馬に乗るときに欠かせない「鞍」、種類とお手入れ

みなさんは、鞍と言われたらどんな鞍を思い浮かべますか?おそらく、人によって思い浮かぶ形状や場面が少しずつ違うと思います。今回、記事の前半では鞍の種類と特徴を詳しく解説!後半では実際のお手入れ方法も紹介していきます。

ウエスタン鞍

馬に乗るときに欠かせない「鞍」、種類とお手入れ

ウエスタンといえば「子供たちがポニーに乗るときの鞍」というイメージがあるかと思います。なぜ、観光乗馬ではウエスタン鞍が好まれるのでしょうか?


名前からも想像できるかもしれませんが、ウエスタンの鞍はカウボーイが使っている鞍です。カウボーイたちは長時間にわたり馬上で過ごし、牛を追うために急な発進や停止をすることもあります。


そのため、ウエスタン鞍で重視されるのは安定感。座面が深い&広いので、長時間乗っても疲れにくいと言われています。また、前橋(ぜんきょう)部分に“ホーン”と呼ばれる持ち手が付いているのも大きな特徴。


ホーンがあることで咄嗟のときには掴まることもできますし、仕事に使うロープを束ねて欠けておくこともあります。こうした特徴があるので、乗馬に不慣れな子供でもどっしりと安心感のある乗り心地で馬に乗れるというわけです。


ところで、機能面からは少し離れますがウエスタン鞍は非常に装飾が多くてカッコいいですよね!自分の馬具を持っている人なら共感できると思いますが、カウボーイたちにとっては馬具=道具であると同時に装飾品。実用性だけでなくおしゃれであることも重要だったようです。

ブリティッシュ鞍

馬に乗るときに欠かせない「鞍」、種類とお手入れ

乗馬をしている人にとって、ウエスタン鞍よりもなじみが深いのが「ブリティッシュ鞍」ですね。ウエスタン鞍に比べると装飾が少なく似たようなデザインが多いですが、大きく分けると障害鞍と馬場鞍という2種類の形があります。

障害鞍

障害鞍と馬場鞍は、パーツの名称・構造はほぼ同じ。ですが、それぞれの競技に使いやすいようにパーツの形状や厚みに微妙な差があります。


障害を飛ぶときは、みなさん鎧(あぶみ)を短めに調節するのではないでしょうか?その結果、膝は少し曲がった状態になりますね。この脚の位置に合わせて、障害鞍はあおり革が短く、前方にせり出した形状になっています。


また、膝当は、馬場鞍より障害鞍の方が大きめ。これで、足の底だけでなく膝でもしっかりと身体を支えることができますね。


一方、座面の後ろ側「後橋(こうきょう)」は馬場鞍と比べると浅めのカーブになっています。障害飛越ではお尻を上げたツーポイントの姿勢でバランスを取っていることが多いもの。その際に、座面が浅いほうが重心を自由に動かせるので、バランスが取りやすいですよね。

馬場鞍

馬場馬術では、障害を飛ぶときよりも鎧をのばします。それに合わせ、馬場鞍のあおり革はまっすぐ下に伸びているような形状です。また、腹帯の美錠(びじょう)が人馬のコンタクトを邪魔しないように託革(たっかく)が長く、お腹の下のほうで腹帯を留める仕組みになっています。


さきほど、障害鞍は後橋のカーブが浅めという話をしましたが、一方の馬場鞍は後橋のカーブが深め。これは、静反動や駈歩などピッタリとお尻をついた状態で安定しやすくするためです。


乗馬を始めたばかりの頃は、レンタルの中でなるべくきれいな鞍を選んで使うことも多いかと思いますが…。自分の鞍を持つようになったら、競技の方向性も意識してみましょう。ちなみに、障害鞍と馬場鞍の形状をバランスよく組み合わせた総合鞍というものもあります。

鞍のお手入れ

馬に乗るときに欠かせない「鞍」、種類とお手入れ

革は適切に手入れをすれば長持ちしますが、天然素材のためカビが合えることもあり、またヒビが割れてしまうこともあります。せっかく自分の鞍を買ったのに、ダメにしてしまった…。ということがないように、しっかりと手入れを行いましょう。

清潔を保つ

鞍の手入れをするときは、最初に汚れを落とします。ブラシなどでホコリを落としたら、固く絞った濡れタオルで全体の汚れを拭いていきましょう。このときに水分が多すぎる布で拭くと、鞍が濡れたのと同じ状態になってしまうので要注意!


汚れは、特に人や馬が触れる部分にたくさんついています。例えば、座面やあおり革は人間の汗が染みやすい部分です。また、ゼッケンや馬のお腹に触れている部分は馬の汗で白くなっていることも多いはず。この辺りを重点的に拭いていきましょう。


このあたりまでは「日頃のお手入れ」という感じなので、乗った後は毎回できると良いですね。汚れはカビの温床にもなるので、こまめに落としましょう。

サドルソープで洗う

さらにきれいにする場合は、サドルソープを使って洗っていきます。普通の石鹸のように泡立つので、スポンジなどで泡立てたら、あとはクルクルと円を描くような要領。凹んでいる部分や縫い目は汚れが溜まりやすい場所なので、傷まない程度に重点的に洗ってくださいね。


洗い終わったら、今度は乾いた布で泡を拭き取ります。全体を拭き取って行くと、最初よりかなりきれいになったのが実感できてちょっと達成感を感じるかもしれません。しかし、まだ仕上げが残っています!

保皮油を塗る

泡を拭き取っても鞍は少し湿っているので、ここで鞍を風通しの良い日陰で乾かします。しっとりとした感じが無くなってくるまで乾かしたら、皮を保護するための保革油を塗っていきましょう。


鞍に限らずバッグや靴もそうですが、適度に油を補給することで革の柔らかさや伸縮性が長持ちします。また、油を塗るということは水を弾くということなので、水濡れへの耐久性もアップ。


ただし、人の体重を支える鎧革などはたくさん油を吸い込むと柔軟さが増した結果、伸びてしまうことがあります。そのため、ベルト状の部分は乾燥を防ぐ程度に。また、それ以外の部分も油を含ませすぎると形が崩れやすいので気を付けましょう。


そのため、液状のオイルよりもレザークリームがおすすめ。量の調節もしやすく、しみ込みすぎも防ぐことができます。ここまでのしっかりしたお手入れは、1~2カ月に1度くらいという人が多数派のようですね。

まとめ

乗馬に必要な馬具はいろいろありますが、そのなかでも存在感のある「鞍」。人馬のコミュニケーションを可能な限り妨げない形状で、なおかつ馬と人間のあいだでクッションの役割を担ってくれる重要な道具です。


今回の記事も参考に、時間を見つけてしっかり鞍の手入れしてみましょう。競技や種目ごとに適した鞍が作られているため、お手入れしながら比べてみると各競技に必要なことも分かってくるかもしれませんよ。

 

新着記事