【覚えて損はナシ!】マルチに使える舌鼓(ゼッコ)
少し重い馬に乗った時にインストラクターが「チッチッ」と音を出しているのを聞いたことはありませんか。あの音は扶助の一種で「舌鼓(ゼッコ)」と呼びます。舌鼓はとても使い勝手がいい反面、使い方や打つタイミングにはちょっとしたコツを覚える必要があります。この記事では、舌鼓について深掘りします。
舌鼓(ゼッコ)とは
舌鼓は人間が合図をする前に出す音です。馬が人の求めている行動と違う行動をしているときや人に集中してほしいと馬に伝えたいときに舌鼓を使います。馬は目があまりよくなく、耳で情報を集めているので音による指示は効果的なんですよ。
よく使われているのは騎乗時です。馬に送る合図のうち、主扶助と呼ばれるものは乗り手が体を使って合図を出す拳、脚や随伴のことを言います。それ以外の扶助のことを副扶助といい、舌鼓も鞭や拍車と同様に副扶助とされています。副扶助は主扶助の反応を上げるために、補助的に使うものです。
ほかにも、馬房に入ろうとしなかったりするときに使っている人がいるのを聞いたこともある人が多いのではないでしょうか。前に進むことを促すときに使われることの多い舌鼓ですが、停止してほしいときやこちら側に来てほしいときなど、実はいろんな状況で使える便利なコミュニケーションツールなんです。
舌鼓(ゼッコ)の効果
舌鼓を打つと馬が注意を人に向けます。そのため、馬が集中していないときや馬がこちらの指示を誤解しているとき、こちらの指示とは違うことをしているときにだけ使います。常に使うのはNGです。
例えば、速歩をしてほしいのに馬が全く反応しない場合、舌鼓を使うと脚扶助やほかの副扶助への反応を高めることができます。また、障害などでひるんだときの励ましの意味にもなるんです。しかし、舌鼓のやり方やそのタイミングにはちょっとしたコツがあり、いつも舌鼓を使えばいいというわけではないようです。では、どうしたらいいのかみていきましょう。
やり方のコツ
まず、音の出し方についてですが、あまり神経質になる必要はありません。具体的にどうやって音を出すかについて、解説をしているサイトや動画を参考にしてください。練習して、次のレッスンで試してみましょう。筆者は上あごに舌先を押し付けて音を出すようにしています。大きな音を出したり、小さめの音から出したり、騎乗する馬によって音を少しずつ変える工夫も。いつもの音に反応しなければ、少し違う音を出してみることもあります。人に集中してね、と伝えられたらいいので、馬に試してみて少しでも反応がみられたら、基本的にはOK!馬によっては、舌鼓と同じくらい、話しかけると反応してくれる馬もいますので是非、試してくださいね。
では、舌鼓をどんなときにどのタイミングで打つのがいいでしょうか。舌鼓には「次に何かしらの合図を出すよ」という意味があります。そのため、舌鼓の次に出す扶助の前に打つのがいいでしょう。この流れを徹底することが重要です。必ず同じタイミングで舌鼓を打つようにしてください。しかし、この舌鼓の時点で反応をした場合、その次の合図を出す必要はありません。
騎乗時の舌鼓
騎乗時を例にしてみます。脚で強めの合図を送っても反応がありませんでした。次はどうしましょうか。鞭の前に、まずはここで舌鼓を使ってみましょう。舌鼓を2〜3回打っても反応がなければ、鞭を見せたり、振ったりしてみましょう。それでも反応がなければ、鞭を体に当ててみたり、鞭を軽く使ったりする、というように少しずつ扶助を強くしていきます。どこかのタイミングで反応があれば、合図をとめます。しかし、しばらくしてスピードが落ちてきたら、また脚扶助を入れて反応がなければ舌鼓を打つという同じサイクルを繰り返します。同じサイクルで扶助を入れると、馬も扶助の順番を覚えます。鞭を使われたくない馬は、舌鼓の時点で反応しますし、舌鼓を打たれたくない馬は脚扶助で反応します。毎回、バラバラの順番で扶助を入れると、一つ一つの扶助の効果も薄れますし、馬が混乱することもあるのでよくありません。
注意点
舌鼓は強めの扶助です。そのため、最初から頻繁に使うのはよくありません。また、特に音に敏感な馬は舌鼓に反応しやすいので、注意が必要です。話しかけてみたり、小さめの音で舌鼓を打ってみましょう。部班でレッスンをしている場合は他の馬が反応してしまう可能性もありますので、気をつけて使うのがマナーです。とても便利な舌鼓ですが、他の扶助と同様に使いすぎるとやはり反応が鈍くなってしまいます。ここぞという場面やタイミングで使っていきましょう!
まとめ
今回は副扶助である舌鼓について紹介しました。舌鼓はとても便利なコミュニケーションツールではありますが、使い方や使うタイミングには要注意です。舌鼓を効果的に使えば、人も馬もお互い楽に騎乗できるようになります。パートナーになる馬の個性に配慮しながら、上手に舌鼓を使っていきましょう。