【革と金具の修理】諦めやすい馬具の修理、できますよ!
馬具が壊れてしまったら、やはり買い替えるしかないのでしょうか?実は、馬具の破損は馬具メーカーや修理を専門とする工房で直せることも多いんです。今回の記事では、修理できる可能性が高い破損の例や、修理を依頼できる工房について紹介します。
自分で修理するのはなかなか難しい
「鞍や頭絡が壊れてしまったけれど、修理に出すにはお金も時間もかかる…」こんなとき、洋服のボタンを付けるように自分で直すことはできないのでしょうか?
材料が揃えにくい
破損の部位や程度にもよりますが、馬具として十分な耐久性を持った革や馬具に使用されている金具は個人で揃えるのはなかなか大変なことです。
そもそも所有者が修理することを考慮して部品が販売されていること自体が少ないですし、元の部品と同じ品質の部品となれば価格も安くはないはず。修理後の機能性を考えても、専門の職人さんに修理をお願いすることをおすすめします。
縫製には技術が必要
最近では手芸として革細工を楽しむ人もいますが、こうした場合は財布や携帯ケースなどを作ることが多いのではないでしょうか。こうした小物に比べると馬具に使用されている革は厚く、立体的・曲線的なパーツも多い傾向にあります。
そのため、元の強度や美しさを保ちながら自分で直すには、当然ながら革の縫製や馬具制作についての知識と経験が必要です。
鐙革通しなど負荷がかかりにくく小さなパーツであれば応急処置的に修理できる可能性もありますが、人馬の安全を考えれば馬具が正常に機能することが最優先。できれば、状態確認もかねて専門店に修理を依頼しましょう。
革と金具の修理が基本
では、実際に馬具店や修理工房ではどのような内容の修理を行っているのでしょうか?よくある修理例についてまとめました。
革のヨレ・破れ
鞍は、騎乗のあいだ絶えず振動や摩擦にさらされる馬具です。そのため、長期間使うことで部分的に薄くなって破れることもあります。
また、もとはピンと張っていた革もヨレることがあり、これを放置すると余計に破損しやすくなったり、騎乗者の身体にヨレがあたって痛くなったりする場合もあります。
このような場合は、一旦必要な範囲の縫い目をほどいて皮をはがして張り直すか、破れてしまった部分を縫い合わせて上から革を張ることが多いようです。
縫い目のほつれ
馬具の制作過程では革同士を接着することもありますが基本的には革を縫い合わせていきます。そのため、馬具の表面にある糸は摩擦などによって切れたりほつれたりしてしまうことも。
ほつれた糸は邪魔になるだけでなく、そこから縫製がばらけて馬具の形が崩れてしまう可能性もあるので注意が必要です。
愛着がある馬具だからこそ「まだ馬具自体は形を保っているので使える…」と使い続けてしまいがちですが、周りの革を傷めないためにも適切に修理に出して長くきれいに使いましょう!
ベルトの伸び・傷み
馬具の中で最も伸びが目立つのは、腹帯かもしれませんね。特に、ベルト部分の一部にゴムが使われているものはビロビロと波打ったような状態になってしまうこともあります。
また、もちろんゴムほど顕著ではありませんが、革も長期にわたり力や重さが加わると伸びたり癖がついたりしがち。こうしたベルト部分には、伸びた部分のパーツを取り替えたり、補強するなどの修理が施されます。
伸びが進むと素材の一部が弱くなったり、強い力が加わった部分が切れるかもしれません。騎乗中の事故を防ぐためにもベルト部分が擦れて薄くなったり金具との境目が取れかかっている場合は早めに修理を検討しましょう。
クッションのしぼみ・破損
鞍の中でも破損が多いのが、人の脚が触れるあおり革や膝当て。日々摩擦にさらされることで表面がこすれて穴が開いたようになったり、元はふわふわと衝撃を和らげてくれたクッションがしぼんで機能しなくなってきます。
このようなケースでは、破損の度合いに応じて革の張替えや、クッションの中身の詰め替えなどを行うのが一般的です。
鞍によっては意匠としてシート部分とあおり革の色を変えてツートンカラーのようになっているものもありますが、注意点として「広範囲の張替えを行う場合は工房で用意している革の種類により革の色が変わってしまう可能性もある」という点は覚えておきましょう。
もちろん作業前に工房でも確認してくれるはずですが、もし「デザインをなるべく保ちたい」という希望がある場合は、使える革の色味や張替えの範囲などをしっかり確認しておくことをおすすめします。
修理依頼先一覧
最後に、みなさんが「大切な馬具が壊れてしまった!どこかに修理をお願いしたい…」と思ったときに修理を依頼できるメーカー・工房さんをまとめました(所在地順・敬称略)。
名称・所在地・URLのみの紹介となりますが、ぜひ各URLから詳しい情報を見てみてくださいね。
一覧の住所はホームページに記載された所在地を参考にしたものです。中には実店舗を構えていない職人さんや、本社と別の工房で修理を行うメーカーさんもあります。
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工房の状況によっては、修理の新規受け入れを制限している場合があります。受入れ状況や仕上がりまでの期間は各修理依頼先のホームページや問い合わせフォーム等でよく確認しましょう。
*修理依頼先一覧*
ソメス
所在地:北海道砂川市北光(本社)、東京都港区南青山(東京支店)
URL:https://www.somes.co.jp/repair-list/
株式会社 渡辺馬具
所在地:茨城県稲敷郡美浦村
URL:https://watanabebagu.com/repair/
エクウスワールド
所在地:東京都世田谷区世田谷
URL:https://www.j-equusworld.com/myweb7_020.html
馬具修理・オーダーメイド LEVOL
所在地:東京都板橋区板橋
URL:https://levol.co.jp/
Bayardo
所在地:神奈川県愛甲郡愛川町中津
URL:http://bayardo.jp/category/repair
baguドットねっと ライディングショップ池上
所在地:千葉県富里市大和
URL:http://www.bagu.net/syuuri.html
馬具ファクトリー・パッカラン
所在地:大阪府枚方市出屋敷元町
URL:http://pacarun.com/Pfactry.html
山の手緋色舘
所在地:兵庫県神戸市東灘区住吉本
URL:https://www.hiirokan.com/5951.html
エムエムハーネス
所在地:岡山県岡山市北区錦町
URL:https://mm-harness.net/shuri.html
FREEWILL WORKS
所在地:香川県高松市国分寺町新名
URL:https://fww-jp.com/?cat=24&paged=1
まとめ
大切な馬具が壊れてしまったら、買い替えしかないと諦めず、修理工房に相談してみましょう。「これはもうダメかな」という状態でも、職人さんに相談すれば適切な修理方法が見つかるかもしれませんよ!