馬の一生

普段私たちを乗せてくれる馬たちは、どんな一生を送るのでしょうか?
生まれたばかりの仔馬時代、活発な若駒時代から競走馬として活躍する古馬の時代、そしてパートナーとして乗馬クラブなどで私たちと出会うまで・・・。
ひとくちに馬の一生といっても様々ではありますが、今回は一般的な馬の一生について、その成長過程や寿命などと共にまとめました。
馬の寿命や平均年齢

馬の年齢
まず馬の寿命のお話しの前に、馬の年齢の数え方について説明します。
馬の年齢は生まれた年を0歳とし、1月1日に一斉に1歳を加える「満年齢」で数えます。
満年齢とは、例えば2024年3月1日生まれの馬は、2025年1月1日に1歳に、2026年1月1日に2歳になるという数え方のことです。
以前は数え年で年齢を表していましたが、競馬において年齢条件のあるレースで実年齢が大きく離れた馬が競うことがあり公平性に問題がありました。
競馬の世界でも国際化が進み、日本の馬が海外のレースに出場したり、逆に海外から競走馬がやってきたりする場合に、日本の馬と海外の馬で実年齢が1歳ずれるため混乱することが多くなったのです。
そこで競走馬の公平性を保つために、日本でも2001年に国際基準に合わせました。これにより実年齢が大きく離れた馬が競うことを防ぐことができるようになりました。
これ以外に、明け○歳という言い方もあります。
「年が明けたら○歳」という意味で、現在の年齢に1歳足した言い方です。
例えば現在2歳の馬は、明け3歳馬とも言います。
馬の寿命
馬の寿命は、品種や飼育環境によって異なりますが、一般的には25歳から30歳程度と言われています。ポニー種はサラブレッド種よりも寿命が長く、中には30歳を超えて長生きする馬も珍しくありません。
馬は大体20歳を過ぎた頃から、歯が抜けたり、消化機能が低下したりと老化の兆候が見られるようになります。また運動能力も低下するため、無理のない運動を心がけることが大切です。
昔から言われている馬の年齢の計算方法の1つに、年齢×3をするというものがあります。馬の1歳は、人の3歳程度に相当すると言われているからです。
ただし生まれてから3歳までの成長はとても早く、この計算式には当てはまりません。
具体的には、馬の1歳は人間の6歳、馬の2歳は人間の12歳、馬の3歳は人間の17歳に相当すると言われています。
ところで上にも書いた通り、馬の寿命は25歳程度といわれています。
この年齢は人間でいうところの75歳程度で、私たち日本人からすると少し短命に感じるかもしれません。
馬は非常にデリケートな動物で、疝痛やちょっとした足の怪我が命に関わるため、なかなか寿命を全うできないのが現状なのです。
産まれてすぐ~子供時代

馬の成長は、産まれた瞬間から驚くべき速さで進みます。産まれたばかりの仔馬は、体重が40~50kgほどで、母馬のお腹の下にすっぽり入ってしまうほどの小ささです。
しかし、数時間以内には立ち上がり、歩き始めることができます。彼らは母馬の母乳を飲み、急速に体を大きくしていきます。
生後数週間もすると、仔馬は遊びを通して社会性を学び始めます。他の仔馬と駆け回ったり、じゃれ合ったりすることで、コミュニケーション能力や運動能力を養います。
この時期の仔馬は、好奇心旺盛で活発であり、周囲の世界を探求することに夢中です。
生後6ヶ月になると、仔馬は体重が約250kgと、生まれた時の5倍ほどに成長します。成長期真っ盛りの彼らは、離乳し、草や穀物を食べるようになります。体も筋肉質になり、より力強く成長していきます。
生後1年では、体重は約350kgほどになり、大きさや尻尾の長さでなんとなく年齢が区別できるようになります。
1歳馬は、まだ仔馬の見た目を残しており、体も小さく、たてがみや尻尾の毛も短いため、幼い印象を与えます。しかし、2歳馬になると、体重は450~500kgほどと、成馬とほぼ変わらなくなります。
ただし、筋肉はまだ発達途中であるため、成馬と比べるとやや小ぶりで、尻尾も少し短いことが多いです。
大人時代

3~4歳になると、馬は完全に成馬の体格になります。筋肉が発達し、たてがみや尻尾も伸び揃い、競走馬としてはまさに全盛期を迎えます。5~10歳にかけては、外見上の大きな変化は見られませんが、成長のスピードは緩やかになっていきます。
11~15歳になると、外見はほとんど変わらないものの、運動能力は徐々に衰え始めます。そして16歳頃から、老化の兆候が現れ始めます。顔の毛が白くなり始め、芦毛の馬は特に顕著に白さを増していきます。また、痩せて肋骨が目立つようになったり、歯が抜けたり、長年人を乗せてきた馬は背骨が窪んでくることもあります。
ただし、これらの変化は個体差が大きく、飼育環境によっても左右されます。20歳を超えても若々しい馬もいれば、10歳で老いが目立つ馬もいます。大切なのは年齢に関わらず、それぞれの馬の状態に合わせて適切なケアをしてあげることです。
余生

競走馬として活躍した馬たちの引退後の生活は、決して一様ではありません。
かつては、引退=余生を静かに過ごすというイメージが強かったのですが、近年では、セカンドキャリアを歩む馬たちが増えています。
その代表的な例が、乗用馬としての活躍です。競走馬としてのスピードやスタミナを活かし、乗馬クラブや馬術競技の場で、新たな才能を開花させる馬もいます。
乗馬クラブでは、初心者から上級者まで、様々なレベルの乗馬レッスンに対応します。競走馬時代に培った経験は、落ち着きや安定性につながり、乗り手を安心させてくれます。また、馬術競技では、その運動能力を活かし、障害飛越や馬場馬術などで、再び観客を魅了します。
しかし、すべての競走馬が乗用馬として活躍できるわけではありません。競走馬としての激しいトレーニングやレース経験は、馬の体に負担をかけている場合もあり、引退後に病気や怪我をしてしまう馬もいます。
そうした馬たちのために、引退馬を専門にケアする施設も存在します。獣医師や専門スタッフが、馬たちの健康状態に合わせて、適切なケアやリハビリテーションを行い、穏やかな余生を送れるようにサポートしています。
競走馬の引退後の生活は、多様化しています。乗用馬として活躍する馬もいれば、静かに余生を送る馬もいます。大切なのは、それぞれの馬の状態に合わせて、適切なケアをしてあげることです。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、馬の一生についてまとめました。
馬の成長は、年齢によって大きく変化します。仔馬時代の活発さから、若駒時代の力強さ、そして成馬の落ち着きへと変化していく過程は、私たち人間に多くのことを教えてくれます。
そんな馬たちと共に過ごす時間を、ぜひ大切にして下さいね!