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馬術競技に欠かせない「スチュワード」とは?

馬術競技を観戦したことのある方なら、練習馬場の近くで鋭い目を光らせている人を見かけたことがあるかもしれません。その人物こそが「スチュワード」。競技の公正性と安全性を保つために不可欠な存在です。この記事では、スチュワードの役割や具体的な業務、さらにはどんなところがチェックされているの?という点まで詳しく解説します。

スチュワードとは

馬術競技に欠かせない「スチュワード」とは?

まず最初に、スチュワードってどんな人?会場のどこにいるの?といった概要から紹介します。「審判は見たことあるけど、スチュワードって聞いたことないな」という人も読んでみてくださいね。

スチュワードってどんな仕事?

スチュワード(steward)とは「執事」や「管理者」「世話役」のような意味合いを持つ言葉。乗馬以外でも、レストランで食器管理を一任される人を指したり、以前は航空機の男性客室乗務員を指す言葉として使われていました。

では乗馬の世界では……?というと、スチュワードはいわば審判を補佐する監視員。競技がルールに則って適正に行われているかどうか、馬と騎手の安全が守られているか、審判の目が行き届かない場所でもしっかりと見ています。

試合会場のどこにいるの?

今まで意識していなかったけど、スチュワードってどこにいるの?と疑問に思った人もいるかもしれません。試合の規模や会場によって異なる場合はありますが、公式な競技会では主に下記のような場所にいることが多いでしょう。

  • 練習馬場周辺
  • 競技場の入口付近
  • 厩舎エリア
  • 審判席付近
  • 競技馬場周辺

練習馬場の周辺では、ウォーミングアップ中の選手を見て装備や服装チェックを行います。
また、競技場の入口で出場前の最終チェックをしていることもあるでしょう。もちろん見ているのは人だけでなく、厩舎エリアでは馬の健康状態や取り扱い状況も確認しています。

そして、競技が始まると審判席付近や競技を行っている馬場の周辺で、競技中の人馬の動向を観察しています。審判席は場所が決まっているので、そこからではわからない情報もスチュワードたちがしっかり確認しているんですね。

スチュワードの業務

馬術競技に欠かせない「スチュワード」とは?

ここまで読んで、スチュワードの役割や「どこで何をチェックしているのか」が大まかにイメージできたと思います。ここからは、主な業務内容についてさらに具体的に紹介していきます。

馬装と服装のチェック

スチュワードの最も基本的な業務のひとつが、馬装と騎手の服装チェックです。大きな試合ほど規定が細かくなることも多く、馬具の装着方法や騎手の着用するジャケットやヘルメットはもちろん、鞭の長さや拍車の種類までしっかりとチェックします。

なお、鞭や拍車の種類は「その道具を使用することが馬への虐待とならないか」という視点を含めて規定されています。厳しい規定も、馬が安全に競技するためのものなのでしっかり頭に入れておきましょう。

ブーツ&バンデージコントロール

馬の脚を保護するためにプロテクター(ブーツ)や肢巻き(バンデージ)を使用する人も多いのではないでしょうか。しかし、使い方や形状によっては逆に馬に負担がかかってしまう可能性も。そのため、適切な装着がされているか・規定に合った製品かなどを細かく確認します。

騎手や関係者への指導と助言

スチュワードに対して「監視されているみたいで緊張する」と感じる人は少なくないはず。ですが、実はスチュワード=監視役というだけでなく、相談役にもなってくれるんです!

スチュワードになれるのは、馬や馬術のルールについて専門的な知識を持った人物。そのため、疑問を持つ騎手からの相談に応じ正しい装備や服装についてアドバイスを行うこともスチュワードの大切な業務となっています。

競技での馬装や服装について

馬術競技に欠かせない「スチュワード」とは?

乗馬初心者のうちは乗馬クラブ内部の大会や地区ごとのに出ることが多く、服装についても乗馬クラブにあるジョウラン(ジャケット)を借りることも多いので、あまり意識する機会はないかもしれません。

しかし、大きな大会になれば国際的な規定に則った細かい決まりが設けられている場合がほとんどです。特に馬装に関する規定は、馬の負担軽減や安全確保の視点から改訂されることもあるので「以前は大丈夫だったものがNGになる」という可能性も。

では最後に、馬装や服装に関する決まりにはどのようなものがあるのか、いくつか例を見てみましょう。

馬装に関する決まり

馬装で言及されることが多いのは、頭絡の種類と肢に付けるプロテクターです。同じ種目であっても、科目により「水勒が必須」とされたり、逆に「水勒は不可で大小勒が必要」とされたりするため出場する課目により事前の確認が必要です。

また、プロテクターは最長部の長さやベルトによる固定方法・チェックのタイミングや方法が細かく規定されています。さらに、馬具の種類だけでなく鼻革のきつさなど、馬に苦痛を与える可能性のある馬装も厳しくチェック。

もし馬装に問題がなかった場合でも、疲労している状態の馬を無理に使用したり必要以上に鞭で追うなど虐待と判断される行為があればスチュワードからイエローカードが出る場合もあります。

服装に関する決まり

競技に出る場合の基本的な服装は、長靴にシャツ・キュロット・ジョウラン(ジャケット)ですが、細かい規定は競技内容によって異なります。イメージとしては、馬場馬術がより格式を重視し、クロスカントリーは安全性重視、そして障害馬術はその中間と考えてもよいでしょう。

ジョウラン(ジャケット)は、馬場馬術では黒または濃紺に限られますが障害馬術では赤や事前に許可された色もOK。

また、キュロットは馬場馬術の場合は白またはオフホワイトですが、障害馬術では小鹿色(ベージュ)も可。ワイシャツは「白」とされる場合と、襟と袖口(=ジョウランを着ていても見える部分)のみ白であればよいとされる場合があります。

帽子は馬場馬術ではボーラーハット、それ以外はヘルメットが一般的ですが、特にクロスカントリーでは「3点以上の固定がされたヘルメット」と定められています。また、クロスカントリーではバックガード(ボディプロテクター)の着用が必要です。

まとめ

スチュワードはすべての選手と馬が安全かつ規定を遵守して競技を行えるようチェックする大切な存在。チェックされるのは少し緊張しますが、積極的にスチュワードに相談をすることで、自信を持って本番に臨むことができるでしょう。大きな競技会を目指している人は特に、スチュワードの重要性を知るとともにさまざまな規定も確認してみてくださいね。

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