ショートカットされない隅角通過のやり方
1頭で乗っている時も部班で乗っている時も、隅角をどうしてもショートカットされてしまう初心者の方に向けて、対応策をご紹介します。隅角をしっかり曲がれるかどうかは馬なりの騎乗なのか、馬が乗り手の指示を聞いている騎乗なのかの違いが明確に出るポイントです。細かい部分ではありますが、今後も必ず役に立っていきます。馬とのコミュニケーションの第一歩だと考えて、こだわってやってみましょう!
隅角とは
隅角とは馬場の四隅のことです。できるだけ深く、90度に近い角度で通過するのがよいとされています。この四隅を意識せずに馬を動かしていると、ショートカットされたり、浅くなってしまったりします。
馬場馬術の競技の動画を観ると、競技選手は隅角も深く回ることができています。これは、乗り手が「ここは深く回ってほしい」と馬に対して明確な指示をだしているからなんです。
では、どうしてショートカットされてしまうのか考えてみましょう。
ショートカットされてしまう原因
ショートカットされてしまうのは、指示をしていないか、指示が正しく伝わっていないか、指示が正しくないかのいずれかのはずです。まず、隅角やその手前で特に合図を出さずに騎乗している方は「指示をしていない」ということになります。楽をしようと考える馬は、指示が特になければ隅角をショートカットしようとします。隅角では「ちゃんと深く回ってほしい」と馬に意思を伝えましょう。
次に指示が正しく伝わっていないケースもあります。初心者の場合、指示にメリハリがなく、正しく伝わらないことが多いかもしれません。特に初心者の方は重い馬を配馬されることが多いはず。重い馬を一生懸命に動かそうとして、脚をたくさん使った結果、扶助にメリハリがなくなってしまい、馬に正しく伝わりづらくなっていることが考えられます。
指示やタイミングが正しくない場合もあります。馬は体が長いため、すぐに指示通りに体を動かせるわけではありません。隅角を深く回るためには、隅角に差し掛かる前に準備が必要になります。適切なタイミングで適切な合図を入れてあげることが大切です。
隅角通過のやり方
それでは、隅角通過をする際の扶助について説明します。まずは、まっすぐに馬を歩かせます。内方脚だけで加速できるように活発に動かしましょう。できる方は隅角を曲がる少し手前で内方姿勢を取ってみましょう。内方脚を使って内回りをさせないようにします。隅角の数メートル手前から内方脚を使って準備をします。そのまま曲がる位置の少し手前にさしかかったら、外の手綱をしっかり持ったまま、内方脚を使いながら曲がる方向の手綱を進行方向に向けて少し開きます。このとき、肘は同じ位置のまま、拳を少しだけ外に向けるイメージです。同じタイミングで内側の坐骨に少し体重をかけると馬が曲がりやすくなります。ただし、乗り手のバランスはどちらかに偏ることがないようにしましょう。その間も内方脚で扶助をずっと入れ続けてください。
ポイント
ポイントは馬の前進気勢(前に行こうとする力)です。常歩でも軽速歩でも、馬を活発な状態に持っていくことが重要です。また、活発になったことにより前肢が踏み込みやすい状態を作ってあげれば、馬がショートカットをしづらい状況になります。そのため、まずは馬を活発に動かし、歩度を詰めたり伸ばしたりしながら、馬をコントロールしやすい状態にして、内方脚への反応を求めていきましょう。
先ほど、重い馬に乗っていると常に同じ強さで脚を使ってしまい、馬に合図が伝わりづらくなると説明しました。前進気勢を作る際に、強めの脚を使って反応をしたら、脚を使うのを一旦やめます。また遅くなってきたら脚を入れるというように、使う時と使わない時のメリハリをつけて、馬にも分かりやすい合図を送ることが大切です。停止や後退も挟みながら、馬の脚や合図への反応がよくなるようにします。
隅角通過も準備が大切です。隅角に入る数メートル手前から内方脚を入れて、できる方は内方姿勢をとりましょう。視線は進行方向に向けてください。適切なタイミングで指示する必要があります。最初は難しいと思いますので、少し早いかなと思うタイミングから準備を進めてみてください。慣れてくれば、ちょうどいいタイミングで合図を送ることができるようになります。
何度も隅角通過にチャレンジしてみましょう。特に部班で前の馬がショートカットした場合、同じようにショートカットしようとする馬が多いはずです。群れの動物ですので、前の馬について行こうとするのはしかたありませんが、隅角通過の練習には素晴らしいチャンス到来です。自分のパートナーにはきちんと隅角を通過してもらえるように合図をしてみましょう。きれいに通過できたときにはパートナーをねぎらうことも忘れずに!
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まとめ
今回は隅角通過について、方法やポイントの解説をしました。馬によっても感覚が違うと思いますが、まずは活発に動かして、内方脚を使うことを意識しましょう。これだけでも、ショートカットしなくなる馬もいます。馬は乗り手をよく見ているので、ふと気を抜いた瞬間にショートカットされてしまうこともあります。何度も何度も練習をしながら、コツをつかんでいきましょう。