人間も緊張しているときは身体が丸く縮こまる傾向にあります。また、一生懸命集中するとどちらかと言えば前のめりになる人が多いはずです。これは、馬に乗っているときも例外ではありません。


思ったようにスピードが落ちなかったり、必死にコントロールしようとすると緊張しますよね。そんなときは、無意識に身体が前に傾いて縮こまりがちです。しかし、みなさんがご存知の通り馬の上で前傾すれば馬のスピードは上がってしまいます。


なぜかというと、人間も歩いているときに比べて走っているときのほうが重心が前のめりになりますが、これは四本足の馬でも同じこと。重心が前に傾くと速く走っているときに近い姿勢になります。


さらに、人間が前傾することで馬に手綱を譲ることになります。首を前に伸ばすことができれば、馬は動きを制限されにくいので前へ前へと進んでしまいますよね。


この悪循環に陥らないために、重心はどっしり後ろに構えましょう。重心を少し後ろにするだけで、馬の後脚にしっかり体重が乗りブレーキがかかりやすくなります。後脚の踏み込みが深くなると歩度も詰めやすいと言われているので、良いことずくめですね。

まとめ

部班では「前の馬に遅れてしまう」という人よりも「追いついてしまう」と悩んでいる人のほうが多数派です。適切な距離を保つことは事故防止にもつながるので、馬の歩度や重心に注意しながらスピードコントロールに挑戦してみましょう!最初は上手くいかなくても、部班を続けていくとスピードの調整が徐々に上達してくるはずですよ。

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