颯爽と馬を操る姿がカッコイイ!でも、馬から降りたら腰が筋肉痛
オリンピックなどで目にする馬術競技・スピード勝負の競馬・映画やドラマでのワンシーン、馬をみるとき、大抵そこにはかっこよく乗りこなす人間がいます。
「自分だって!」と張り切って騎乗してみても馬から降りてみると腰が痛い、体が思ったように動かない、などと思うことありませんか。もちろん練習や経験の量も違いますが、その原因は別にあるかもしれません。
その原因は「反り腰」かも
乗馬のレッスン中、憧れの選手のように背筋を伸ばし、肩を開き、理想の姿勢を心掛けている人も多いのではないでしょうか。
ところが、馬から降りると腰が痛い・体が重いなど感じていませんか。「まだまだ練習が足りないから」「そのうち筋肉もついてきて慣れる」と思っていても原因は違うところにあるかもしれません。
その原因は「反り腰」かもしれません。
反り腰とは?
正しい姿勢といわれているものは、背筋が伸びているだけでなく、骨盤がまっすぐ立っており横からみると背骨がゆるやかなS字を描いています。
それに対して反り腰とは、骨盤が前に傾き、背骨が腰のあたりから沿っている状態です。そのため、お腹はポッコリ前に出て、お尻も突き出しています。
反り腰は姿勢やスタイルに関係するだけでなく、腰に負担がかかり、慢性的な腰痛やひざの痛みの原因にもなります。
反り腰の原因
反り腰の原因として、椅子の座り方・筋肉の低下・ヒールの高い靴・体型の変化などがあります。もう少し詳しくみていきましょう。
学生やデスクワークの方は、一日の中で椅子に座っている時間は大半が占めているのではないでしょうか。パソコン作業をしている姿を横からみると前傾姿勢になっていることがほとんどです。前傾姿勢は腰への負担が大きく、無意識に反り腰になって椅子に座っている場合があります。
また運動不足や加齢により筋肉が低下すると、正しい姿勢を維持することが難しくなってきます。そのため骨盤が前に傾き、バランスをとるために反り腰になります。
そしてヒールの高い靴も反り腰の原因になります。ヒールの高い靴を履くと、下り坂を下るように前に重心がかかります。そこでバランスをとるために、反り腰になってしまうのです。
同じように肥満や妊娠などにより前に重心がかかる体型になると、反り腰の原因になります。
ところでこれらの原因をみて気が付くことはありませんか。女性は男性に比べて筋肉量が少なく筋肉の低下が現れやすくなります。またヒールが高い靴や妊娠なども女性のライフスタイルに関係するものが多く含まれていま。他人事と思わず、一度セルフチェックしてみましょう。
反り腰のセルフチェック
自分が反り腰になっていないか簡単にセルフチェックできる方法がありますので紹介します。
まず、壁に背中を付けて立ちます。身体測定のように両足は揃えてかかとを壁につけ、顔は正面に向け顎を引きます。壁には後頭部、お尻、かかとをつけます。
腰から上のあたりで体と壁の間に隙間ができます。その隙間の幅がポイントになります。片方の手のひらが入るくらいの隙間が理想的ですが、両手の手のひらが入るくらいの隙間があると反り腰かもしれません。
また硬い床の上にあおむけで寝転んだ場合に、同じように床と体の間の隙間が大きかったり、寝ているだけで腰が痛い場合は反り腰の可能性があります。
背筋を伸ばすと反り腰になってしまう?
「背中が丸まっている」「猫背になっている」など背中で注意されたことがある人もいるのではないでしょうか。正しい姿勢といえば、ピンと伸びた背中をイメージする人も多いかと思います。
しかし、意識的に背筋を伸ばすと反り腰になってしまうことがあります。では、反り腰にならずに、背筋が伸びた正しい姿勢を作るにはどうしたらよいのでしょうか。
ポイントは筋肉になります。
反り腰になると固まる筋肉
反り腰になっていると、知らず知らずのうちに体に負担がかかっています。例えば脊柱起立筋・大腿四頭筋・腹直筋などのアウターマッスルです。
それぞれの働きと反り腰の関係について紹介します。
脊柱起立筋
反り腰になっているとき、骨盤は前に傾くため「脊柱起立筋」が緊張している状態になります。この脊柱起立筋は普段意識することがあまりないかもしれませんが、首から腰にかけて背骨の両側にある筋肉です。人間が立っていられるのもこの筋肉が背骨を支えているためです。
大腿四頭筋
反り腰で固まる筋肉は脊柱起立筋以外にも「大腿四頭筋」もあります。大腿四頭筋は太ももにあり、腰とは関係なさそうですが、実は関係しているのです。
反り腰は骨盤が前に傾くことで、体の重心が前になります。そのため太ももの前側が重心を支えようとするため、大腿四頭筋が使われ筋肉が発達します。
腹直筋
腹直筋は大腿四頭筋とつながっており、一般的に腹筋といわれるものです。腹筋が鍛えられていいのではないかと思われるかもしれませんが、前傾姿勢でお腹を突き出した状態の腹筋のため、体の中が「歪んだ骨格と筋肉」になってしまっている可能性があります。
反り腰にならない背筋の伸ばし方
反り腰にならずに背筋を伸ばす方法としては、反り腰の原因となっている筋肉をほぐすことと骨格を正しい位置で維持させる筋肉を鍛えることがポイントになります。
筋肉をほぐすストレッチーその1―
両ひざを床についてから左足を前に出し、片膝立ちの姿勢をつくります。右足のひざの部分が痛い場合はタオルなどを敷いても構いません。背筋はまっすぐ伸ばします。
両手は左ひざにのせ、体重を前にかけていきます。右の太ももの前の部分と下腹部がのびていることを意識します。ゆっくり呼吸をしながら30秒キープします。
足を変えて反対も同じように伸ばします。
筋肉をほぐすストレッチーその2―
低めの台や階段の下の方の段に片足で立ち、立っていない方の足をブラブラ前後に揺らします。力を入れて動かすのではなく、立っていない方の足を脱力させ、振り子のように揺らします。
手は足の付け根を軽く押さえます。10~20秒ほど揺らしたら足を変えて反対も行います。
大きな力が必要ではないため、既に腰痛がある人でも効果的に上半身と下半身を繋ぐ腸腰筋や股関節周りのストレッチをすることができます。
しかし、低めの台や階段での片足立ちのため、転倒のリスクがあります。注意してストレッチを行いましょう。
正しい位置で維持させるためにーその1―
正しい姿勢を維持するためには、骨格や内臓を正しい位置で維持する力が必要になります。それにはインナーマッスルを鍛えることが必要になります。
インナーマッスルとは、体の奥の方にある筋肉で深層筋のことをいいます。アウターマッスルといわれる表層筋に比べて筋力の低下が見えにくく、見過ごされやすい筋肉ですが姿勢の維持には欠かせない筋肉です。
そんなインナーマッスルを鍛える方法として、まず仰向けになりひざを立てます。腰と床の間に手のひらを入れ、お腹に力を入れて腰の下のある手に圧をかけます。30秒そのままキープした後、お腹に力を入れたままお尻をあげて30秒キープします。このとき、腰は上がらないように注意しましょう。腹横筋が鍛えられます。
正しい位置で維持させるためにーその2―
インナーマッスルを鍛えられる代表的なエクササイズといえば、プランクです。全身の引き締め効果も期待できます。
最初にうつ伏せ状態から肩の真下に肘がくるように肘をつきます。ひざを床から離し、かかとから頭までまっすぐになるようにします。この時、お腹を薄くする感覚でお腹に力を入れます。呼吸をしながら30秒キープします。慣れてきたら繰り返しやってみましょう。
見た目以上にハードですが、効果は期待できます。注意点は体をまっすぐにする点です。自分では気が付きにくいので鏡やガラスに写してみたり、誰かに確認してもらうことをおすすめします。
まとめ
乗馬をしている人をみると颯爽と馬を操る姿に憧れを抱きますが、いざ乗馬をしてみると体の痛みを感じ、そのギャップに驚くかもしれません。普段なら筋肉痛にならない箇所も筋肉痛になり、乗馬が全身運動であることを痛感する人もいます。
しかしその原因の中には、今回紹介したような反り腰があるかもしれません。
反り腰は、スタイルや姿勢が悪いだけでなく、慢性的な腰痛や膝の痛みを引き起こします。また、骨盤が前に傾いているため騎乗時には前のめりになることで、上手く合図が馬に伝えられないといったこともあります。
反り腰の改善にはインナーマッスルを鍛えることが必要になるため、効果がでるまで地道な継続が必要になります。しかし、その先には騎乗時だけでなく、日常的なメリットがあることを覚えておきましょう。